いきなり生野菜が食べられなくなった話

ある日突然生野菜を食べられなくなったら、あなたはどれくらい困るだろうか?
私は現在、毎日のように途方に暮れている。明日何食べたらいいのかよくわからない。
大好きだった飲食店に行けなくなり、自炊も勝手が変わり、いつもは嬉しい頂き物のお菓子を諦めている。
食べるのが大好きで、食材にためらいなど持たなかった自分が、今では別人のように思えてくる。

この記事は、現時点の自分の考えや経緯をアウトプットしながら整理することを主な目的としている。
自分の無知や判断の甘さ、恥をさらすことになるが、前に進むために見栄を張って隠したい部分も記す。
ただし、職場や他人の事情はできる限り伏せたい。第三者から見たら不自然に思える箇所が出てくるだろうが、これ以上のことは開示しない。

突然の頭痛と歯痛

4月中旬の真夜中、私はまったく眠れずにいた。
頭と下の奥歯が痛い。それが当初の自覚症状だった。

痛みには強いと自負しているが、歯となれば話は別だ。
以前歯が割れて虫歯になったときは激痛に襲われ、立つどころか這うのもやっとな状態になった。
そのとき私が学んだのは、水や氷を口に含むと痛みが緩和されることだった。

そのため、2024年4月の私も経験を元に、水を口に含んでみた。
まだ痛い。
かつての歯痛が顎の奥をぎゅーっと絞られるようなものなら、今回は顎周りがじんじんするものだった。
ちょうど下の奥歯を治療中で、しばらくじわじわとした刺激が続くことがあった。
その晩の私は、被せものが馴染んでいないところに気圧の変化が合わさったせいかと思った。
10代のころに事故にあって以来、気圧の変化には弱いのだ。

それにしても、今までに経験したことがない痛みだ。
水をいくら口に入れようと治まらない。
残念ながら我が家の冷凍庫に氷はなく、代わりに凍らせておいた苺が1パック分。
「これでも何もないよりはマシかもしれない」
苺を口に入れる。まだ痛い。
頬には保冷剤を当て、内部を冷やすためにさらに苺を追加。

そのうち、痛みが上顎からこめかみにかけてのエリアに移動した。
「あれ、歯が痛いわけではない?」
妙に心がざわついた。

勤め先と体調の変化

私はフリーランスのライターだが、副業でアルバイトをしている。
家に引きこもって文章ばかり書いていると、インタビュー記事に出かけたときにまったく口が回らなくなるからだ。

ちょうど私が頭痛や歯痛に悩まされた4月中旬、現在の勤め先の室内は、期間限定で植物だらけになった。
毎日出勤するわけではないが、その状態で仕事をして2日目あたりで、やたら鼻と肌がかゆくなり、頭痛と歯痛が起きる。
もともと私はハウスダストとダニのアレルギーを持ち、春から初夏にかけて涙やくしゃみが止まらなくなる(秋のほうがひどいが)。
「今年の花粉、ひどいのかな。それとも黄砂? 寒暖差や気圧? 最近仕事ばかりだったし疲れかも?」
半端に体調不良に慣れているせいで、これまでの経験をもとに考えてしまう。
その間にも、どんどん奥歯が痛くなる。痛み止めを何錠も飲んだ。

しかし、4月下旬に歯科へ行くと「虫歯など、口の中に痛みの原因となるものは見当たらない」と言われてしまった。
私自身、この頃、歯でなく顔面の片側のあちこちが痛いような気がしていた。
では、どうしてこんなことになっているのか。
知識がないなりに調べてみた結果、花粉症で歯が痛くなることがあることを知った。

確かに、春秋の花粉の時期は目と鼻がおかしくなる。
実は、数年前にアレルギー検査(View39)を受けたとき、ハウスダストとダニだけ顕著で、花粉系はむしろ大したことない結果だった。
しかし、今年はやたらと顔が痛む。来年と何かが違う。
そんなとき、花粉症になる植物の表の中に、最近よく見る植物の写真を見つけた。
私は慌ててアルバイト先の上長に連絡し、職場に置かれている植物について確認した。
それは白樺だった。

白樺とバラ科アレルギーに怯える

当時、職場には他の植物や白樺(シラカンバ)の幹とは別に、大量の花穂つきの枝が積まれていた。
もちろん白樺は知っているが、職場で枯れ枝だけを単独で見たときにすぐに気づけなかった。

