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ゲームとことば#88「オニだ!オニが出たんだ!いや、オレもオニだけど」
アトラスのRPG『真・女神転生3 NOCTURNE』での一幕。
オニによるオニの目撃談である。
表題のセリフを発している「オニ」はいわゆる「鬼」で、大きな角と牙、真っ赤な体が特徴的。
そして、彼が興奮しながら「出た」と言っている「オニ」は、藤原千方が使役したという四鬼(キンキ・スイキ・フウキ・オンギョウキ)のことを指している。
普通のオニがビビるような、伝説的なオニが出たということなのだろう。
私はこのセリフをなんだか強く気に入ってしまい、以降、女神転生シリーズやほかのアトラス作品でも普通の方の「オニ」を贔屓している。
こういうちょっとしたギャグっぽいセリフは、同シリーズではよく見かけるが、やはりイカツイ悪魔が放つほど印象に残りやすい。
比喩でもなく人間をとって食うような悪魔たちが、フランクな口調で会話をするという非日常の中の日常が、なぜだか私にはとても心地よいのだ。そんな私は果たしてカオス寄りなのかロウ寄りなのか。
とにかく、ゲーム中はストーリーよりもこうした会話の方が気になってしまう。
フィールド上のNPC悪魔との会話も、戦闘中に交渉を行う悪魔会話でも、アトラス作品の悪魔たちが放つセリフは実に魅力的に映る。
悪魔たちの性格というものをそれぞれキッチリ表現しようとすると、「好き・嫌い」「笑う・怒る」「脅す・怯える」といった感情が露わになってくる。
仲魔になるならない、などの結果はさておき、彼らの感情的なセリフに対してプレイヤーは何らかの感想を抱く。機械的な言葉ではないのであまりスルーはしない。
恐ろしいものの象徴であるオニも、自分より力を持つ者にはビビる。
けれどその感想は独り言ではない。「出たんだ!」と相手に語りかけるしゃべりに、コミュニケーションを感じるのである。
コミュニケーションを取れるから、悪魔に対して愛着が湧く。
油断していると、とって食われるかもしれないけれど。
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