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[ー閉ざされた世界ー]第15話

[月山VS権藤]
(登場人物)
月山鑑(つきやまかがみ)
権藤仁

(場面)東区アジト入り口・早朝。
アジトから権藤が歩いてくる。

権藤「さて、早朝の見回りに行くか……まぁ、個人的な散歩も兼ねてるんだが。」

権藤が、歩き出す。
権藤が、ゆっくり見回りしながら歩いていると、目の前に空き家が数個ある場所に人影を見つける。

権藤「ん?……誰だ?」
月山「(地面を触りながら何か言っている)見ない間に良い土になったな…この辺りは俺の土地にしたいね……荒谷さんに提案してみるか?」
権藤「あいつは……」
月山「(何か気配を感じ)ん?あれ…権藤さんかい?……お久しぶりで〜す。こんな場所で奇遇ですね。」
権藤「鑑…お前もこんな所で何してる?」
月山「何って……ただの散歩ですよ。ただの……」
権藤「散歩ね…」
月山「はい、権藤さんも…散歩ですか?…変わりませんね〜。」

牽制しながら2人は、見合っている。
月山が、話しだす。

月山「権藤さん…単刀直入に聞きます……東区貰えませんか?」
権藤「何言ってる⁈ふざけてるのか!(怒気を飛ばす)」
月山「ふざけてはいませんよ。まぁ〜いずれは東区は頂きますけど…この場で決まったら良いな〜と思って聞いたんですがね〜」
権藤「ふざけてんじゃねぇぞ!おめぇらに奪われて今懸命に生活している人たちがどうなるか分かったもんじゃねぇ。」
月山「はぁ〜頭が硬いお方だ。なら(徐に釘バットを手に取り)仕方ない……無理やりでも奪いましょうかね?」
権藤「そうか……やる気何だな…仕方ねぇか。(少し両腕に力を込めた)」
月山「スッゲ〜覇気だわ〜……でもね、俺も何もしてなかった訳じゃないんですよ。(手に持つ釘バットに)付与…猪の力。」

両者が、睨み合う。
権藤は、周りを見る。

権藤「《…木造の家……落ちた木材……》ふぅ〜(目の前の月山に静かに照準を合わせる。)」
月山「(突発的に)うらぁ〜〜頭叩き割ったりますよ〜!」

権藤は、その場から動かず攻撃を受ける。
月山の釘バットが、権藤の左手にドスっと当たる。

月山「ふふ…腕か…このまま振り抜いて……ん⁈何だ」
権藤「(釘バットを受けながら)どうした?振り抜いてみろ…それによ、こんな傷は、ただのかすり傷だ!」

攻撃を受けてない腕にグッと力を込める。

権藤「攻撃というのはこういうことだ…破‼︎(月山の腹に向かって拳を振るう。)」
月山「くぅ!《まずい……》(月山は、腹に力を込める)」

月山は、一撃を受け一時離れる。

月山「《くっそ!腹の中が…震えるな。》」
権藤「ん!やっぱ能力はもう1つあるか。」
月山「えぇ……シャコ貝です。こいつは硬いんでね〜防御面で役立つんですよ。」
権藤「それにしては、ダメージが大きいようだな。」
月山「ふふ、それほどでもないですよ。《く!正直、こんなのいくつも喰らう訳にはいかないな…》」

両者は、再び睨み合う。
再び月山が、動きだす。

月山「(向かいながら)今度はこういうのはどうですか!(釘バットを振りかぶる。)」
権藤「《何だ単調な攻撃…何かあるか……》(両腕でガードする。)」
月山「(シュンと消える)ただの攻撃じゃないですよ。」
権藤「ん⁈(瞬間的に気配を感じ両腕にさらに力を入れる)」
月山「(頭上から釘バットを振り落とす)オラァ!」
権藤「(グンッと両腕に落ちてきた釘バットを)ヌン!(地面が、凹む勢いになる。)」

