[ー閉ざされた世界ー]特別編
[竹藪の中の集落]
(登場人物)
荘長:トメ
相談役:アキ
亜芽(あめ)
百田(もも)
岩谷赤也
東俊明
川原ヒロキ
南区悪童の傘下(A、B)
色々と時が経ち、東区のアジト内室内。
岩谷「大丈夫か?東。」
東「大丈夫だよ。帰ってきてすぐ治療してぐっすり寝たから……俺より権藤が心配だ…本人はかすり傷だと言ってるけど。」
岩谷「…あの人は、無茶するからな…俺からも暫くはアジト内の警護を頼んだ。」
東「あぁ、あの人はいずれ……あ!じゃあ俺行くわ。」
岩谷「1人で大丈夫か?」
東「ん?おん…大丈……お?」
東が、アジト内で荷物を運ぶヒロキを見つける。
東「岩さん(ヒロキを指差し)アイツと一緒に行くわ。」
ヒロキ「(気付き)え⁈何ですか?(荷物を下ろす。)」
岩谷「おぉ〜良いじゃん。ヒロキ!東とちょっと行ってくれ。」
ヒロキ「え?どこへですか?」
東「秘密だ。」
ヒロキ「え〜〜💦」
岩谷「大丈夫だ!👍東区内だから。」
ヒロキ「はぁ〜……大丈夫がよく分からな…」
東「よし!行くか!(肩を組む)」
ヒロキ「ぐぁ!」
東とヒロキは、アジトを出る。
岩谷「気をつけてな〜〜荘長に宜しくな〜」
東「了解!(振り向かず手を振る)」
ヒロキ「《荘長⁈》」
ヒロキは、疑問に思いながらも東と歩いた。
同じ時間軸に悪童の傘下組織の一部が悩みながら歩いている。
傘下B「どうしますか?荒谷さん…最近怖いんだよな〜それに、幹部さん達がことごとく倒されてるし。」
傘下A「あぁ〜…でもこれは、上にいくチャンスだ一個でも2個でも荒谷さんに献上すれば(Bを見ながら)」
傘下B「‼︎新たな幹部候補にさせてもらえるかもしれませんね。」
傘下A「あぁ〜考えてくださるかもな。」
傘下B「(何かを思い出したように)あ!そういえば、俺も噂ですけど東区の奥に」
傘下A「何だ?」
傘下B「…女だけの集落があるという噂です。」
傘下A「女だけの…集落…それが本当なら、その集落の女たちを荒谷さんに献上すれば幹部への一歩を踏めるかもな。」
傘下B「やりましょう。さっそく東区にコッソリ忍び込みましょう。」
傘下A「よし、行くぞ。」
2人は、東区にタタタっと歩いて行った。
少し時間が経ち、東とヒロキは荒廃した繁華街のような場所に到着した。
ヒロキ「(歩きながら)この辺りですか?」
東「ん?後ちょっとな、もう時期着くぞ。お!」
ヒロキ「(東が反応した方を見る)え?こんな繁華街に…」
東「この竹藪の奥に秘密の集落がある。じゃあ、行くか」
ヒロキ「は、はい…。」
2人は、竹藪の中を歩いて行く。
同じ時間帯の別の場所で数人の影が見える。
トメ「ん?おや……」
亜芽「どうしました…荘長?」
トメ「(すごくゆっくりと)ん〜〜〜集落の外に……」
亜芽「(キッとして)敵ですか?(瞬時に)百田行くよ。」
百田「う、うん!」
2人は、タタタっと走る。トメは、ゆっくり焦りながら。
トメ「あぁ〜〜話は最後まで……あら?行っちゃった。(アキに)お客人を迎えるよ。」
アキ「はい」
トメはゆっくり部屋を出る。
竹藪の中を歩く2人、ふとヒロキが質問する。
ヒロキ「…ちょっと道になってますが、すごく複雑になってましたね。」
東「あぁ〜こうしないと、俺たち以外の奴が入った時その集落がバレるからな。」
ヒロキ「《どんな集落何だ?》ん?」
東「(ゆっくり立ち止まる)ん⁈お前も気づいたか?」
ヒロキ「少しですが、2人?ですかね?」
東「あぁ〜来る…(前の方に集中していると、ザザっと誰かが)お!」