私にとって恐ろしいのは、これらの花粉症になるとバラ科アレルギーも併発してしまうことだ。
バラ科の果物というと、苺、りんご、さくらんぼ、梨、桃、あんず、梅、びわ、プルーンなどがある。ちなみに、アーモンドもNGとなる。
どれも大好物だ。
バラ科アレルギーの反応は、主に食べ物の摂取で起こるが、花自体も避けるに越したことがないそうだ(素人調べなので、詳細は自分で医師等専門家に確認されたし)。

バラ科アレルギーの存在は以前より知っており、「もし発症したら……」と考えたこともあった。
高校のときは華道部だった。嬉しいことがあると部屋に花を飾りたくなるし、花咲く庭園に行くのも趣味のひとつ。
花がモチーフの美術作品を愛し、メディアさんに花と美術のコラムを書かせていただいたこともある。バラ科の花や果実は、日本美術でも西洋美術でも人気だ。
また、香りのよい花が特に好きな私は、梅が咲いているのを見れば匂いをかぎに行く。
バラ科アレルギーになれば、こうした楽しみを一気に失う。

このとき、私は白樺(+ハンノキ)の花粉症への理解のなさを痛感した。
バラ科アレルギーになれば困るどころのレベルではないのに、自分の身近なところに白樺が生えていなかったせいかやや関心が低かった。
白樺やハンノキの花粉のアレルゲンと似た構造なので、バラ科にもアレルギー反応が出てしまうのに。
「もう少し知識を持っていれば、枝だけを見ても白樺だと気づいて警戒できたのではないか」
「上長が『白樺と一緒に置いてある松でくしゃみが止まらなくなった』と言っていたとき、自分は今まで松に近づいても平気だったからと思っただけで終わってしまった」
いい歳をして狼狽してしまったし、目の前が真っ暗になった。
しかし、まだ素人が自分で調べただけで何も確定していない以上、まずは医師の診察を受けるべきだ。

実はこの時点で、私以外にも体調を崩したスタッフがいた。
私自身、家や他の場所とは違い、職場のこの部屋を出入りするときだけやたら顔に鋭い痛みが走る。
私は上長に、現在の症状や花粉症の可能性を告げ、労災など何か利用できる制度はないか尋ねた。
しかし、この時点ですでにゴールデンウィーク。勤務先の担当者は連休明けでないと連絡がつかないらしい。
ここで私は、過去に別の職場で労災関係のやりとりが少し煩雑だったのを思い出した。

この時点では、件の部屋での業務は免除されていたし、白樺の花穂も除去済みだ(諸事情により植物全部を撤去するのは難しかった)。
症状も少し軽減していたのもあり、連休中の受診は見送り、勤め先の担当者に労災などいろいろ確認してから行くことにした。
この時点での主な症状としては頭部(こめかみ、顎、歯)の痛みで、市販薬の鎮痛薬でやり過ごすことにした。

連休中はほぼ屍

連休中はほとんど何もできなかった。
未確定だが、念のためなるべくバラ科の食べ物や豆乳などは口にしないようにしていた。
しかし、慣れない生活と断続的にやってくる顔面痛+αで、常に体力枯渇状態。
休日はひたすら横になることしかできず、行く予定だった展覧会には全然足を運べず。
体調のいいときに自宅でもできるショート動画づくりが、唯一の気晴らしになっていた。

ある日、とにかく何か食べなければとたまたまあったキムチを食べたところ、しばらくしてから呼吸の乱れと頭痛が起こった。
「もしも白樺花粉ならニンジンも要注意ってことは調べてたのになー」
残りのキムチを見つめながら、自分のうかつさにため息が出た。

また別の日、白菜を切り分けていたときに微妙な大きさになった切れ端を何気なく口に入れたところ、また具合が悪くなった。
自分が調べた範囲では、白樺の花粉症で症状が出やすい食べ物のなかに白菜は入っていなかった。しかし、実際に白菜を食べた直後にダウンしている。
「もしかして、この間のキムチ食べたときも、白菜も原因だったりする……?」
何を食べていいのか、何を食べたらだめなのか、ここで判断がつかなくなった。
一応、果物や野菜のアレルゲンは熱に弱いので加熱すれば食べられる場合もある。
そのキムチも白菜も、加熱調理すれば問題なく完食できた。

