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[ー閉ざされた世界ー]第13話

[土居VS木下](前編)
(登場人物)
土居一(どいはじめ)
木下基木(きのしたもとき)
川原ヒロキ
岩谷赤也
成戸明(なりとあきら)…東区第2支部長
無能力者(A、B、C)

木田との戦いから数時間が経ち、ヒロキは無事に東区のアジトまで田村と囚われていた人達を連れて帰って来た。

岩谷「おぉ〜お疲れ!よく帰ってきた!(囚われていた人たちに)皆さん今までご苦労さまです。これからは、安心して過ごして下さい。」

囚われていた人たちは、ゆっくりアジト内に入って行った。岩谷は、田村のところに向かう。

岩谷「英次…良かった。ヒロキ医療室まで行ってくれ。」
川原「分かりました。(早歩きで向かう。)」
岩谷「(ヒロキを見届け)く!…」

少し時間と日が経ち、田村は無事に治療も済んだが、暫くの間動けない状態になった。
日にちが経ち、東区本部の入り口から木下が細鉄棒を背中に刺して、歩いてくる。

木下「うぃっし…見回りするか。(後ろに気配を感じ振り向く)ん?…岩さん。」
岩谷「気配を感じたか?さすがだな……見回りか?気をつけてな。」
木下「あぁ、充分気をつけます。」
岩谷「南の連中がそこいらにいるかもしれんからそん時は…」
木下「そん時…全力で追い返しますよ。もし、抵抗するようなら…痛い目はあってもらいますよ。」
岩谷「基木……」
木下「そんじゃ…行ってきます。」

木下は、スタスタと歩いていく。

岩谷「…無事に、帰ってこい……。」

少し場面が変わる。東区内の廃村近くに土居が悠々と歩いている。

土居「ふぅ〜そろそろ戻るかな……(遠くの方を見て無能力者に)お!アイツらも南に連れて行ければ荒谷さんからお褒めの言葉を頂けるかな。(スタスタと無能力者の方へと歩きだす)」
木下「(音無く走りながら周りを見ている)ここらは大丈夫そうだな……ん?(鼻をヒクヒクさせる)何だ…嗅いだことのない匂い……この先か…」

木下は、少し早く走り出した。
場面が変わり、土居が無能力者の人たちに静かに近づいていると、1人が気づいた。

B「え⁈誰ですか?」
C「どちら様で?」
A「え?人だ。」
土居「《ふ〜んこいつらこの世界は初めてか…なら少し安心させるか?》(少し優しい口調で)みなさん、お困りじゃないですか?」
C「え?あぁ…(2人を見て)」
B「…は、はい!」
A「腹が空きまして、3人でどうしようかと……」
土居「(さらに優しい口調に)なら……私と共に来ませんか?水も食糧もありますよ。」
3人「(それぞれ)え?良いんですか?」
土居「えぇ、構いませんよ。さぁ、こちらです…共に行きましょう。」
3人「(それぞれ)は、はい。」

無能力者の3人が申し訳なさそうに土居の前に出て歩き始める。少し歩いた瞬間に土居の近くにいたBが突然倒れた。Bは、肩を押さえて蹲っている。

C「おい、どうした⁈……え⁈」
A「え⁈」

2人の目の前には、さっきまで優しく微笑んでいた土居が不気味な笑みで血がついた短刀を持っている。
不気味な笑みを浮かべながら土居が喋りだす。

土居「ふっふふ…気が変わった…やっぱここでお前ら俺の餌になれよ。」
A「え?……エサ?……どういうこと…ですか?」
C「エサってどういうことだよ(木下に拳を振おうと向かう)」
土居「遅い……(避けて短刀の持ち手の部分で)少しここで眠れ!」
C「コゥ!(倒れる)」
土居「さて、次はお前だ。大人しくしてろよ。」
A「は、は……」
成戸「おい
‼︎そこのお前‼︎何にしてる。」
土居「誰だ⁈」
成戸「誰って…この辺りをシマにしてる…第2支部の者だ。文句あっか!」
土居「第2支部…あぁ〜今俺らのリーダーのやることを邪魔してる奴らの……それじゃあ、まずはあんたから始末するかな。」
成戸「やれるもんならやってみぃ!《無能力者らしき人が3人…ここからまぁまぁ支部まで距離はあるが、コイツを出し抜いてでも連れていかねぇと。》」

