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No.259 「己と向き合う」

新年度開始の4~5月は、一年で一番の繁忙期。今年はコロナ禍前のように全国を東奔西走している。

生徒たちは静かに話を聞く。新入社員たちもこちらの指示通りに動く。一見何の問題もないように聞こえるかもしれない。しかし、私はある種の危機感を拭えない。

己の意思が感じられないのだ。

和を尊び人の話を静かに聞くことは日本人の美徳と言える。しかし、そこに己の意思がなければそれはただ影に過ぎない。ゆくゆくは他者の指す道へと向かい、影の道を歩むこととなる。

何に心動かされ、何を嬉しい楽しいと感じるのかの己の心無くしては、それは亡き者、亡者の如き物

徳川家康の言葉だと聞く。

他者に沿うより他、何をしたら良いかわからない。今の日本はそんな若者を排出してしまう環境にある。

新学期、新年度、よくよく己と向かい合ってもらいたい。他者と向かい合うのはそこからのみ始まると心得てもらいたい。

大人の言う通りに、大人の指示通りに動いても、心地好さは覚えない。人間は、自分の意思に沿って行動することにより心地好さを覚え、人生の醍醐味を感じるものだ。

「指示待ち」と揶揄されて久しい。子供や若者から、目の輝きが失われている現実を真剣に考える時である。

2022年5月

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