tokyoスクエア

nisai 2019AW collection企画書

nisai 2019AW collection
''新しい虹と物語を持つ服と東京とあなたと"

副題
#TOKYONEWRAINBOWS

企画意図

2019年春、
とある喪失の後、「悪と虹」にて、自らの極個人的な面、エゴ、汚い部分、みっともない部分へ対峙した。作り込んで、見せ方にこだわって、言葉や思いを重いくらいまで服とルックに載せることを、覚悟を持って作りきった。そこに共感した人がいたのだろうか、特にインフルエンサーや拡散力なども使わずに、4日間の展示会では過去最大の売上を記録した。
展示会後、その売上と比例するように、人生最大の鬱を発症。服だけでなく、その向こう側の思いを受け止めてもらいたかったことを思い知る。そこまで作り込めたこと、思いを投映出来たことは、誇るべきこと、だけどそんな風に精神を病んでしまったことによって、周囲の人、友人、アシスタントなど、多くの人に迷惑をかけて、関係が切れてしまった人も多くいた。自ら関係を断った人も。

鬱発症から数日後、こんな状況を打破するためのコレクションを作ろうと決意を決めた。
エゴにまみれて、ドロドロの感情を描くことはやりきれたから、次はこんな感情から抜け出すための服を作ろう。こんな感情に捕らわれて先に進めなくなった、自分と同じような人に向けられるような服を作ろう、明るくて、楽しく着られるような、「スターティング・オーバー=再出発」という題のコレクション、それにまつわる服作りに取り掛かった。

コレクションのタイトルは、それと同じ生活や出会いを引き寄せる。悪をイメージすれば悪を、非戦をイメージすれば非戦を引き寄せる。そういう現象がよくあることを、ブランドをはじめてから四年間、身をもって感じてた。

「スターティング・オーバー」の発表に重なって、色々な新しい出来事があった。
南青山での展示が決まる。70万の衣装製作の依頼が入る。100万の支援プログラムにファイナリストまで進む。服飾関係のトップの方達と新しい出会いが何人もあった。薄い関係だった人が全員いなくなった。普段来なかったお客さんや、昔なじみと出会ったり、吐くまで飲んだり、自分の中の未練や執着がなくなっていくこと、新しい出発になっていくことが、よく感じられた日々だった。

4年間続けてたnisai、ここが第一章の終わりだな、と思う実感があった。
「悪の虹」の直後は、ここで終わろうと、何度も思っていた。結果的に、俺は結局服で、振り向かせたいたった一人はいつも振り向かせられなかった、自分もずっと無理をしていた。つらいことしかなかった。そんな風に思ってたけど、そういう気持ちが全て吹っ飛んだ。多くの人と出来事が、ここにとどまらせてくれた。ここも悪くないよと、あなたの価値があるよと言ってもらえた気がした。

だけど、ここが第一章の終わりだ、って感情から思ったことは
「5年目に進む感覚」ではなくて、再び「1年目からはじまる感覚」だった。


ここが上京1年目だ。ここからはじまるんだと、そんな風に思えた。
出会いと別れがあって、ずっと側にいる人もいれば急に離れる人もいる。


スクラップ&ビルド
デリート、書き直し
隠してさらけ出す、隠してさらけ出す
壊して縫って、壊して縫う
描いて塗り潰して、描いて塗り潰して、描く
出会って別れて出会って別れてまた出会う

そういった階層的な構造が
次に作るべき服のテーマとして、浮かんで来た

切って縫うだけの服じゃもう足りない
色を思って描いたり色を抜くだけの服じゃもう足りない

やり過ぎなくらい、しつこいくらい
繰り返しと反復、リフレインそのものがディティールとなって、全体となる服が必要だ

SNSが流行った。だけど、もううんざりしてる人も多い。だけど、離れられない人も多い。
可愛ければなんでもいいとみんなが口を揃えた。
だけどかわいいだけのものに辟易してる人も多い。
物語を求めてる人、全てに物語はあるよと言う人、物語やエゴなんて下らないよと言う人。

令和の訪れ、新時代。
時代の変化、環境の変化、境遇の変化、社会に対する不信感。
ただ流されてるだけでは、表層だけに支配されてしまうのでは、どんどん無感情に馬鹿になってしまうのではないかと、感じ始める人が増えてきてる。

その一方で、どうすれば私は変われるかわからない。世界の変化と、何も変われない自分、周囲の変化と、対応出来ない自分とのギャップに悩んで、つい、楽な方を選んでしまう。だけど、楽なだけじゃダメなこともわかってる。

