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ゲームとことば#61「自由な旅を!」

自由ってなんだろう。

[名・形動] 自分の意のままに振る舞うことができること。また、そのさま。「—な時間をもつ」「車を—にあやつる」「—の身」
勝手気ままなこと。わがまま。
《freedom》哲学で、消極的には他から強制・拘束・妨害などを受けないことをいい、積極的には自主的、主体的に自己自身の本性に従うことをいう。つまり、「…からの自由」と「…への自由」をさす。
法律の範囲内で許容される随意の行為。

小学館「デジタル大辞泉」

コーエーの名作RPG『ジルオール』は、末弥純さんの美麗で厳かなデザインのキャラクターと、自由度の高いフリーシナリオ・マルチエンディングが魅力だ。
仲間にできるキャラクター数は非常に多く、それぞれ性格や種族がバラエティに富んでいる。
それでも世界観に散らかった印象はなく、洗練され、統一されたデザインが確立されていると思う。

一度のプレイで多くのキャラを仲間にしようとすると、フラグ管理がかなりシビアだ。
ぶらぶらと無目的にフィールドを移動してしまい、仲間にできるタイミングを逃してしまうこともしばしば。(フィールド移動で日数が経過する)
せっかくお気に入りのキャラを見つけても、いつの間にか起きていた戦争で命を落としたり、不幸な目に合い闇落ちをしてしまったりと、なかなか油断ができない。
先述の通り末弥純さんの描くキャラがとても美しいので、人によっては「闇落ち」は大好物かもしれないが。

ゲームスタート後、キャラメイクを済ませプロローグイベントをこなすと「無限のソウル」を持つ主人公のみが訪れることのできる「猫屋敷」にたどり着く。
そこにいる中世的な男性「オルファウス」に、表題のことばをかけられる。
『ジルオール』の何たるかを表現した一言だ。

本作の初回プレイ時は、あまり深く考えず気ままに旅をすることをおすすめする。(古いゲームで今更だけど)
もちろんプレイスタイルにもよるので人それぞれなのは断っておくが、個人的には最初は攻略を見ない方がいいと思う。
選んだ選択肢の影響だけでなく、場合によっては放置するだけでイベントが勝手に進んでしまい、それによって他人の運命が変わってしまうのだ。
コントロールしづい部分があるからこそ、その世界で本当に旅をしている気分を味わえると感じる。
「行動したこと」あるいは「行動しなかったこと」はもちろんプレイヤーの意思である。
それは主体的に自己自身の本性に従う、ということで冒頭の辞書の3番目に書かれた意味なのだろう。
もちろんゲームプログラムの中の主体性なので限界があり、用意されたレールが見えづらい、ということなのだけれど。

そんなゲームの世界で旅をする「自由」。
たくさんの仲間との冒険に、ワクワクを禁じ得ない。

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