雑念

やらなきゃいけないことが山ほどありながら、それを差し置いて文章を書こうとしている。
午前中は喫茶店で仕事した。
テキスト記事の仕事を一本OKもらい、漫画のラフを考える。これでいいだろうと思うところまで持っていって、帰宅。途中コンビニでサンドウィッチを買う。
帰宅すると夫も娘も出かけていて、また私は一人仕事を始める。
と二人が帰ってきた。
娘の上着を買って、食材の買い物をして帰ってきたところだった。
昼食の準備をする夫に、作業を中断してもらってラフのチェックをお願いした。
「ここがよくわからない」
と言うところをいくつか問答して、少し訂正することにする。
「考えながら仕事部屋でご飯食べるわ」
と言うと娘が
「えーお母さんと一緒に食べたかったのに」
とぐずりだした。
すると夫が
「お母さんかわいそうなくらい忙しいんだよ」
と言って娘を慰めていた。
ちょっと吹き出してしまう。なんだその慰め方。
仕事部屋でサンドウィッチを食べながら、どうすればもう少しわかりやすくなるか、考える。前後を何度も読み返し、不意に、「あ、この言葉を足せばいいんじゃない?」というのが降りてきて、また夫と娘がお昼を食べているリビングへ。
「ああ、すごくわかりやすくなった」
と夫。
「お母さんここで仕事するの?」
と娘。
「や、確認に来ただけ。また部屋戻るよ」
「なーんだ」
それから部屋に戻って作業を進める。
扉を開け放しているので、リビングの二人の声が聞こえてくる。どうも「鬼滅の刃」の話をしている。娘は今「鬼滅の刃」にハマっていて、夫も娘と一緒に見ているうちに、二人で、私にはわからない会話を繰り広げるようになった。
「お父さんは何柱だと思う?」
「なんだろうね」
「ひじき?」
「は?」
「焼きそば?」
「え?」
「焼きそ柱?」
沈黙
娘の冗談なのか、本気なのかわからない発言に、しん…、とするリビング。に、聞こえないように腹を抱えている母。
仕事だ仕事。
そのあとしばらくまた仕事に集中したが、どうしても焼きそ柱が頭から離れない。
かわいそうなくらい忙しいんだよ、という言葉もまとわりついている。
夫と娘のやり取りを外野から聞くのがめちゃくちゃ面白い。
なんだろうな、あれ。二人とも独特すぎるんだよ。この気持ちをなんとか消化するために私は一時仕事を中断してまで、この文章を書いたのだった。
仕事に戻ります。

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