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そうこうするうちに季節はひとつ進んで、食卓には焼き魚や佃煮などを積極的に並べるようになった。冷蔵庫を開くたびに長期保存タイプの冷麺のパッケージと目が合うが、奇跡的なほどの夏日にならない限りそれを取り出すことはないような気がする。

日本以外の国にも四季はある。そうわかりながらも、帰国してからというもの、この国の季節の移り変わりの目まぐるしさに驚いてばかりいる。果たしてそれはここまで忙しないものだったかしらん。

新居に移り、母国での日常生活を再開してから早4ヶ月。慣れたといえば慣れたが、慣れていないといえば慣れていない。そう感じるのは、新しい習慣をまだ確立できていないからだ。

たとえば、前の街に住んでいた頃は入手できる食材に限りがあったがゆえに、献立のかなりの部分を自前で対応するようにしていた。戻ってきてからもしばらくはそのやり方を継続していたが、実はもうそうする必要が全くないことに(ようやく)気がついた。帰国すれば増えると思っていた自分の時間が意外と増えなかったのには、明確な理由があったのだ。

メインのおかずは、冷凍のクリームコロッケやエビフライを揚げればよい。場合によっては自力で準備するよりも十分美味しいし、安くも済む。ちょっとした発見に気をよくして、最近は生協のカタログを毎週楽しく眺めて過ごしている。