見出し画像

12

数字が飛んでいるのが嫌だから、毎日書く。ここまで続くとは思わなかった。

書くこと以外は全部、不安定なわたしの生活。

日記を書くことだけは決まっている。

ああ、でもそれって一番日記を書くのに向いている生活かもしれないな。と思った。

仕事も、家庭もないわたしには世界が終わるということがピンとこない。一人で暮らしている彼は、ピンと来てるのかな、どうなのかな……。わたしのこと、考えているのかな。

そもそも、わたしにとって、彼とはなんだろう。名前も書く気にならない、彼。

今日は、またパスタを作って食べた。


マーケットに行って、次に読んでもらう本を買った。

そのまま、彼の家で二人で夕食を食べた。夕食を食べた後、わたしはバッグに入れた本を彼に渡す。彼は「読んでおくよ」と受け取ってくれた。

これは、何かを渡したんだろうか。それとも、何かを贈ったのだろうか。あるいは、何かを失ったのだろうか。

彼に本を渡すと、重さのない音声データになって返ってくる。

読み上げ機能を使ってもいいのだけれども、やっぱりわたしは彼の声がいい。

何日か経って、また家に行くと、眠っている彼の枕元にボイスレコーダーと、渡した本が置いてある。わたしは、ボイスレコーダーだけ受け取って図書館に行ったり、散歩をしたり、星を見たりする。

1日と、一冊の本はちょうどいい。

聞いていれば時間が過ぎる。眠る頃には、一つ物語が終わっている。

最後までお読みくださりありがとうございます。書くことについて書くこと、とても楽しいので毎日続けていきたいと思います!