亜芽「(東に竹の棒を突こうとする)侵入者覚悟‼︎」
東「うわぁ!(ナイフを取り防御に構える)危な!」
百田「(亜芽の後ろからシュンと現れ、ヒロキに同じく突こうとする。)でぃ!こ、この侵入者‼︎」
ヒロキ「え⁈(腕に少し能力を付与させ防御に構える)《突きはまずいな…上に上手くハネよう》」
2人の攻撃を、東はナイフ1本で押さえヒロキは、力入れた腕で隙間をぬって、竹の棒をハネた。
亜芽は、グッと後ろに下がり、百田も同じように後ろに下がった。
4人は少々こう着状態になるが、亜芽が口を開く。
亜芽「あんた達何者!まぁ、誰であってもここに侵入したということは悪人だな!」
百田「《え⁈そうには見えないけど……》」
東「ちょっと待って、俺らは荘長にお会いしたいだけだ。」
亜芽「荘長を狙うか⁈それなら、問答無用に……(力を少し入れ竹の棒を構える。)鮫肌突き!」
亜芽が、東に向かう。亜芽は、百田に指示をする。
亜芽「百田!アンタはそっちの男を頼んだよ。」
百田「う、うん!(ヒロキに構えながら)か、覚悟!(同じ位の竹の棒を構える)」
ヒロキ「(少し腕に力を入れながら)《あれ?この子も能力者か…(竹の棒の闘気を見ながら)使ってない…それとも…》」
百田が対峙する瞬間に、後ろからトメが声をかける。
トメ「止めなさい!」
亜芽「え⁈荘長⁈(現状を見て)ここは危ないです。」
百田「(後に続くように)そ、そうです。早くここを離れて下さい。」
トメ「(落ちつきながら)大丈夫じゃ、その人らは私たちと協力関係の者たちだよ。」
亜芽「…え⁈協力?」
百田「(振り返らず)荘長、私たち知らなかったんですが…」
ヒロキ「《え⁈協力関係…》」
東「ふぅ〜」
トメ「知らないのは仕方ないよ……さっき話そうとしたら出て行ったからね。でも、協力関係は本当だよ。」
亜芽「本当…何ですね(チラッと百田を見て迷いながら)荘長が言うなら……(竹の棒から力が抜ける。)」
百田も構えていた竹の棒を背中に刺し、ヒロキにペコっと会釈をする。
トメが、優しい口調で話しだす。
トメ「さて、(東たちに)お2人さんお疲れでしょう?荘園までご案内致しますよ。」
東「ありがとうございます…トメさん」
ヒロキ「お願いします。」
トメ「(ヒロキを見て)若いねぇ〜あたすわ嬉しいよ。」
ヒロキ「はぁ〜」
トメ「さて行こうか。」
6人は、集落への道を歩き出した。
時間が経ち、竹藪を抜け"隠れ集落荘園"に到着して皆でトメがよくいる部屋に通され、座るように促される。
トメ「よぅ〜はるばる来てくださったね……今大変何だろ?」
東「いいえ、ぼちぼちです。それに今回はそのことで来ました。」
トメ「そうじゃな、今南との戦闘中だというのに来てくれるとはね。」
東「ここは守っていかないと…(何かを思い出し)あ、これを(手紙を渡す)うちのリーダーからです。」
トメ「おぉ〜岩谷さんからありがたいね。(手紙を懐にしまい、しみじみと)唐突だけど、私もそろそろね…集落の長を退きたいと思ってるんだよ。」
東「え⁈そう何ですか?」
トメ「あ〜後任も決めておってな……亜芽と…」
亜芽「え⁈」
百田「……(納得してそうな表情で)」
トメ「…百田にと思ってるんだよ。」
百田「…私も⁈何で…ですか?亜芽姉は分かりますけど……私は…」
亜芽「私も、まだ荘長のお側で色々と学ぶことはあります。」
トメ「ハハハ…貴方たちに新しい荘園を作ってもらいたいだよ。」
亜芽「(スクッと立ち上がり)……ちょっと考えます…失礼します。(部屋を出ていく)」