加熱という解決法を見つけたとはいえ、つい2週間ほど前までどんな野菜もフルーツもぱくぱく食べていたのに、急な体の変化になかなか意識と知識がついていかなかった。
自分が食物アレルギーに対する意識が希薄だったことを思い知らされる。
また、それなりに知識がないと、自分なりにたくさん検索しているつもりでもアクセスできる情報は少ないことも身に染みた。
この前もこの後も、とにかく行き当たりばったりの日々だった(体調不良続きで判断力が低下したのもあるかもしれない)。

連休が明け、私は勤め先の担当者に労災の場合の手続き等を確認してから、アレルギーのほか頭痛外来や脳神経外来も受け付けている内科へ足を運んだ。
初診時に、勤め先の写真を見せながら症状を説明し、鼻に炎症が起きているのを確認してもらう。
そして、数年前にも受けた、特異的IgEの抗体を39項目調べるView39(ハンノキ、シラカンバ、りんごなど含む)で検査することになった。
結果まで1週間かかるが、まずは医師の診察を受けられたことに安堵した。

検査結果と右往左往

もう何もわからない

翌週、再びアレルギー内科を訪ねると、予想外の検査結果を知らされた。
新しく発症したアレルギーは何もなく、それどころか数年前よりも数値自体は良くなっているらしい。
結果の紙を見ると、本当に綺麗なもので、一番顕著だったハウスダストやダニの項目さえアレルギーのクラスが下がっていた。
心配していたハンノキやシラカンバは陰性、りんごをはじめとした食べ物も全て陰性。
非特異的IgEの数値も問題なかった。

愕然としながら、医師に「では、どうしてこの春から急に体調を崩すようになったのでしょう?」と尋ねた。
シックハウス症候群の可能性について確認されたが、職場も自宅も該当しない。
生活習慣も大きく変えていない。
職場にいるときと非加熱野菜・果物を食べたときだけ強烈な異変があらわれるのだ。

職場にストレスがないかも確認されたが、私自身は症状が出るまでとても楽しく働いていた。
最終的に医師は、状況とこの検査結果を照らし合わせると、もう自分には何もできないと告げてきた。
「そんなぁ……」としょぼくれる私に、医師は「君、100人中99人はこの結果見たら『何もなくてよかった』とほっとするものだよ?」と言われた。

世の中の99%の人々は、この医師の言うとおり本当に安心できるのだろうか?
検査上は何も問題なくても、現実問題として私は顔面がずっと痛い。このときも痛かった。
明け方近くまで痛みが続いて眠れなかった日もある現状を異常なしとは思えず、アレルギーではなく原因不明となれば、どう対処していいかもわからない。
不安だ。

検査結果は渡した、検査上異常は認められないので労災のための診断書は書けない、よくわからないが症状が出るなら生野菜は食べないように、という結論で診察室から出されそうになった。
私はもともと不眠症で睡眠外来に通っていたので、「きっとストレスだと思うから、そっちの先生に相談してみて」とのこと。
しかし、このときの自分はどうしても他に原因がないか気になり、専門医から何かヒントを得たいと食い下がった。
その結果聞けた話。
「たとえば何も異常が見つからないのに、腰痛を訴えつづける患者さんがいたら、もう鬱の薬をずっと出し続けるの。整形外科のお医者さんはみんなそうしているの」
以上。

歯科医の見解

話は前後するが、検査結果待ちの間に、別件で歯科へ再度行った。
そのとき、奥歯のあたりの顎(+頭)がまだ痛むと相談すると、やはり虫歯も金属アレルギーなどの様子も口内には見られないという。
代わりに、鼻の奥が腫れると三叉神経を刺激して顎などが痛むことがあると教わった。
確かに、主に痛むのは上下の顎とこめかみだ。
ただ、それ以上の情報を知りたくても、その歯科での診察では難しいようだった。
というわけで、検査結果を聞くときにアレルギーの医師にこの件も尋ねてみたが、結論は上記のとおり「ストレス」だった。

一番長く通っているクリニックでの診察

検査結果を知らされてから数日後、前々から通っているクリニックへ赴いた。
最初に頼らなかったのは、労災の関係と、まずはアレルギーの専門医にかかりたかったからである。

