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ゲームとことば#6「続きやんの?そうこなくっちゃ!」

昨日4月3日、多くの企業では入社式が行われた。
新入社員は不安も多いことだろう。これからの社会人生活が常に順風満帆にいく、なんてことはないだろうけど、そう深刻にならずにボチボチやっていってほしい。
まあそういった個人の考えとは別に、企業側はあの手この手で離職率を下げよう、社員のモチベーションを高めよう、と躍起になるものだ。中には「なんじゃそら」と言いたくなる取り組みもあるかもしれないが、いい大人たちが苦し紛れに考えたことなので、若い方たちはあまり気にしないでほしい。我々おじさんも疲れているのだ。

SFCソフトとして発売されたドラゴンボールの格闘ゲーム「超武闘伝」は、シリーズ最初の作品で、後の作品と比較すると荒削りな部分も多い。しかし当時としてはキャラボイスやBGMが気合入っていて、対人戦もCPU戦もワイワイ楽しく遊べた。
このゲーム、ゲームオーバーになると18号が「続きやんの?」とねっとり問いかけ、コンテニューすると「そうこなくっちゃ!」とハイテンションに喜ぶ。
かわいい18号にこう言われたらそりゃあ「いっちょやってみっか!」である。このセリフは原作で使われていたものだが、非常にうまくゲームシステムに絡めていると思う。こういう原作準拠で、なおかつ細かい部分も楽しく作られている作品は、キャラゲーとしてとても優れていると感じる。

実はこのセリフ、アニメの「ドラゴンボールZ」では喋り方が全然異なることはご存知だろうか。アニメでは18号がベジータと戦うシーンで同じセリフを発しているのだが、「続きやんの?」は軽く投げかけるように、「そうこなくっちゃ!」は攻撃を仕掛けながら勇ましく、吐き捨てるような印象である。決してゲームのような色っぽい感じではない。

ゲームでの変更は、おそらくリトライを促すための工夫だろう。
なぜなら我々の多くはベジータのように好戦的ではないのだから。やさしくかわいく言ってもらわなければスタートボタンを押せないじゃないか。

人は何かと落ち込む。
でも声をかけてくれたら、また立ち上がれると思う。
だからつくづく、この声の主が19号じゃなくてよかったなと思う。


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