百田「(亜芽の動向見ながら)あ…(チラッとトメを見て)わ、私も失礼します。(部屋を出る)」
東「(2人が出た後)急だから驚いたんじゃないですか?」
トメ「あの子らには悪かったけど、まだ考える時間はあるから……さて、お二人さん今日は一晩泊まっていきなされ部屋を用意するよ。アキ案内頼むね。」
アキ「はい、(2人に)お部屋にご案内します。」
東「あ、ありがとうございます。」
ヒロキ「ありがとうございます。」
2人は、アキと共に出ていく。トメは、ズルズルとお茶を啜る。
少し時間が経ち、東たちはそれぞれ各々行動している。
東は、集落内を歩いている。
東「はぁ〜〜空気が良いな〜。(歩いていると後ろから気配を感じ立ち止まる。)」
亜芽「《あ……》」
東「(振り返る)どうしました?」
亜芽「あ…あの……」
同じ時間に、ヒロキも部屋の近くを徘徊していた。
歩いていると、1人遠くを見てボーとしている百田を見つける。
ヒロキ「(ゆっくり近づき)あの〜」
百田「あ……(気まずそうに)どうも。」
ヒロキ「…どうしたんですか?こんな所で……」
百田「《え⁈男性と話す…しかも、同い年っぽい💦》え?…えっと〜ちょっと涼んでたんです。」
ヒロキ「そう何ですね〜……この集落、涼しいですよね。」
百田「は、はい…」
ヒロキ「(少々の沈黙の後)あ💦……それじゃあ、部屋に戻りますね。《俺…何で緊張してるだろ》(来た方向を向いて歩く寸前に百田が話しかけてくる)」
百田「あの……」
ヒロキ「(振り返る)はい?」
百田「ちょっと聞きたいことがあります。」
ヒロキ「え?」
時間が経ち、朝になる。
集落内に東とヒロキが歩いてくる。その後ろからトメ、アキがゆっくり見送りのために歩いてくる。亜芽と百田の姿はない。
東「(飄々と)ヒロキ!眠れたか?」
ヒロキ「え、はい…寝れましたよ。東さんは?」
東「俺は、バッチリ!👍バッキバキよ。」
ヒロキ「バッキバキ…?(苦笑)」
集落内から叫び声が聞こえだす。
ヒロキ「え⁈何?」
東「(不意に地面を見る)ん?何だ…ゴキブリ?(指に力を入れ)ちょい針!(東の周りに小さく針が生える)」
ヒロキ「(地面を見て)…ん?これ(同じく腕だけに力を入れ、シュンと何かを手に取りそれを見る)これは…ダンゴムシ?…しかもちょっと大きい。」
東「能力者が侵入してるな……(遠くを見て)ん?アイツら(振り返らずトメらに)トメさんできる限り集落の奥に……アキさんお願いします。」
アキ「分かりました。荘長…」
東が、ヒロキと共に怪しい2人組に近づく。怪しい2人は、東たちに気づく。
傘下A「あ⁈」
傘下B「まさかお前ら…東の者か…」
傘下A「何でここに⁈いや、これはチャンスだ」
傘下B「…はい、チャンスですね。」
東「お前らどうやってここに来た?まぁ、記憶が飛ぶぐらいブチのめしてやるわい。」
遠くから亜芽と百田の声が聞こえる。
亜芽「すいません!そこの侵入者は…(シュンと現れた)」
百田「私たちが〜〜‼︎(背中の部分が、ちょっと羽が獣化した状態で)」
東たちの、前に出る。
2人「追い出します。」
亜芽「東さん、この2人のことは、任せて荘長と集落の人たちをお願いできますか?」
東「ほぅ〜(2人の様子を見て)分かった……ヒロキ!俺らは、トメさんらの手伝いに行くぞ!」
ヒロキ「あ、はい(立ち去る寸前2人に)気をつけて」
亜芽「はい!」
百田「気をつけます。」
東とヒロキは、集落側に走って行った。
2人が、行った後亜芽たちは傘下A、Bに向き合う。傘下たちは、亜芽たちを見てほくそ笑みながら態勢になる。