継続して診てもらっている医師に今までの経緯や症状、アレルギー内科でストレスが原因と言われたことを伝えると、首を捻られた。
「話を聞くかぎり、ストレスが原因と断定する段階とは思えないので、別のちゃんとした病院でもっと詳しく診てもらったほうがいいのでは?」
原因がはっきりしないときにストレスと結論づける医師自体は多いらしい。
アレルギーに関しては、やはりここは専門外ということであまり詳しい話は聞けなかった。

職場への報告と思い込み

検査結果を上長に報告したところ、他のスタッフのアレルギー検査の話になった。
その人にはきちんと陽性が出たが、結果のわりには症状が重いと訝しまれたそうだ。
そしてこの時点では、植物は無事に室内から撤去されていたが、その作業のとき別のスタッフも体調を崩したそうだ。

上長は、やはり松が原因ではないかと推測を立てた。
確かに、白樺が置かれた当初、上長はおそらく松のせいでくしゃみが止まらなくなったと言っていた。
そして、View39に松の項目はない。

私自身、庭園巡りで松の近くに近寄ることはたまにあるが、そのときには何も症状が出なかった。
ただしそれは屋外の話で、室内や季節など条件が違えば、話は変わってくるかもしれない。
白樺など他のことばかり意識が向いてしまい、最初に話を聞いていたのにもかかわらず、松についてすっかりスルーしてしまっていた。
他に比べると少数派だが、松の花粉症もあるらしい。

アレルギー検査を受ける際、一応職場の撮影画像を医師に見せながら白樺や松などがあることは説明した。
しかし、私自身白樺のほうが怪しいと思い込んでいたし、そうした状態での説明のせいで、医師が白樺以外の可能性を除外してしまったかもしれない。
それに、私も勉強が足りていなかったので、松について踏み込んで質問したり他の形式での検査について尋ねたりできなかった。
あれだけ時間があったなら、もっと準備してから診察に臨めばよかった。と私は膝から崩れ落ちた。

耳鼻科での診断

職場が元の状態に戻ったのもあるのか、症状自体は少しずつ落ち着いてきた。
ただ、引き続き非加熱の野菜は食べられない。果物も怖くて試せない。
隅々まで念入りに加熱すれば今のところ大半の野菜は平気だが、自分は火が通っていると思っていても、少し生っぽい部分が残っていると最悪吐いてしまう。

本来はアレルギーを専門的に見てくれる大学病院にでも行くべきなのかもしれない。
別の検査を受ければ、何か打開策が見つかるかもしれない。
しかし、どこを頼ればだんだんわからなくなってきたし、紹介状もない。
鼻の調子は悪いままだったので、ひとまずアレルギー対応もしている耳鼻科を訪れた。

検査結果を持参し、松の件も含めてこれまでの経緯を説明したのだが、ここでの見解は寒暖差アレルギーだった。
季節の変わり目に体調を崩しやすい。検査の結果はたいしたことがないのに、花粉の時期になると涙やくしゃみが止まらなくなる。
それも、寒暖差アレルギーが原因なら説明がつくそうだ。
頭痛なども、寒暖差が大きいと発生してしまうようで、鼻炎や自律神経が関係しているらしい。

ただ、ここでいくつか疑問が生まれた。
今年の春から急に非加熱野菜を食べると体調を崩すようになったのも、寒暖差アレルギーで説明がつくのか?
これに関しては、明確な答えが得られなかった。
そもそも、寒暖差アレルギーと他のアレルギーは仕組みが違うらしい。

また、私の他にも体調崩した人たちがいるのは、寒暖差アレルギーと関係があるのか?
こちらについては、「風邪かコロナがたまたま重なっただけでは?」と言われた。
ただ、他のスタッフの症状や詳細を話していないうちにこの回答を出されたので、少し釈然としないところがあった。

とりあえず、当面はアレルギー症状を抑える薬を服用して様子見することになった。
アナフィラキシーになったら大変なので、もうしばらく非加熱野菜を避ける生活が続くことになった。

現状

職場は既に元通りで、顔面が痛くなることもなく業務にあたれている。
薬を服用しつつ食事や環境に気をつけていれば、体調不良はあまり起きない。
とはいえ、まだ新しい生活に慣れきっておらず、たまに元の感覚のまま行動してオウンゴールを決めてしまう。