月山は、また一歩下がる。
権藤が、一言。

権藤「少しは……楽しめるな。」
月山「あなたも、好きですね。」
権藤「でもよ…鑑…まだこんなもんじゃ……俺は沈まねぇぞ!」

権藤は、力づくで月山の攻撃を浮かす。

権藤「さっきも言ったろ……攻撃はこうするんだ。」

権藤は、拳に力を込め、月山の腹に

月山「まずいな!こりゃ〜(瞬時に腕を腹に入れる。)」
権藤「……ロック
‼︎」
月山「(拳突きを喰らう)うぅ!(勢いで飛ばされる)」
権藤「今度のは少々能力を加えて打ち込んでみたが…まだ倒れねぇか。」
月山「ぐぁ!《また喰らっちまった…》はぁ〜はぁ〜……まだですよ…それにここで退場は…勿体な過ぎますからね。それと、少々能力をって…会った時からガッツリ感じ取ってますよ。」
権藤「ふん、バレてたかよ。」
月山「(息を整え、釘バットに)付与…」
権藤「来るか…」
月山「(釘バットを両手で構えながら)猪牙!」

月山が、権藤に向かって突進してくる。

権藤「まるで猪だな……普通なら避ける場面だが…俺は………(身体に力を込めながら木造の家側をチラッと見る)イケるか⁈」
月山「頭ぱっくりいって吹き飛べ
‼︎
権藤「(頭を庇いながら家側に走る)よっと
‼︎
月山「(軌道を変え追撃しようとする)逃がしませんよ〜」
権藤「(長めの木材を手に取り)オラァ!」

両者の武器が、ぶつかる。

月山「く!木材ですか…しかも持った瞬間に少し付与させてますね?流石ですね。」
権藤「当たり前、この瞬間だけでも武器になってもらうからにはこれぐらいはな、」
月山「ふん、でも釘バットのほうが上位でしょ?ほら、押しますよ〜。」
権藤「どっちが、上位か何て関係ねぇ……こっからは心が折れない奴が……勝つ。」
月山「そんじゃあ、俺ですわ〜(グッと構えながら向かってくる。)」
権藤「(木材を構え)来い!」

両者の武器がぶつかる。月山の釘バットが権藤の木材にガキン!と当たった瞬間、木材が折れ、折れた方が2人の近くに落ちた。
月山は、さらに力一杯釘バットを振り落とす。

月山「追撃……猪牙突‼︎(さらに力が加わり、襲いかかる)」

権藤は手に持った木材を前に出し、腕も前に出す。
振り落とされた釘バットが、権藤の腕にぶつかり両者睨み合う。

権藤「ふん!(力を入れる)これしき…何てこともない(腕からは、血が吹き出ている。)」
月山「無理はしない方がいいですよ。(さらに、グッと押し込もうとする。)」
権藤「……だからよ、俺がこん何で…負けるか!(両足に力を込める。)付与!」
月山「ん⁈まずい…回避……⁈」
権藤「(両足で飛び上がる)おりゃ〜あ〜〜」
月山「ぐぅ!(腹に力を入れる)防御!」

権藤の両足蹴りが、ドスンと当たり月山が釘バットと共に吹き飛ばされる。

月山「うぁ〜〜……《まずいな〜さっきよりも…ぐぁ!防御が間に合わなかったか…腹の中がぐちゃぐちゃになった……》動きが鈍いな…」
権藤「(力を込めてグンッと走り出す)鑑!…先に逝っとけ……」

権藤の一撃が月山の身体を斜めに切り捨てた。
月山は、力なく仰向けに倒れこむ。

月山「あぁぁ〜〜《ダメだ致命傷だ。ふっふ…》ぐぁ!」
権藤「はぁ〜はぁ〜(手に持った木材がぼろぼろと崩れ去る。それに気づき)お!すまないね…無理させた……(仰向けの月山に)鑑……」

月山の身体からふわふわと粒子が飛び始める。
権藤は、ゆっくり近づく。

権藤「鑑………俺がいずれ同じ場所に行けたらもう敵も味方もないからな……ゆっくり飯でも食おうや……酒も良いな。」

月山の表情が少し微笑んでる感じになる。その表情を権藤は見ていた。


次回:16話[東区アジト襲撃‼︎
水口&火川VS岩谷&板屋]


「15話も、ちょっと長くなりました。」

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