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ゲームとことば#82「迷宮でウサギを見かけたなら注意が必要である。」

コンピューターRPGの祖として名高い『Wizardry 狂王の試練場』。
歴代ハードで度々リメイクされてきた作品だが、改めて最新機種で遊べることとなり、本当に愛されているのだなと感じる。

『Wizardry』の魅力のひとつとして、多彩なモンスターの存在があげられるだろう。
今回のリメイクは、日本語版のモンスター解説にベニー松山先生のテキストが使われている。
Wizの世界観構築に大きな貢献を果たした彼のフレーバーテキストは、ファンにとって大変うれしい要素だ。
今回のことばは、そのベニー松山先生によるもの。
悪名高いウサギのモンスター「ボーパルバニー」の解説、その書き出しである。

キュートな動物の代表格ウサギだが、それに注意しろという一文。
シリーズファンならみんなこの時点で首肯するだろうが、文章は次のように続く。

それが普通の野ウサギであれば、他の獣や怪物どもにとっくに喰い殺されているはずなのだから。

Wizardry: Proving Grounds of the Mad Overlord  モンスター図鑑

ウサギが過酷な迷宮で生き残っている理由は、その凶暴さにある。
『Wizardry』のウサギは冒険者の首をすっ飛ばす、大変恐ろしい存在なのだ。
このモンスターには元ネタがある。
「モンティ・パイソン」の映画の短いシーン。荒野を冒険する騎士が洞窟に近づくと、かわいらしいウサギが突然とびかかり、騎士はポトッと首を落とすのだ。
元ネタに興味を持った私は、かなり昔にモンティ・パイソンの映画をいくつか借りてみたことがある。
エログロ・ナンセンス盛りだくさんのモンティ・パイソンは、当時の私には刺激が強かったが、記憶にはしっかりとこびりついている。

『Wizardry』はこのネタを元に、ウサギを迷宮のモンスターのひとつにしてしまった。
そしてそのモンスターを、ゲーム世界の構成要素のひとつとして巧みに味付けしたベビー松山先生。
彼の魅力的な表現に、強いあこがれを抱いている。

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