2人が、戦闘態勢で睨み合う。そこに、タッタッタと走ってくる木下。

木下「うぉ!成戸さん!大丈夫か〜⁈」
成戸「え⁈基木くん⁈」
木下「(周りをグッと見渡し)事情は大まか理解しました……成戸さん!そちらの3人を連れて第2支部まで行って下さい。」
成戸「え⁈でも、そんなことすれば……」
木下「(土居の方を向きながら)コイツの相手は俺がやりますから!」
土居「何もしないならそこの餌をもらうぞ。(3人に飛びかかる)」

飛びかかる土居の目の前に木下が間に入り込む。

木下「お〜い、相手は俺だ……成戸さん…その人たちをお願いします。」
成戸「…あぁ、申し訳ない…(3人の傍に行き逃げる。)」
土居「逃さねぇよ!(3人に向かおうとする)」
木下「(細鉄棒を構えて土居の前に立つ)だから、相手は俺だわ。」
土居「(短刀を瞬時に構える)おっと!これは、(武器を見て)部が悪い…が邪魔する奴は消えてもらおう。」
木下「かかってこんかい!」

2人は、互いに力を込めシュン!と見えなくなり、木下が土居の近くまで凄まじいスピードで近づき細鉄棒を当てようとする。

土居「(能力でかわし短刀を構える)あら、面白い…じゃあ次は……(シュン!と木下の目の前に来る)細かくいくぞ。」
木下「く!早ぇ…しかも近!……でも集中!」

土居が、シュン!シュン!と短刀を動かし木下の身体を貫こうと動かす。それを、木下が鉄棒を巧みに使いながら短刀が身体に触れぬように動くが、少しずつ身体に傷がつき始める。

木下「《くぅ〜効くねぇ〜これ以上喰らうのはマズイけど……》まぁまぁ喰らわせたな〜じゃあ、次は……俺から(またシュンと能力全開で鉄棒を振るいに)よいしょ〜︎‼︎
土居「舐めやがって……能力発動……」

土居が、短刀を口に咥えて地面に潜り出し木下の攻撃をかわす。それを気配を感じながら木下が鉄棒でさらに追撃をする。2人のまわりが、クレーターのようにボコボコになるが、土居は彼方此方をボコンと穴を開け始める。

木下「お前…何してる⁈穴だらけじゃん……ん!」

木下は、自分の足元の気配を感じ細鉄棒を振りかぶり叩く。
別の穴から土居が頭だけ現す。

土居「危ねぇ〜〜その鉄棒に当たるのは命に関わるな。《奴の気配を感じるスピードはかなりのもんだわ〜》」
木下「く!惜しい〜だが次は当てる…ふぅ〜今度は…森の…震動
‼︎

木下は、足元に開いた穴に鉄棒を力を込め叩き込んだ。
地面が全体に揺れる。

土居「(地面内から)うぉ〜〜ヤバ!…(シュンと何かを飛ばす)」
木下「(何かを避ける)おっと…何だ⁈短刀?…いや違う…か。」

地面から土居が現れる。

土居「本気でやるか?(人獣化している状態で現れる)この姿を見れば分かるが、俺の能力の一つは…土竜だ。もう一つあるが、まぁ、いずれ分かる。」
木下「もう一つは知る前に……お前を殺る。(木下も、グ静かに力を入れ人獣化し始める。)」
土居「ふ〜〜ん…猿野郎……速攻で終わらせてやるよ。」
木下「ウギャ
‼︎それは、こっちのセリフだわ。」

両者睨み合い、互いに次の迎撃が始まる。


次回:14話[土居VS木下](後編)


筆者「後編は、急遽決めたので
できる限り早めに書きます。」

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