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戯曲:ラジオパーソナリティおかあさん

登場人物
にせおかあさん 全人類にとって本当はおかあさんではない人物。美形
にせむすこさん 本当はにせおかあさんの息子ではない人物。美形

ーマイクの置かれた机を挟んで二人の男女が座っている。

お こんにちは。ラジオパーソナリティのにせおかあさんです。いやー初夏の陽気というか、明るくて気持ちいい日が多いですね。皐月も紫陽花なんかも咲いていて。おのずとお出掛けする日も増えるのですが、先日、所要で六本木一丁目駅で降りまして改札を出ますと何だか良い香りがするんですね。別にいい匂いのするお姉さんが歩いているわけではないですよ。ただそう言えば前来た時も良い香りがしたなと思い出しました。そんなことがあると、自分のお部屋も微かに良いアロマを漂わせたいだなんて思うのだけれど、お店でいろんな香りを試しているうちに訳わかんなくなるんです。それで何か分からないまま買ってしまって、家でセットすると何か嫌な香りに感じたり。
 香りがわからなくなるといえばカレーで、作っている間に鼻がカレーの匂いに慣れてしまって、何だかスパイスが足りないような気がいつもする。何なら最初のテンパリング辺りでやられている。で、残りを翌日に食べると、凄い香ってる。昨日より美味しいと錯覚する。
 このように慣れというものは恐ろしく、時に判断を誤らせるものです。ということで今回のトークテーマは慣れの恐ろしさです。今日も素敵なゲストとお話していきたいと思います。にせむすこさんです👏

む どうもこんにちは。にせむすこさんです。

お にせむすこさんは、慣れの恐ろしさって感じることはありますか?

む ははっ、何だか会社の研修みたいな話題ですね。お母さんの話、何が恐ろしいのか全然わかんないんですけど、何よりも恐ろしいのは、にせおかあさんを単にお母さんって呼んじゃう事ですよね。お母さんでも何でもないですからね。偽者だと堂々と泉源しているのにおかあさんって単語が含まれるだけで、性善説が適用されて不可侵性みたいなものが付与される恐ろしさは感じています。ご飯を作ってくれる人を批判してはならないという道徳律あるいは本能は全人類にありますからね。

お うふふ、おかあさんは闇の生き物よ。かこいい。そうそう、こないだデザインフェスタで、悪魔の角のカチューシャ売ってて、着けてみたら(私が)可愛くてつい買いそうになっちゃったわ。

む 何の話ですか。

お おかあさんは人の話を聞かないという現象を再現してみたの。

ーにせむすこさんが震える

む やだ怖い。自分で振ったクソトークテーマを既に忘れているのも怖い。

お 良いのよそんな話は。それでは次のコーナー、リスナーからのお便りコーナーです。

ーにせおかあさん机の上の紙をめくる

続く?

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