いきなり殴られて顔真っ赤なIXTPyoutuber:ジョージとサトマイ

 最近youtuber同士でビーフ合戦をしているのを見たのですが、そのやりとりがあまりにもちぐはぐで笑ってしまいました。
 だたちぐはぐなだけだと見ててもイライラして終わりですが、ここまで行き違うのは両方が強烈なTiユーザーだからではないかと思いました。以下色々考えてみます。
Tiとは、ユングのタイプ論で言う「内向的思考」を表す略語です。この性質を強く持つ人は、内面化された論理で物事を判断します。

登場人物1:メンズコーチのジョージ

 最近バズっているので知ってる人も多いでしょうが、この人の主張を簡単にまとめると

「現代の男はポルノやyoutubeなどの強い刺激に依存しすぎて弱体化している」
「男たるもの強くなければならない、実行力がなければならない、求められる存在とならなければならない」
「お前らは本心ではそんな男にあこがれているくせに自分に嘘をつきながら努力から目を背けている」
「うじうじする前に体を鍛えろ、人と会話しろ、楽な刺激に逃げるな」

……こんなことを延々喋っている動画を数年前から延々とアップしています。その理論はなかなか独特で、時には「鬱は甘え」だとすら言ってのけます。このように話がやや飛躍していることも多いですが、そういう独自理論は自分の体験(努力と行動で強い男になれた)がもとになっているようです。ここでは深いタイプの考察は避けますが、まあ見ての通りISTPですね。ジョージの主張そのものに対する僕の意見を述べることもしません。

 ただ、「なぜそんな非科学的で飛躍の多い理論がバズっているのか」はしっかり押さえておく必要があると思います。今回の件に限らずですが、ポストトゥルース時代においては科学性や客観性に縛られず物事を観察する態度が必要です。
 彼の主なファン層は、「変わりたいけど変われない人」「意志が弱いと自分で痛感している人」です。そういう人たちは真理を探求しているわけではないので、別に客観的で緻密な理論を必要としてはいません。「鬱は甘え」のように非科学的で稚拙な理論でも、そういう強い言葉でバチンと自分のケツを叩いてくれるような人がいればそれでいいのです。なので、彼らに対するエールという限りでは、ジョージの言葉は非常に合理的です。
 世の中には「客観的な事実などどうでもいいから何にでも共感されたい、否定されたくない」という変な人がたくさんいるし、そういう人をおだてて金を稼いでいる人もたくさんいるでしょう。
 ジョージのファン層はその対極にいるように見えて、理論の客観的な正しさはどうでもよいという極端な反客観主義という点で共通しているのです。ジョージ自身も自分の理論を一般化することは危険だとよく理解しているので、たまにサムネでふざけたりします。「真面目に捉えすぎるなよ」というメッセージなのかもしれません。

 なんかジョージの事を悪く書いているように見えますが、別にそういう訳ではないです。僕自身これまでほぼ帰宅部一筋でジョージの動画が「効く」側であるのですが、自己規律能力ゼロのくせに人からはよく見られたいという矛盾だらけの存在だと自覚しているので、毎回参考としてありがたく拝聴しています。
 彼の動画はネタ半分の自己啓発動画として見るとちょうど良いのですが、これはあくまで視聴者がやられポーズをしてくれるから成立する芸です。今回のディスはそこを突かれた形となります。

登場人物2:統計のお姉さんサトマイ

 あまり細かい素性は知りませんが、大学の講師もしているようです。動画はこの事件以前からいくつか見ていましたが、まあ確実にINTPでしょう。ここでもタイプの考察は省略します。
 さて、上記の動画でまず目を引くのが「ジョージの男磨きは有害です」という真っ向から喧嘩を吹っ掛けるようなサムネイルです。
 こういうサムネイルにした訳ですから、動画内でさぞかしジョージの芸を真正面からこき下ろすのかと思いきや、ジョージ個人に対する攻撃ではないと過剰なほどフォローしていました。ジョージ理論そのものへの反論というよりも、社会に存在する「男らしさ」全体について何か言いたかったようです。

 話の内容自体は非常に興味深いものです。今回のテーマからはそれますが、
「男らしさを他人への攻撃性と勘違いする奴のせいで組織が疲弊する」
「女性からの人気や社会からの評価を誇示するような男らしさに囚われることで、自らのアイデンティティを自己の外面に依存してしまう危険がある」
というのは単純に納得したので共有しておきます。だいぶ意訳した要約なので興味ある人は見てみてください。

