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[ー閉ざされた世界ー]第23話

[荒谷VS岩谷 〜執念と信念〜](後編)
(登場人物)
荒谷宏明
岩谷赤也
東俊明
黒川丈太郎
ミカエル(管理者)
謎の生物→奪突(ダツ)

管理者が、作った山を登っている荒谷。
その後を、必死に追いかける岩谷が足に力を入れる。

岩谷「う!(荒谷に向かってダッシュをかける)行かせねぇ!」
荒谷「(振り返らず、触手を)もう…ほっとけや。(触手を岩谷にぶつけにかかる。)」
岩谷「(走りながら)あ⁈(瞬時に頭を回転させ)これぐらいなら……(触手に拳を当てた後グンッと荒谷に近づく)届いた!(片腕を掴む)」
荒谷「(立ち止まる)……離せ!」

両者は、立ち止まり睨み合う。

荒谷「離せ…お前と手を繋ぐ趣味はねぇ。(掴まれていない腕を動かしてもう一本の忍者刀を弾こうとする。)」
岩谷「(素早く荒谷のもう一本の腕を)おっと、させねぇ(グッと腕を掴む。)」
荒谷「《両手を塞がった……。》両手が塞がってもな……(触手が荒谷の後ろから追撃を繰り出そうとする。)」
岩谷「《(後ろの触手を見て)そうくるよな……まぁ、想定してた。》(最初に捉えた腕をスッと離し、構える)はーー!」
荒谷「《くっ!間に合わねぇか……少し気合い入れるか》」
岩谷「破!(荒谷の腹に拳をぶつける)剛拳
‼︎
荒谷「ぐぁ!(勢いで両者は離れ、荒谷の手から忍者刀がこぼれ落ち山の下に落ちる。)ぐぅ…はぁ〜(その場に立ち止まる)……効いたわぁ〜」
岩谷「…はぁ〜〜(スッと落ち着く)」
荒谷「……そんじゃ…俺も……(シュンと岩谷の懐に入り込む)」
岩谷「
⁉︎《まずい…油断を…》」

荒谷は、拳に力を込め岩谷に打ち込んだ。岩谷はその場に伏せる。

岩谷「はぁ〜〜効く〜!」
荒谷「嘘つけや……(懐から何かを取り出す。)ふ!お前と殴り合っている暇はねぇから(煙玉を目の前に投げる。)」
岩谷「(煙を掻き分けながら)あ!」

ゆっくりとだが歩いている荒谷、それを追いかけようと動こうと立ち上がる岩谷。
別次元にいるミカエルが不穏な動きを見せる。

ミカエル「ふふ、もうちょっとかな〜〜?(迷いながら目の前のモニターに手を当てていると)あ!(わざとらしく)やっば〜!押しちゃった〜〜どうしよう〜(不敵笑みを浮かべる)」

ミカエルの近くの何かがシュンとどこかに消えた。
同時刻、荒谷が登っている。

荒谷「…後、少し……(突如目の前に何かが降ってきた。)何だ⁈」
?「……」
岩谷「(少し後ろから)え⁈何じゃ…あれ⁈」
荒谷「……」

目の前の何かが不気味な雰囲気のなか、ミカエルの声だけが響く。

ミカエル(声)「山を登っている荒谷くんに軽めに謝るね……ごめん!(突然盛り上がる)さぁ!この子に勝てるかな〜?……それじゃあ、バイバ〜イ」

声がスンっと消える。
荒谷がボソッと

荒谷「面白れな……こうでないとな…(ゼロ距離にいく)退けよ…デカブツ!……(忍者刀を引き抜き)うらぁ!」

荒谷の忍者刀が襲うが、片腕だけで受ける。

荒谷「やるじゃねぇかよ。」
ミカエル(声)「ピンポ〜ンパンポ〜ン!言い忘れてた〜この子の名前は奪突っていうから…じゃあ!頑張ってね〜〜。」
岩谷「……」
荒谷「名前が何だ…《腕に刀傷はない…頑丈か⁈なら、》これはどうよ(大量の触手を動かし奪突に当てようとする。)」
奪突「……ギ、ギギ…」
荒谷「《不気味なヤツだ》うらぁ!」

触手が、奪突に当たり土煙が立つ。土煙が晴れたら目の前の奪突は微動だにしていない

奪突「ギ…ギギ!(何か計算する音がする。)」
荒谷「効いてねぇ…」
岩谷「傷一つ付いてねぇ……」
荒谷「(不敵な表情)こうでないとな……(持つ忍者刀に)付与…獣化…(身体全体が変化する)」
岩谷「またやる気か⁈」

荒谷は、胴体はチーター、足がガチョウの姿になる。その姿は、異様な覇気を纏わせる様。

荒谷「(咆哮上げる)ウォーー!(奪突に対して瞬足で目の前に入り込み忍者刀を振るう)フン!」
奪突「ギ…」

荒谷の忍者刀が奪突に当たるが、奪突の硬い装甲に阻まれ折れる。折れた瞬間でも荒谷は微動だにせず…

荒谷「(ボソッと)…想定済みだ……馬鹿ヤロウ……(拳と身体全体に力を込める)触手の弾丸‼︎

奪突の近距離で100手以上あるかのようなスピードで奪突に連撃が打ち込まれる。
この状況を別の場所で見ているミカエル。

ミカエル「(荒谷を見ながら)…実に興味がある姿、戦い…フフン♪データ回収と♪」
荒谷「(連撃中)うぉぉ〜〜
‼︎
奪突「(打ち込まれてるが、表情などが変わらない)ギギギ…ギギ…ギ…」
荒谷「(連撃の途中に拳に力を込める)いい加減…退け
‼︎(両腕での掌底を当てる)」
奪突「
‼︎(後ろに押され倒れる。)」
ミカエル「あ!……まぁ良いか…試作らし……(目の前のモニターを見て)まぁ、もうデータ集まったし…(近くのボタンらしきモノを押す)」
荒谷「(倒れている奪突を少し遠くから)もう終わりか…(一歩歩き出そうとした時)」
奪突「(グン!と起きだす)ギ…」
荒谷「このヤロまだやる…」
奪突「(荒谷の言葉を遮り)ギ!(荒谷に拳を打ち込みだす)」
荒谷「
‼︎ぐぁ!」
岩谷「荒谷
‼︎
荒谷「岩!構う…な…ぐぁ!」