外食の機会はかなり減った。
ある日野菜炒めを口にしたところ、想定以上にシャッキリ感が残っており、翌日まで寝ては吐いての繰り返しだった。
ずっと前から約束していた友人との食事についても、選択肢を狭めてしまったり気を遣わせたりしてしまった。

自炊なら大丈夫かと思ったが、敗北するときはする。
今までよりしっかり火を通したつもりでも、野菜の切り方次第では中心部に熱があまり届かないのか、しばらく苦しむ羽目になる。
本当は生野菜が好きだし、普段作る料理もせっかく見つけた自分好みの煮方や焼き方を全無視してひたすら加熱。
食べることも作ることも好きだったので、食事のたびに前の食生活への未練がわく。

自分の中では「これは多少生でもセーフ」「これは量によってはダメかも」「絶対口にしない」という野菜の分類ができはじめた。
しかし、やはり素人の自己判断は危険なので非加熱と思しき野菜は徹底的に避けるに限る。

実は、部屋に生花を飾るのも今は控えている。
どうもむわっとした感覚に襲われ、落ち着かない。
花の種類を変えても同じだったので、これもしばらく控えることにした。
屋外で植え込みのそばを通り過ぎる程度なら何も起きないのが救いだ。

甘いものも大好きな私は、スイーツ系の店の前を通って綺麗なフルーツを見ると悔しくなる。
ナッツ類を使った焼き菓子もダメ。
ドライフルーツもアウトなので、フルーツ系の食品全体を避けがちになり、今はジャムが癒やしである。
野菜よりもフルーツ断ちは簡単だ。ただ、とても恋しい。

買い物のとき、食品の原材料欄は隅々まで目を通すようになった。
主要なアレルギーはわかりやすく表示されているが、そうでない場合は注意深く熟読しないといけない。

休日は体力温存のために家で過ごすことが多くなった。
おかげで、行きたかった展覧会をたくさん逃してしまったが、最近はポツポツと出かけられるようになった。

まとめ

30年以上生きてきて、食物アレルギーがさほど身近でなかったせいか、私はアレルギーへの解像度が低かったようだ。
いざ我がこととなると、「あれもダメ、これもダメなんて」としばらく驚いてばかりだった。
アレルギーを持つ友人知人には自分なりに気を遣っていたつもりだったが、振り返ると配慮がまだまだ足りていなかった。
反省することの多い2ヶ月弱だった。

また、自分の理解を超えるほどの不調が発生すると、動揺するし、いろいろ調べたくなるし、納得できる理屈と答えを延々と求めてしまうことも知った。
非科学的なものにすがりたくなる人の気持ちも理解できた。
しかし、野菜も果物も生花も気にせず楽しんでいたころの身体に一瞬で戻れる、魔法のような薬はないのだ。
そして、複数の医師たちに見てもらっても、自分の不調が全部理解できる理由が得られるわけではない。 
一生このままなのかどうかも確定していないようなので、希望は捨てたくないが、今はこの状況に順応しようと思う。

本音

生野菜食べたい生野菜食べたい生野菜食べたい生野菜食べたいフルーツも食べたい梅干し食べたい今まで梅干しが体調不良のお供だったのになんでなんでなんでなんでなんで私の人生の友を奪うな
せめて漬け物系だけでも解放してほしい私にとってこれは生じゃない生じゃないんだ非加熱なだけで生じゃないんだ
気取ったカフェで出されるサニーレタスと小洒落た野菜をちぎってようわからんドレッシングをかけたサラダが無性に恋しい今なら炊飯器一台分いける
生花を愛でたい造花ではない香りも瑞々しさも散るのも楽しみたいんだ食べてないし換気してるのになんで具合悪くなるんだこんなに花を愛しているのになぜ私を拒むんだ
せっかく何年もかけて一番自分好みの味を作れるようになったのに何が悲しくて加熱加熱一辺倒でベストタイミングを流してカリッカリしなっしなになっていく細切れ野菜の成れの果てばかりを見つめないといけないんだ
ほんの少し前までどれも問題なくパクパク食べてたのにこんなことなら3月に行ったイチゴスイーツフェアであの2倍食べておけばよかった4月頭に行ったミュージアムカフェで全メニュー制覇すればよかったーーーーーーー!!!!!!

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