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リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第30節 ビジャレアル対FCバルセロナ レビュー「バルサ相手の引き分けを喜んでいる場合じゃない」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第30節 ビジャレアル対FCバルセロナは、4-4の引き分けでした。(29節のセルタ・デ・ビーゴ戦のレビューが試合が観れずに公開出来ませんでした。楽しみにしてくださっていた皆様すみません)

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ビジャレアルは前節のセルタ・デ・ビーゴ戦に2-0から後半に3失点して逆転負け。前節勝ち点を奪えなかったため、FCバルセロナとの試合とはいえ、勝ち点を獲得したい試合でした。

この試合を振り返って取り上げたいポイントは3点あります。

0-2になるまでの時間帯で気になったコミュニケーション

1点目は0-2にされるまでの試合展開です。

ビジャレアルはFCバルセロナの対策として、変則的な守備システムを用意していました。

この試合のFCバルセロナは4-3-3というチームオーガニゼーションで戦いました。近年のFCバルセロナは4-4-2のチームオーガニゼーションで戦う試合が多かったのですが、この試合はビジャレアルがDF3人のチームオーガニゼーションを採用するので、4-4-2だとFWのFCバルセロナに対して、DF3人のビジャレアルが数的優位でパス交換を行うのを阻止したい、という考えもあったと思いますし、メッシをベンチスタートにするからという理由もあったと思います。

ただ、開始10分ほどはビジャレアルはFCバルセロナが4-3-3で戦うことに気がついていなかった気がします。当初用意していたシステムが上手く機能しません。

ビジャレアルが用意していた守備システムは、FCバルセロナがハーフラインを超えるまでは、FWのエカンビ、左右のFMのイボーラとチャックエズがFCバルセロナのDF2人とMFのブスケッツをマンマークし、残りの2人のMFをカソルラとモルナレスがマークするというシステムでした。さらに、FCバルセロナがハーフラインを超えたら、5-4-1のチームオーガニゼーションで迎え撃つ、という2段構えのやり方を準備していました。

なお、ビジャレアルは4-4-2で戦ってくることを想定し、マンマークの守備を行わないことも準備していたのだと思います。ところが、ビジャレアルは、FCバルセロナのチームオーガニゼーションを把握するのに手間取り、守備が上手く機能しません。ボールを奪いにいくタイミングがずれているため、選手同士のアクションが連動せず、中央からボールを運ばれて2失点してしまいました。

結局この二段構えの守備は、後半からは採用しませんでした。正直、この程度の対策だったら、やらないほうが良かったと思います。この2失点はあとあと高くつきました。

ビジャレアルのカジェハ監督は、必要以上にチームをいじる傾向にある監督です。たぶん、細かいことが気になる監督なのだと思います。細かいことが気になるのは悪いことではありませんが、たぶんカジェハ監督は「何が」「どうして」上手くいっているのか、本当に分かっていないので、いじり過ぎてしまうように思えます。

僕が2失点目までの時間帯で気になったのは、選手同士でコミュニケーションを取る場面がほとんどなかったことです。ボールを奪いにいくタイミングがずれていたのに、選手同士でコミュニケーションを取って修正しようとする選手がほとんどいないし、身振り手振りを交えて、何かを伝えようとする選手もいませんでした。

特に気になったのは、中央のDFを務めていたフネス・モリです。中央のDFはしつこいくらいに味方に声をかけ、どんなプレーをして欲しいのか、声で味方を導くことが求められます。フネス・モリの口元にずっと注目していたのですが、そこまで喋っているように見えませんでした。一方で、フネス・モリが出場する前に試合に出ていたボネーラは、身振り手振りを交えて、味方に指示を出している光景が目につきました。

サッカーのチームはFWは最初にアクションを起こす役割を担っているのだとしたら、最初に味方に声をかけて、チームを導くのはDFの仕事だと思います。ビジャレアルの失点シーンを見ていると、選手同士がコミュニケーションをしっかりとっていたら、防げたと思う失点が多いと感じるのです。

魔法を使い続けたカソルラ

2点目は、4-2と勝ち越すまでの時間帯です。

FCバルセロナはビジャレアル以上に問題をかかえていました。特に問題だったのはビジャレアルがボールを持っているときのプレーで、いかにボールを奪いにいくのか、選手同士が連携しておらず、全くボールを奪い返すことができないのです。

