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第91話あとがき 微睡みと窓

昨日は娘の誕生日で、学校から娘が帰ってくると、外出していた夫に合流し、早めの晩御飯を食べました。久しぶりの外食、何が食べたいか聞くと、ラーメンだそうで、
「誕生日、ラーメンでいいの?」
というと、
「ラーメンのスープをご飯に入れたやつが食べたい」
とのこと。じゃあ、行こ行こ、ラーメン食べに行こってことで、まだ空いているラーメン屋でゆっくりラーメンを食べ、ケーキを買って帰宅しました。
ケーキはイチゴショートふたつと、ザッハトルテをふたつ。
お風呂を済ませ、ケーキを食べました。

その後私は猛烈に眠くなり、19:30ごろに布団を敷いて横になっているといつの間にか寝てしまって、23:30に微睡みながら起きました。
本当に久しぶりに半覚醒状態が長く続いて、夢を見ました。
夫と娘はぐっすりと寝ているようでした。

夢の中で我が家は小さな古い可愛いアパートに引っ越していて、そこには後ろ姿が夫によく似た女性の管理人がいて、なぜか夫は100万を現金で隠し持っており「ぱあっと使おう」とらしくないことを言い、私は失くしていたモヘアの紫色の靴下を発見し、お風呂のバスタブは半透明の緑色で、お湯を溜めると水が藍色に見えて綺麗で、窓のへりに座ると商店街が見下ろせて、目の前は百均で、私はこの上なく幸せを感じていました。こんな家に住めて、とてもラッキーだと思いました。
三軒隣にはレトロというには生活感のある居心地の良い喫茶店があり、マスターは古い写真のコレクターで、そこの娘は矢田亜希子で時々写真を持って店を訪れていました。私は明るくなり始めた夜明け、散歩に出て矢田亜希子に出会い、声をかけました。
「これからお店に行くんですか?」
「ええ、アルバムを届けに行くんです」
「私も古い写真を見るのは好きです」
「じゃあ一緒にご覧になりますか?」
「ぜひ」
2人して喫茶店に行き、お店唯一の個室でマスターと3人で古い写真を眺めました。と言ってもそれは、マスターが撮った数年前の写真で、砂丘と思われる風景の時間帯が違うものが何枚もありました。明るい砂丘や、薄暗くなった砂丘、ほぼ暗闇の砂丘。
矢田亜希子が帰るというので、私も一緒にお暇し、
「お父さまは砂丘がお好きなんですね」
と話しかけました。
「多分そうです」
「私も砂丘が好きです」
と言うと
「私はそれほど…」
と変わらぬトーンで矢田亜希子が言いました。
「夜になったら砂が光ると思って待っていたのに、光らなかったので」

いいかげん目を覚まし、先日友人のぐうこちゃんからもらったお酒を1人で飲みました。夫も娘も眠ったまま。静寂の室内で、目を瞑ったらそのまま、また夢の世界に戻れそうな微睡みを感じながら、美味しいお酒を頂いて、私は何て幸福なんだと思いました。

どうだろう。私の幸福感がうまく伝わったでしょうか?
あとがきにいきましようか。

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