自分には何もないからと、魔法にかけられたい人が多い。
だけど本当は、魔法がとけた先でも側にいられる人も求めてる。
こんがらがったこんな時代に、あなたに、そして何より自分自身に、捧げられる服はないだろうか。

食べても痩せるダイエット法
RTした人に100万プレゼント
指先で出会えるマッチングアプリ
指先で拒絶できる連絡アプリ
レンジで作れる簡単レシピ、アイスの実で絶品ハイボール
寝転がりながら頼める通販サイト
バズってる映画やコンテンツは良くて、そうじゃないものはイマイチだよなんて短絡さ

いつの時代も「低コスト・高リターン」を謳うコンテンツは
苦労や努力や判断を放棄したい世の中の大半の人間を操る。
それが世界に台頭することは防げない。誰だって楽にいたいのだから。

そんな事実に絶望することも多かった。だけど、自分の中にある絶望を疑わずに信じて、本当に自分の思うように作っていた今年の2コレクション(悪と虹・スターティングオーバー)とその反応を見ていたら、このままでいいんだなって確信にも出会うことが出来た。

難しいものを、読み解こうとしてくれる人が確かにいる。
わかりにくいものを、わかりにくいまま受け止めてくれる人がいる。
楽をしようとせず、足を運んでくれる人がいる。
プレゼント企画なんてしたら嫌いになりますよと言う人がいる。
自分の判断を持ってる人がいる。
むしろ、「そうじゃないとダメ」な人がいる。

ただ、誰もが恐怖も抱いてる。
自分の判断で生きることを。
そして大きなものに飲み込まれてしまうことを恐れてる。
本当に完璧な人はいない。本当に強固な人もいない。

何度も言ったり来たりして、人は生きてる。
信じる覚悟を持ったり、誰かに感情を委ねたり
本当を言う勇気を持ったり、
本当を言うことがとてもこわくなってしまったり
そんな矛盾した全ては、一人の人間の中で、とても短い期間の中でも
簡単に起こりうることなのだ。

人間はそんな風に右往左往する生き物なのに
世の中の服は、「片方」のための服ばかりだ。

世界に馴染むための服、世界を拒絶するための服
かわいい服、作り込まれた服、極限にシンプルな服、少女でいられる服、大人になれる服

あなたに、階層的な服を届けることは出来ないだろうか
いつかのあなたのように、時代に振り回されて生きる僕らのように
恋をしたり、飽きてしまったり、全て忘れてしまったり、忘れられないことがあったり
何もかもイヤになったはずなのに、だけど続けてしまって、その先でやっぱり良いこともあったり

そんな服が、作りたい

「あなたの全てを受け止める服が作りたい」それは
「自分自身の全てを受け止められる服を作りたい」でもある
この街と、この街で出会った人々と、自分自身の間に起きた物語
それを全て描きたい

リセットしたつもりだったけど、第二章に進めるつもりだったけど
そんな今やりたい、やるべきだと思ったことは、むしろこの4年を肯定することだった

一度リセットしたゲームも、物語をはじめないと先には進めない。
「次は作り話を元に服を作る」なんて思ってたけど、
物語のはじまりを意味するコレクションをするとしたら、
自分の体験を元にすることしか、やっぱり出来ない。

執着なんて何もないなんてのもやっぱり嘘で、
大好きだったけど嫌いになってしまった全てをもう一度取り戻すために、
このコレクションに取り組みたいとも思ってる

あの街も、あの出来事も、大好きだったから触れてきたものが
同期された記憶のせいで嫌いになってしまってるのは、すごくもったいないことだ
そういうことを全て、上書きしていきたい
大好きだったけど嫌いになってしまった全てを、また大好きに戻してやりたい
そういうことが可能だってことを、多くの表現や人々の力のおかげで知ることが出来たから

nisai 2019AW collection

新しい虹と
物語を持つ服と
東京と
あなたと

このコレクションテーマに込められた意味は届くだろうか
これは僕の、そしてnisaiの全てみたいなものなのだ
そしてきっと、あなたにとっての全てにもなれることを信じてるんだ

名前負けしないものを作る為に、コレクションは、
8月より数ヶ月、毎月展示を行って、
2019年末まで発表するつもりだ。
連載発表することで、完成させるつもりだ。

展示予定期間 全て東京都内

2019年8月30日→9月1日 吉祥寺バツヨンビルにて
2019年9月下旬  日本古着を海外に卸すバイヤー様と共作、ZINE発表
2019年10月下旬  ZINE第二弾発表
2019年11月下旬 合同展示を同時開催 
2019年12月下旬  クリスマスコレクション同時開催

これをやり終わったあと、来年出場予定の東コレの準備をするよ。
本当に素晴らしいものを作る為に。

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