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[ー閉ざされた世界ー]《短編第4話》

[悪気…]
(登場人物)
雲来
悪気(声)
木下基木
ヒロキ
3人組(侵入者A・B・C)

場面1:夜・子どもたちは、男女別室で寝ている。木下らも少し打ち合わせ後警戒をしながら寝始めた。
同じ時間、雲来は瞑想を続けている。
場面2:雲来の精神世界

雲来「(ゆっくり目を開ける)今夜もお前を見張らせてもらうぞ。」
?「(どこかは分からず声が聞こえる)フフフ…お前も飽きねぇな〜〜そろそろ俺を使えよ。」
雲来「…お前を使えば……この身体が…子どもたちの身に危険が生じる。」
?「この…ワシをこんな小さい器に閉じこめるなど」
雲来「……」
悪気「まぁ良い……いつでもお前の身体を奪うことぐらいはできる…心を強く持っとくんだな。」
雲来「ぐぅ!」

スーと霧が発生したようになり、精神世界が消える。
少し時間が経ち、朝。
ワーーと子供たちが目を覚まして起きてくる。そこに、侵入者たちが遠くから見ている。

侵入者C「兄貴!どうします?今ならガキしかいませんよ。」
侵入者B「いつでも俺は行けますよ。」
侵入者A「いや、待て……アイツらが抵抗しなかったら俺らの奴隷でもいいな。よし!ちょっと様子を見るぞ。」

侵入者たちが隠れている中アタルとタツヒコが歩いてくる。

タツヒコ「アタル!おはよう。」
アタル「おぅ!今日もみんな、元気だ。(誰かを探す。)あれ?」
タツヒコ「どうした?」
アタル「……コハルは?(寂しそうに)」
タツヒコ「まだ寝てんじゃない?」
アタル「大丈夫かな…風邪ひいてんじゃないか⁈」
タツヒコ「大丈夫だよ!昨日元気そうに子どもたちと部屋で遊びながらそのまま寝かせてたぞ。」
アタル「……」
タツヒコ「え⁈どうした?」
アタル「何でそんなコハルのこと分かるだ?お前まさか…」
タツヒコ「いやいや!普段の感じを見れば」
アタル「……」
タツヒコ「《疑いの目》」
コハル「(眠そうに小さな子の手を引きながら)おはよ〜〜」
アタル「(分かりやすく嬉しそうに)お〜コハルーーおはようさん」
コハル「…え⁈元気だね…おはよう」
タツヒコ「おはよう」
コハル「タツくんおはよう!」
アタル「……」
コハル「(小さい子に)一緒に顔洗いに行こう。」

コハルは、洗面所に歩いて行った。
アタルは、静かにタツヒコに近づく。

アタル「タツ……やっぱり」
タツヒコ「えぇ
💦

2人が、軽く揉める瞬間洗面所付近から悲鳴が聞こえる。
その悲鳴に木下らも気づき走ってくる。

木下「おいおいどうした⁉︎……(悲鳴の先を見る)あら〜まさかアイツら…」
ヒロキ「えぇ〜⁈」
侵入者B「(コハルに能力で爪を向けながら)おい!ガキ共大人しくしてろよ!この姉ちゃんが傷ついちゃうぜ〜」
侵入者C「逃がさねぇよ!」
侵入者A「大人しくしとけ!」
アタル「コハル
‼︎
タツヒコ「…どうしよう!」
木下「(スタスタと)おい!お前ら!」
侵入者B「誰だ⁈」
木下「…お前ら……もしかしてさ荒谷のところにいた奴らか?」
侵入者A「荒谷…?まさか、お前ら東の人間か⁈」
木下「はぁ〜残党がいると思ったが、こんな子どもだけの場所を狙うなんてな〜〜《荒谷でもこんなことしねぇだがな〜》」
侵入者B「(Aに)兄貴コイツらを殺れば邪魔なく制圧できますよ。」
侵入者C「やりますか!」
侵入者A「あぁ……そのつもりで来たわぁーー」

木下は、ヒロキに気づかれず合図を送る。ヒロキは、少し力を入れ指示を待つ。
侵入者Bは、軽くコハルの身体を前に歩かせ子供たちの真ん中に歩みだす。

侵入者B「(周りの子供たちに)よ〜し!良い子たちだ!ジッとしてろよ。(Bの身体がググっと獣化する)」

侵入者AとCも同じタイミングでググっと獣化し、好戦態勢をとり始める。
木下が、3人に声かける。

木下「聞きたいんだけどさ、お前らって能力何?」
侵入者C「俺の能力は、狸だ。」
侵入者B「俺は、(グっと力を入れ)アナグマ」
侵入者A「俺は、黒豚」
木下「……」
侵入者B「何か言えよ。それとも、怖気付いたか⁈」
木下「いや、別に……何かお前ら仲良いな。」
侵入者A「…ん、何だこら!」

侵入者Bに捕まっているコハルの様子は至って冷静に見ている。

コハル「《うぅ〜〜どうしよう…く、臭い!ん〜〜毛深いな……イヤだけど》ふん‼︎(Bの腕をカプ!っと噛んだ。)」
侵入者B「ん?痛〜〜
‼︎(コハルを腕から離す。)」
侵入者A「あ
‼︎
侵入者C「ん⁈痛くはね……小娘!逃がすか!(獣化のまま追いかける。)」
コハル「イヤだーーー!《口のあたりキモい〜〜!》」
アタル「こっち!」
タツヒコ「こっちだよ!」
木下「(様子を伺い)ヒロキ!子どもたちを頼むよ!」
ヒロキ「は、はい。」
木下「(前に出ながら猿に獣化し侵入者たちの前に立つ)お前!つきまとうな……嫌われるぞ(ボソッと)嫌われてるけど……」

侵入者3人と木下が獣化状態で向かい合う。
本殿から、何か様子がおかしい雲来が歩いてくる。

ヒロキ「和尚さん…」
雲来「…こ、子どもたちを頼みます。」
ヒロキ「え?」

場面:雲来の精神世界。

悪気「はぁーーー隙ありじゃ〜〜。(スンと身体に入り込む)」

場面:現実。

雲来「(悶え始める)くぅ!あぁぁーー(身体から禍々しい蛇のような何かが浮れてくる。)」
木下「《これか…》ヒロキ!子どもたちを外に逃がせーー!」
ヒロキ「(圧倒されながら)あ、はい分かりました。(子どもたちのところに走り出す。)」
侵入者A「何だ⁈こりゃ!」
侵入者B「どうします?」
侵入者C「何だ⁈何だ⁈」
木下「(侵入者たちに)おい、こりゃ〜アンタたち命が危なくねぇ〜〜」

悶えていた雲来は黒い禍々しい姿に変わっている。左腕だけほぼ獣化状態になっている。
そして少し落ち着いて、雲来とは違う声を発する。

雲来(悪気)「はぁ〜〜やっとか…長かっ…(自分の雰囲気を見て)ふん!まだ完全ではないか…(周りを見渡し)これは、面白い…誰でも良い俺と殺りあうか。」
木下「ヤッバ!…どうする……」

侵入者3人と木下が姿の変わった雲来と向かい合う。


次回:5話[和尚と……いっしょ!]


「長くなりましたが、書き終えた〜〜
次回は、最終話です。」

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