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寝坊のあと急いで支度をし、このあたりで評判の鰻屋へ行く。開店時間前に到着したが、入り口に置かれた紙にはすでに10数組の名前があった。

今日も風がよく吹く。鰻の焼ける匂いを全身で受け止めながら待つ。少し離れた駐車場に車を停めてきた夫は、介護施設らしき建物の窓から顔を出してこの匂いを吸い込んでいるおじいさんを見かけたらしい。

名前を呼ばれ、店に入る。うな丼(松)肝吸い付きをとる。器から中身から店内のしつらえから、全てが懐かしく美しい。夫と向き合って、しばし無言で鰻の時間を過ごした。

鰻のあとの満腹感は、ただの満腹感ではない。大人になった喜びを含んでいて格別の心地がする。夏の入り口(今年はずっと涼しいせいか7月の半ばを過ぎてもそのように感じる)にこれを味わえて、本当によかった。