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ゲームとことば#74「星降りの大会」

ドラゴンクエストの外伝作品だが、人気を得て独立した長寿コンテンツとなった『ドラゴンクエストモンスターズ』。
その記念すべき第1作『テリーのワンダーランド』の世界で開催されるモンスター格闘大会が「星降りの大会」である。
本作の主人公はドラゴンクエスト6に登場するテリー。その子供時代の冒険を描いている。
ある日突然、妙ちくりんな魔物ワルぼうによって姉・ミレーユがさらわれる。
テリーは直後に現れたわたぼうという別の魔物に誘われ、なんだかわからないまま「タイジュの国」へ行き、そこでモンスターマスターとしての才能を発揮する。
優勝者の望みがかなうという「星降りの大会」へ出場し、決勝で同じくモンスターマスターとなったミレーユと再会。
優勝後、姉弟で元の世界に帰るというストーリーである。

牧歌的な雰囲気とかわいらしい相棒・わたぼうに騙されそうになるが、よくよく考えたらかなり凶悪な誘拐事件ではなかろうか。安寿と厨子王のような悲劇だ。
小さな子どもがいきなり別世界に連れてこられて「はい、今日からあなたはモンスターマスターね。頑張ってください。」といわれてもである。
ゲーム内容は『ポケモン』や『女神転生』シリーズに似ている。配合の要素でいえば悪魔合体のあるメガテンがより近いだろうか。
もちろん世界観は大きく異なり、ドラクエモンスターズは低年齢層にも楽しめる。
私は、電子と血のにおいをアトラス作品から感じるが、ドラクエモンスターズからは日向ぼっこしているわたぼうの毛のにおいを感じる。

いや待てよ。
本作は異世界行きの理不尽さをかわいらしさでごまかしている分、ある意味メガテンより残酷なのではないだろうか。
「星降りの大会」なんてロマンチックな響きだが、言われるがままに戦いに挑む姿は、記憶を失ったままコロシアムに参加するホークと同じではないか。
キュートなわたぼうに騙されるな!そいつは危険だ!

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