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ますたりいふぉあさあびす

ますたりいふぉあさあびす 

 私が働く上で大切にしてきた言葉で、関西学院大学のスクール・モットーです。第四代学長のC.J.Lベーツ先生が提唱して、関学人のあるべき姿を指し示しています。
 Mastery for Service は、「隣人、社会、世界に仕えるための練達」と訳されます。
 努力して学んだり鍛錬したりして、知識、技術などを習得するのは、身近な人々や地域社会などの役に立てるため、奉仕のためだという意味です。
 このキリスト教の隣人のための奉仕という考え方は、神は愛であるに通じています。

 でも、現実の世の中は、自分さえ良ければそれでいい、自分が得するのならば、人はどうなってもいいという考えが蔓延しているように思います。

・会社や組織で出世していくのは、うまく立ち回った人間で、真面目に正直になんかしていたら、いつまでも下っ端でこき使われる。
 ・自分の身を守るために、良い提案とわかっていても、自分が気に入らなければ取り上げない。
 ・上司に嫌われたら出世できないから余計なことは言わない、それがやらなければならないことであっても、保身のために黙っている。
 ・会議は、偉い人の意見があって、それに逆らうことはできない。最初から結論は出ていて、それを承認するための儀式になっている。
 などなど......。

 日本の社会、会社、組織ではこんなことが、普通に行われています。

 いわゆる縦社会の男社会で、出る杭は打たれる、みんなと違うと仲間外れにされるという日本の悪いところが、この国の進歩を阻んでいるのです。多様性とは縁遠い、古い体質がまだまだ日本には残っているのです。

 私は、来年で定年ですが、いつもこの母校のスクール・モットーである"Mastery for Service"を肝に命じて働いてきました。そして、会社にとって何が大切かを考えて、上司であろうと言うべきは言って、ある時は、逆らっても意見を通して、そのことで結果も出してきました。部下に対しても妥協せず厳しく指導してきました。
 そんな僕ですから、上司や同僚の嫌がらせ、妨害は常にありました。そして、反発する部下もいました。

 でも、沢山の会社への貢献をして、それを認めてくれている人も沢山いますし、なんといっても得意先の皆さんが信頼を寄せてくれて、「ありがとう」と言ってくれます。

 "ますたりいふぉあさあびす"を肝に命じやってきたからこそ、自分のやってきたことに誇りを持って生きていけます。そして、本当に認めてくれている仲間や友人、同僚、部下、そしてお客様がいます。

 組織でのつまらない評価なんかよりも、もっと大切なものがあります。
 嘘や偽装を重ねて出世しても、心からの尊敬は得られません。そして、誰も本当は認めていないのです。

 僕は、どんなに妨害されようが、邪魔されようが、正しいことをやっていて、それが会社に貢献することだと自信を持っていたので、臆することなく自分のやり方を貫いてきました。だから、自分の心は、満足感で一杯です。

 すべては隣人、社会、世界に仕えるためにということを肝に命じて、これからも生きていこうと思います。

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