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第90話あとがき 現実に繋いでくれる存在

そういえば最近、夢を覚えていません。
見ていないわけではない気がするのだけど、目が覚めるとすぐにどこかに消えていってしまいます。
いつからだろうかと考えると、子どもを産んでからだな、と気がつきました。
朝起こされるので、まどろむ時間がないのでしょう。夢は覚醒する手前で記憶に定着するんだと思います。私は子どもを産んでから、夢を記憶に定着させる前に覚醒しているんだろうと思われます。

昔は、印象的だった夢は、日記に残していました。
夢を文章にすると、不思議な文体が出来上がり、それを夢文体と呼んで、結構気に入っていました。脈絡のない、不条理なことが、当たり前のように進んでいく夢、それが淡々と書き記された夢文体は、どこか寂しく、心地よい。
夢って寂しくないですか?
夢の中の「私」の周りで起こる色々と、それに対して何か感情が動いている「私」とがくっきり分かれて両方認識されているような、深い孤独を感じているような気がします。それとも起きた時に、あれが全部夢だった、と思うから寂しいのでしょうか?
どうだろうね。

昔、朝起きた娘が話してくれた夢は、私が電車に乗って娘がホームに取り残されて、泣いていた、という夢でした。娘はそれを朝ごはんを食べながら淡々と話しました。
私は、夢の中で経験したことも、その時脳が現実だと考えているのであれば、「実際に経験した」と言えるのではないか、と思えてならないです。
娘はホームに母親に置き去りにされた、という経験をしてしまったのか、それはどんなに寂しかったろうか、と思って胸が痛みました。でも娘は起きた時、夢でよかったとホッとしたかな。

夫の話してくれた夢で気に入っているやつは、歯が抜けたと思って口から手に出したらサイコロだった、というものです。何度聞いても笑ってしまう。歯が、抜けたと、思って、手に出して、それがサイコロだったって、ウケる。その時の夫の戸惑いを思うと、腹の底から笑いが込み上げてきてしまう。普段クールな夫という前振りが効いているのでしょうか。へこんでる時に思い出したい夢エピソードの一つですね。

あとがきにいきましょう。

当時の日記が残っているので、元ネタとして掲載してみます。

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