特にMFのアルトゥール、ビダルの2人が全然パスコースを切れず、ビジャレアルのMFたちに楽にプレーさせてしまいます。ブスケッツも全盛期のように、広いエリアを守れるわけではありませんので、どうしても中央のDFに負担がかかってしまいます。そして、中央のDF2人は、足が速くて身体が強いエカンビとチャックエズとの1対1にさらされ、何度も劣勢を強いられてしまいました。FCバルセロナがボールを保持している時間帯では、サイドのDFをFWの位置まで上げることも、中央のDFへの負担を増やす結果になってしまいました。

ビジャレアルはFCバルセロナの問題を見逃さず、4得点を奪うことに成功しました。特に素晴らしかったのは、カソルラです。FCバルセロナの守備がまずかったとはいえ、ボールを受けられる位置を素早く見つけ、最適な選手にパスを届ける技術は絶品です。特に、1点目、4点目のスルーパスは絶品でした。

勝ちを確信して油断した監督と選手

3点目は、4-2から4-4に追いつかれるまでの時間帯です。

ビジャレアルは4-2になった後「勝った!」と思ったような気がします。試合は4-2になってからリアルタイムで観たのですが、4-2になった後しばらくして、ビジャレアルのベンチを映した映像に、笑みを浮かべるカジェハ監督が映っていました。僕はこのシーンを観た時「追いつかれる!」と思いました。

勝負は試合が終わるまで何が起こるか分かりません。ましてや、相手はFCバルセロナです。監督の油断は選手に伝染します。僕は嫌な予感しかしませんでした。

ターニングポイントになったのは、アルバロの退場と4-2になる前に投入されたラキティッチのプレーだと思います。アルバロが不用意にスアレスにファウルしたプレーで2枚目の警告を受けて退場。ビジャレアルは10人になってしまいます。ビジャレアルはチャックエズに代わってボネーラを入れて、5-4-0というチームオーガニゼーションで守ることを選択します。

ただ、この交代によって、FCバルセロナが嫌がっていた、ビジャレアルのFWによる速い攻撃がなくなります。そして、FWがいなくなったことで、ブスケッツに代わって交代で入ったラキティッチをマークする選手がいなくなり、ラキティッチからテンポよく正確なパスが配られるようになります。

ラキティッチが躍動し始めた後、素晴らしいプレーを披露したのがメッシです。メッシは61分から途中出場したのですが、80分ごろまでよいプレーはできていませんでした。ところが、メッシはこの10分間でビジャレアルのどこを狙えば得点が奪えるのか、頭に入れていたのだと思います。急にプレーの強度を上げ、ラキティッチからのパスを受けて、アタックを開始します。

メッシが狙っていたのは、フネス・モリです。フネス・モリには明確な弱点があります。ボールを奪うときのアクションの幅が大きく、簡単にかわされやすいこと。そして、自分の背後のパスが出た時、ボールに背中を向けてしまうため、相手とボールとを視野に入れて対応できないため、背後を取られやすい選手なのです。メッシはそのことを短期間で見抜いたのだと思います。ボールを持つと、執拗なくらいフネス・モリの背後を狙いつづけ、ドリブルでフネス・モリの守っている周辺で仕掛けます。

3点目はフネス・モリが守っているエリアを攻撃したメッシに対して、カバーしたビクトル・ルイスがファウルして失点。4失点目はメッシがフネス・モリの背後をとったのですが、かろうじて触ってコーナーキックに。そのコーナーキックをスアレスが決めて同点。メッシの凄さをまざまざと見せつけられました。

メッシという選手は、誰もが諦めそうな展開でも、絶対に諦めません。自分がなんとかする。そんな気持ちを全面に押し出してプレーします。メッシの凄さは、そんな気持ちを全面に出してプレーし、自分のプレーで周りを巻き込み、チームの問題を解決してしまうところにあるのだと思います。

悪い予感は当たる

セルタ・デ・ビーゴ戦の敗戦、そしてこの引き分け。勝ち点6点を奪っていれば、14位まで上がっていた順位も、勝ち点1しか獲得できなかったため、降格圏まで逆戻りしてしまいました。今シーズンのビジャレアルは何度も痛い敗戦を喫していますが、この2試合で勝ち点5を失ったのは痛すぎます。

4点目を決められた後、ピッチに座り込んでしまったカソルラの姿が、この試合の重みを物語っています。FCバルセロナに引き分けたからOKという試合ではありません。ビジャレアルというチームがシーズンを通じてかかえてきた課題が解決していないことが浮き彫りになった試合だと感じました。

この試合のレビューは、レアル・ベティス戦を観た後に書いているのですが、レアル・ベティス戦は悪い予感が当たってしまいました。続きはレアル・ベティス戦のレビューで書きたいと思います。

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リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第30節 ビジャレアル対FCバルセロナ レビュー「バルサ相手の引き分けを喜んでいる場合じゃない」

西原雄一

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