傘下A「おぉ〜女だ!」
傘下B「ここにいる女たちを荒谷さんに献上すれば幹部候補にしてくださるかもしれませんね。」
傘下A「おっし…能力、獣化!(身体が変化)ダンゴムシ!」
傘下B「能力、獣化!(身体が変化)アニキ俺から先に失礼します。(スタートを切る)」
傘下A「(Bに合わせ)おっし!ダンゴの行進!(無数のダンゴムシが出現しその中に紛れる)」
傘下B「Gの大衆!(足元から無数に出現し紛れる。)」
亜芽たちは、たけの棒を構えながら集中する。亜芽がボソッと百田に
亜芽「大丈夫?」
百田「…うん!……昨日教えてもらったことをやる。」
亜芽「…私も…能力付与!ジンベイザメ」
百田「私も…付与……スズメ」
2人は、竹の棒に力を集中し、グッと構える。
迫る2人に対して亜芽が
亜芽「この…集落から……」
2人「出てけー(でていけー)」
傘下A、B「ぐぇ!(ぐぁ!)」
2人の渾身の振りが傘下たちに当たり空高く飛んでいった。
亜芽と百田は、お互いの健闘する。
少し時間が経ち、亜芽たちがトメら集落の人たちがいる場所歩いていく。
百田「あれ?この辺だよね?」
亜芽「荘長の能力だね……かくれんぼなら負けるな……荘長‼︎亜芽です。」
百田「百田です。」
霧が晴れるように目の前が見えるようになる。
目の前には、トメたちがいた。
トメ「おや、無事だったね〜良かった。もう大丈夫そうだね…能力解除。(スッと何かが消える。)」
アキ「ご無事で。」
東「良かった〜〜」
ヒロキ「良かったです。」
少し落ち着き、亜芽と百田が真剣な表情でトメらを見る。
亜芽が、話しだす。
亜芽「トメ荘長……これから私たちが荘長になれるように色々と…お願いします。」
百田「(言葉を追うように)わ、私も色々と教えて下さい。」
トメ「(少し間があり、ゆっくりと話し始める)あぁ〜そのつもりだよ……2人とも昨日返事はイエスで良いんだね?」
亜芽・百田「はい、お願いします。」
トメ「そうかい、それは良かった。」
横で見ていた東が声を出す。
東「じゃあ……ウチの岩谷にも話しときますね。」
トメ「えぇ〜お願いしますね。」
東「はい、それじゃあヒロキ帰るか?」
ヒロキ「はい、おじゃましました。」
亜芽「色々とありがとうございました。」
百田「私も、ありがとうございました。」
トメ「あ!そうじゃあ帰る道筋を作らないとね(東たちが行く方向に手を向けると、不思議な空間が作られる)さあ、ここを真っ直ぐ進めば帰れますよ。」
東「ありがとうございます…それじゃあ、」
ヒロキ「ありがとうございます。」
2人は、帰路に着く。
(場面1)同じ時間別の場所には亜芽たちに飛ばされた傘下A、Bが倒れていた。
傘下A「(ムクッと起きる)ここは…どこだ?」
傘下B「(起き上がり)ここは、(辺りを見ながら)ギリギリ南区です。それでこれからどうします?このまま荒谷さん所に行ったら……」
傘下A「殺されるかな?存在を消される?……よし!」
傘下B「は、はい?どうしま…」
傘下A「………トンズラだーー‼︎(急に走りだす。)」
傘下B「あ⁈待って下さい〜!(後を追い走り出す。)」
傘下A、Bは、遠くへ走り去って行った。その姿はだんだんと小さくなっていく。
続
次回:20話[(過去)荒谷と岩谷 〜決別〜]
「書き終えました。
特別編なのに長くなり過ぎました。短めにと思いましたが……」
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