INTPが人をいじるとき

 それはいいのですが、今回注目したいのはINTP特有の他者との距離感バグです。もう一回サムネを見てください。「ジョージの男磨きは有害です」と書いています。動画内の議論に正しくタイトルを付けるならそのまま「有害な男らしさ」でいいし、攻めたとしても「有害な「男磨き」とは」でしょう。「ジョージの男磨きは有害です」はどう見ても喧嘩を吹っ掛けているように見えるのですが、そういうつもりではないようです。
 ただの釣りサムネだと言えばそこまでですが、サムネと内容のミスマッチぶりがとても非論理的でINTPのやる事には見えません。しかし、これはあまり知られていませんが、実はINTP(とENTP)にはわざとそういう非論理的なことをやる習性があるのです。
XNTPは、他者を不条理に攻撃することでコミュニケーションを図ることがあります。あえて極端な偏見をぶちまけてみたり、非論理的な言いがかりをつけたりするのが面白いのです。これはXNTPからすれば甘噛みのようなもので、「非論理的なことを言ってるのだからまさか本気ととられないだろう、おふざけだと理解してくれるだろう」という期待のもとに実行されるコミュニケーションの一種です。悪趣味ですが、INTPとしては本当に攻撃対象に対して悪意を持っているわけではありません。
 ましてや、今回の攻撃対象であるジョージ本人がこれまで非論理的で飛躍に満ちた動画を上げ続けています。INTPからすれば遊び相手が見つかったような感覚というか、「こいつなら好きにいじって大丈夫だろ」という感覚でしょう。その結果が「ジョージの男磨きは有害」です。
 扇動的なサムネはyoutuberの宿命かもしれませんが、見る限りサトマイの動画でここまで極端な釣りサムネはこれだけのようです。動画の企画会議はさぞ楽しかっただろうと思います。

お前キレる資格あるの?

 Tiをメイン機能とするISTPは、自分の論理を否定されることが一番嫌いです。
 Tiユーザーは相手が真剣に向き合ってくれる限りでは基本的に他者からの指摘に対してとても柔軟で寛容ですが、頭ごなしに否定されると猛烈に反発します。
 最初はいつものように淡々と話していますが、徐々に怒りが込み上げてきたようです。

「俺の考えで救われた人間がたくさんいる。コメントを見てみろ」
「誰が何と言おうが男に男らしさが求められるのは揺るがない事実」
「よりいい男になる努力が素晴らしいことは当たり前」
「俺自身努力をしてきた事それ自体が自分の財産だと心から思っている」
「そういう過程を経て男は自己肯定感を高めていく」
「得意の統計を駆使して反論してみろ」
「無条件に愛される女子供にはわからない」

 この動画では要するにこういう反論をしています。SP型らしい現実に即した反論だと思うのですが、明らかにいつもより女性蔑視的です。chatGPTに要約させようとしたら「このコンテンツは利用規定に違反している可能性があります。」と言われました。
 僕もTiユーザーとしてわかるんですよ。的外れな指摘をされるとTiユーザーは我を忘れて自分の理論の正しさをアピールしようとします。まあ誰だっていきなり殴られるのは嫌なので気持ちは分かります。
 ……ただですね、よく考えてみると、この人「うつ病は甘え」だと言って周っていた人なんですよね。
 ここがTiの脆い点です。独自理論を絶対視するあまり平気で他人を傷つけておきながら、日頃その予防線として「マジになるなよ」と言っておきながら、自分が理不尽に攻撃される時はちゃんと取り乱します。
 サトマイからの攻撃自体的外れもいいところなので、その旨を冷静に指摘するだけでいいと思うし、その上で私見を軽く述べればそれで済むと思うのですが、Tiユーザーはこういう時我慢できず喋ってしまいます。
 今気づいたのですが、僕が自己紹介文にわざわざ「ほとんど独自分析です」と書いているのはそういうことなのかもしれません。

XNTP最終奥義論点ずらし

 これでこのプロレスも終わりかと思いきやさらにアンサー動画が上がっていました。これプロレスじゃないのか?

 サトマイの再反論は以下の通りです。ジョージへの反論というか仲良しだと思ってた高須院長に突然殴られたのが気に入らなかったようです。予想外の攻撃に黙ってられないのがやはりTi的ですね。

「ジョージを否定するなって言われても別にジョージを攻撃しているわけではないから困る」
「私は運動部経験が豊富なので個人的にはなんならジョージの意見に共感している」
「ジョージに救われた人間がたくさんいることを否定するつもりはない」
「私のチャンネルは主に高収入で高ステータスで高い教養を持っている人間が見ている」
「ジョージは話の導入として取り上げただけで、組織論としての男らしさの危険性を伝えたかった」

 別にどっちを応援しているわけでもないですが、どう考えても無理がある弁明だと思います。だって「ジョージの男磨きは有害」ってサムネにバッチリ書いてあったわけですから。
 これは、INTPからすればやはりあのサムネは「おふざけ」だったということだと思います。
 そのおふざけが原因で燃えた事は誰の目にも明らかなのですが……そこには一切触れてませんね。「自分の動画の内容が理解されていない」という立場から、とにかく論理の世界から反論することに終始しています。INTPに言わせればあのサムネはただの非論理的なジョークですから、言葉通り捉えて怒っている人なんているわけがないと思っているかもしれません。そんなサムネ作ったのを覚えているかどうかも怪しいです。ISTPが現実や自分が目で見た世界を根拠に自己弁護をしているのと対照的で非常に面白いですね。
 世の中ネットニュースのタイトルだけ見て全てを判断する人の方が多いのですが、INTPはそれが理解できないのです。

おわりに

 僕自身ENTPとINTPの中間的な性格であり、Tiにはこれまで何度も助けられてきているのですが、反面苦しめられても来ました。こうやってTiのみっともない部分を見せられると自分事のように感じてとても笑えます。
 今回のビーフ合戦がプロレスなのか何なのかはわからないし、信者集めが大事なインフルエンサーであればこんな感じでもいいのかもしれませんが、僕みたいな一般人がこういうコミュニケーションの取り方をしてはまずいので、笑うだけじゃなくて反面教師にしてしっかり気を付けていきたいと思います。


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