荒谷は、奪突の連撃を喰らう。岩谷が、間に入り止めにかかる。

岩谷「(身体に力を込め、奪突に対して)荒谷から離れろ!……剛拳・烈‼︎(岩谷の一撃が奪突に当たり荒谷と離すことができた。)」
荒谷「ぐぁ!」
岩谷「(近づく)大丈夫か!」
荒谷「お前に心配される筋合いはない…これは、俺の問題だ。(身体が小刻みに震えながら奪突に向かおうとする。)」
岩谷「おい…」
ミカエル「あら〜〜もう良いか……あの辺り半分潰れたって良いか。(近くにあるボタンを押す。)」

ミカエルが、ボタンを押した瞬間奪突の身体がシュ〜〜という音をたて始める。

荒谷「ん?」
岩谷「何だ?」
荒谷「……
‼︎…まさかな(奪突に向かって走り出す。)」
岩谷「あ!荒谷!」
荒谷「(振り向かず)お前は、ここにいろよ!……」

荒谷は、奪突の身体に抱きつき目一杯力を込め固定した。それを見た岩谷は何かに気づく。

岩谷「…荒谷、お前……」
ミカエル「ん?何する気……」
荒谷「(奪突を抱えながら触手を使って上に跳ぶ。)うりゃ!」
岩谷「あ……
‼︎

荒谷は、触手で上に徐々に跳びながら山の天辺よりも高く跳び。

荒谷「この高さなら……(指の先に力を込め)肉食の爪…硬化……これなら、お前の装甲でも貫けるだろ。《一発で仕留め……(奪突の身体を見ながら)‼︎ここだ辺だろ‼︎》おぁぁ〜〜(奪突に向かって腕を刺しに行く)」

荒谷の一撃は、奪突の身体の中心部分に深くまで突き刺さった。その瞬間奪突の身体が眩く光、爆発した。

岩谷「荒谷…荒谷‼︎(走り出す)」
ミカエル「ふへ〜〜自爆か……(ボソッと)ツマンな…」
岩谷「(爆発した付近に着いて)荒谷……」
荒谷「………」

岩谷の目の前で倒れ伏した荒谷が両手足一本ずつちぎれた状態で倒れていた。

岩谷「あ、荒谷……(膝を崩し)お前…何、カッコつけてんだ……馬鹿ヤロウが……。」

岩谷が、悲嘆に伏してる中ミカエルがひょこっと現れて山の頂上にあるモノを取り、ミカエルが口を開く。

ミカエル「荒谷くん……残念だね〜〜………イベントは終了…です。(モノを見せながら)これは、回収するね。それじゃあ、バイバ〜イ」
岩谷「(ミカエルが居なくなってから)く!」
荒谷「あ…」
岩谷「荒谷!」
荒谷「はぁ〜はぁ〜……俺は、負けたのか……自分が悲しいは…ぐぁ!」
岩谷「荒谷…」
荒谷「ぐぁ!……でもよ、お前との勝負は…まだ着いてね……」
岩谷「…あぁ、まだだ……でも、今はゆっくり休め……身体が治ったら…また勝負をしよう。」
荒谷「…ふん……仕方ねぇな…今だけ休…戦…だ。」
岩谷「荒谷……《はぁ〜心臓の音が弱くなってきたな》」

岩谷の後ろから静かに黒川が現れる。

岩谷「…黒川」
黒川「岩谷さん…うちの大将受け取って良いかい?……ここじゃあ、コイツは死なせられねぇ……(どこか、哀しそう表情になる。)」
岩谷「……そうか、分かった連れててやってくれ。」
黒川「感謝する……。」

岩谷は、荒谷から少し離れる。黒川が、静かに近づき荒谷を抱えながら歩き出す。腰元には忍者刀を付けている。
歩いている黒川を見届ける岩谷の絵。
黒川が、見えなくなった時、岩谷が少し倒れかけた時に奥から東が走ってきた。

東「岩さ〜ん、あぁ〜大丈夫かい?」
岩谷「大丈夫だよ……ちょっと疲れただけだ。」
東「(ゆっくり立たせながら)立てるかい?」
岩谷「あぁ、疲れたけど。」
東「帰ろう。避難させた人たちもいるからその人たちも連れて」
岩谷「おぅ!」

2人が、ゆっくり歩き出して皆がいる場所に帰っていた。
同じ時間帯黒川は少しずつ粒子で消えつつある荒谷を抱えながらボソッと独り言を言う。

黒川「(自分の腰元にある忍者刀を差しながら)この忍者刀…形見で貰っとくな?…さぁ、もう時期だ。(荒谷を見て)間に合うかな〜?」

黒川の歩く背中がゆっくり見えなくなる。


次回:24話[3日経って…。]


「やっと、書き終えた。
次回は、最終話。」

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