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ゲームとことば#53「話し声が聞こえる。」

本日発売したペルソナ3リロードを少し触ってみる。

2006年に発売したスタイリッシュなRPGペルソナ3は、17年の時を経てさらにスタイリッシュになって帰ってきた。
個人的にも非常に楽しみにしていたので、予約開始時に即注文し、子どものようにソワソワと待ち続けていた。
私もオリジナル発売時には高校生の主人公たちと年齢が近かったはずだが、今や彼らの倍以上年を重ねてしまった。本当に時は待たない。

だが断言できる。いくつになっても、きっとこの作品は楽しく切なくプレイできることだろう。

ところで「リメイクによって何が変わったのか」これが気になる。
グラフィックが大幅に美麗になったのは言うまでもないが、今回は割とどうでもいいレベルの細かい点だけ述べようと思う。
一応、ストーリーのネタバレはしないつもりだが、リロードの内容をちょっとだけ語るので、一切情報を入れたくない方は閲覧を注意いただければと思う。

本当にちょっとしたことだが、気に入ったポイントとして登校時に他の生徒の噂話を聞くシーンを挙げる。
オリジナル版では主人公が校門付近でピタッと立ち止まって、他人の話をじっと聞くシーンがあるのだが、冷静に考えればちょっと不審だ。
これが本作ではどうなっているかといえば、場所が昇降口になっており、下駄箱の向こうから勝手に聞こえてくる生徒の話し声に聞き耳を立てる、というシチュエーションになっている。

(話し声が聞こえる)というナレーション。

他愛のない話のようで、ゲームの進行に優位に働く情報が聞けたりする

確かにこれならば自然だ。というかよくある話だ。
グラフィックが進化し、表現の幅も格段に増えた昨今のゲーム。
本シリーズもキャラクターの等身が上がってリアリティが増しに増した。
そうなると漫画チックな表現がどうしても不自然に映ってしまうだろう。
そこで、違和感のないようにシーンの演出もちょっと変えているのだと思うが、自然であるということは心地よく感じるものだ。

他にも、夜間に監視を受けている主人公に対し先輩が「疲れていたのか制服を着たまま眠っている」といった趣旨の発言をする場面がある。
オリジナルでは何の言及もなかったと思うが、確かに制服を着たままだった。
この後シャドウという敵が襲撃し、戦いに巻き込まれる場面なので仕方ないのだが、主人公は不自然にも制服のまま寝ていた。
そこでリメイクである本作はというと、このシーンでは帰ってきてすぐ、疲れたようにベッドに倒れ込むという仕草が加わった。
男子高校生と考えればなんらおかしい行為ではない。
ここでも本筋に影響しない自然な挙動が加わり、大げさかもしれないがなんだか心憎い演出に感じてしまう。

名作をさらにアップデートするには、さまざま追加要素も必要だろう。
しかしセリフや細かい演出にまでは手を加えなかったりするものだ。
ペルソナ3は、新旧のファンにちゃんと向き合っている。

先ほど始めた私はまだまだ序盤。
正直オリジナル版は何周もして、ストーリーはおろか細かいセリフまで覚えているのだけれど、だからこそ、ちょっとした変化を楽しみたい。
もちろん、パワーアップした要素もかなりありそうだ。
それも味わいたい。

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