土手に行く

辛いことがあった時、僕は必ず土手に行く。
土手とは川辺にある、水害などを防ぐために土を積み上げている、例の場所である。

土手はいわば、僕にとってパワーポットであり、それどころか大きな精神的な支柱となっている。

それはなぜか、話は19歳の時に遡る。
高校卒業したての僕は、その年、初めて”LIVE”に出た。

それはK-pro主催の「レジスタリーグ」という、22歳以下の芸人(プロアマ含む)が出演するバトルLIVEで、お客さんの投票で順位が決まる。

そして僕はそのLIVEで、惨敗、プライドをメッタ刺し、元々の形がわからなくなるまで心を凄惨に変形された。

そのLIVEの帰り道に、僕は土手に飛び込んだ。
赤羽と川口を横切る、荒川の土手に。
(今は絶対にそんなことしません。その時はどうかしていました。)

なぜ土手かと言われれば、単純に目の前に土手が出てきたからで、決まった理由はない。
あのやられ切った精神状態で、あの傾斜がでてて、たまらず飛び込んだけだ。

そこから、2時間くらい土手にいたと思う。

かつての僕は、大きな挫折や辛いことがあった際、肯定されることも否定されることも受け入れ難く、「なにがわかるんだよ」と感じてしまうことがあった。
(※今では応援や励ましを比較的素直に受け取れるようになりました。)

そんな僕に対して土手は、水害に備えてナナメっているだけで、否定も肯定もしてこない感じがして、妙に心地よかった。

この瞬間から土手は、見向きもしなかった場所から、特別な場所に変わっている。
土手が斜めなのも水害に備えているわけじゃなく、飛び込んでくる僕を優しくキャッチするためなんじゃないかと思えてきた。

それから、僕は大きな挫折や辛いことがあったときは必ず土手に行くようにしている。
土手、いつもありがとう。

みなさんも挫折や辛いことがあったら、土手に行ってみてはどうでしょうか。

僕が飛び込んだ土手の正確な位置については、URLをチェックしてみてください。
また僕が飛び込んでいるかもしれません。
(土手:https://goo.gl/maps/kXBGZFZQ3tKV3nYt6)


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