北海道日本ハムファイターズ 2023年ドラフト指名を考える① 1位細野晴希・2位進藤勇也

早いもので、2023年のドラフト会議もあっという間に終わってしまいました。

早速ですが、今年の日本ハムのドラフト指名選手についての紹介及び、個人的な視点での考察をさせて頂きます。


ドラフト1位指名 細野 晴希(投手) 東洋大学 左投げ左打ち

アマチュア野球史上最速158kmを誇る剛腕サウスポー。平均140km台後半の力強い直球に、伝家の宝刀である手元で変化するスライダー、外に逃げるチェンジアップ、カウント球のカーブ、スピードと落差も両立したフォークを搭載。フィールディングも無難で、特にけん制でアウトを奪う場面も多く、投球以外のレベルも高い。
今年に入り大学日本代表に選出され、日米大学野球選手権で最優秀選手に選出される。

今年のドラフト1位で指名を受けた東都リーグ出身の投手で唯一、下級生の頃から先発としての経験を積んでおり、2年春からデビューし主戦投手として活躍。
通算の奪三振率が一部で9.86、二部で11.11(出典:ドラフトレポート様 細野 晴希(東洋大)|ドラフト・レポート (draft-repo.com))と高い奪三振率を誇る。
投球イニングに対しての被安打が少なく、ゾーン内で勝負することさえ出来れば大学生レベルだと敵なしの存在。4年秋までに打たれた本塁打も片手で数えるほどだという。

【何故、アマチュア野球最速左腕が外れ外れ1位まで残っていたのか】

課題は何といっても四死球率。一般的に4.00以上だと制球に難があるとされ、一部二部どちらも5.00以上という数字。
外れ外れ1位まで細野が残った一番の理由がここだろう。

実際に試合を観ていると、四球を出す場面ではだいたい、極端に高めに抜けるor低めにたたきつけるような感じになっており、二部時代は相手打者が投げる前から全く打つ気のない感じで見逃し、1スイングもせず四球を勝ち取っていたシーンが印象に残っているほどだ。
ただし、制球難を抱えている投手によくあるいわゆる「捕手が構えたところに来ず、ど真ん中に入って痛打される」ようなケースは私が観戦した際にはほぼ見受けられず、攻略されるパターンとしては四球絡みで走者を複数置き、高めに甘く抜けていったボールを痛打されるケースがほとんどであった。4年春までは抜け球が多い影響か、5回110球ペースでとにかく球数がかかっていた。

【進化の兆し】
10月17日、最終節の1試合目、中央大戦の投球内容が9回125球2失点(自責0)9奪三振3四球、MAX153kmという充実した内容を見せた。
この日はランナーを出すまでは140km台中盤~後半の球速を維持しつつゾーン内に集め、ピンチや三振を奪いに行く場面でギアを上げて150km台を出しに行くという出力面の調整に加え、全体的に抜け球も少なく効率的に打者を打ち取っていた。

下級生の頃は変化球がスライダー、カットが中心で、ストレートは150km台を初回から連発するも四球も連発するといった感じで、4年春は少し抑え気味の投球で、緩い球も効果的に使い始めるもまだまだ物足りないといった様子から、この日は4年春までに見られないような投球内容で、落差と速度を両立させたフォーク、右打者の外に逃げるチェンジアップを使いこなし、可能性を感じさせてくれた投球だった。
とはいえまだまだ一試合。ドラフトに向けてのアピールには遅すぎたし、この内容を継続してプロ野球でできなければいけない。

【指名の考察と展望】
以上のことから、1年目から即戦力で活躍は過度に期待してはいけないと思うが、MAX158kmというNPBでもトップクラスの球速をたたき出しながら、プロ野球に選手を複数人送り出しているトレーナーさんたちが「まだまだ伸びる」とこぞって絶賛するポテンシャルを私は信じたい。
加藤貴之の去就が危ぶまれる中、将来の左のエース候補として獲得できたのは非常に大きい。

ドラフト2位指名 進藤 勇也 (捕手) 上武大学 右投げ右打ち

高校時代から強肩の捕手として知られ、甲子園にも出場。
大学進学後、古川裕大(現日本ハム)が上武大学在学中の4年時に、ドラフト候補の捕手として注目されていた古川からポジションを奪い取った実力者。大学日本代表にも選出された。
守備力は折り紙つきで、近年の大学生捕手の中ではずば抜けているという評価。二塁送球はコンスタントに1.8秒台を計測し、プロにおいても上位に位置付けする数値。
打撃面でもツボに入れば一発を打てる長打力を秘めており、チームでは主に4番、5番を担った。


【守備】
大学日本代表の平塚合宿にて、プレーを観た。
ブロッキングに関しては、普段バッテリーを組まない投手たちの変化球も逸らさずに、丁寧に体で止めに行っていた姿が印象に残っており、柔軟な対応をしてみせた。
捕球に関しては、進藤が捕球する際には音の鳴り方がクリアに聞こえていた。他の捕手との対比も出来るのが代表合宿のいい点で、捕球音が明確に違っており、進藤に受けてもらった選手は投げていて気持ちがよかったであろう。
イニング間の二塁送球も安定感と力強さがあり、実戦でもピックオフプレーで刺して見せるスローイングの正確性、状況判断能力の高さを見せつけた。
守備面では即戦力の働きを期待できる。

【打撃】
大学通算8本塁打のパンチ力のある打撃も魅力ではあるものの、安定感には欠ける印象。代表では27打数2安打と大きく苦しんだ。
大学通算出塁率は4割を超えており、ボールの見逃し方も悪くない。
プロでは守備で我慢してもらいながら、打撃面を磨いていく形になりそうだ。

【指名背景】
今季の日本ハムは中日から移籍のアリエルマルティネス・FA補強で獲得いた伏見と外様の捕手が出場機会の大半を占めており、合間合間に正捕手候補として期待されていた清水、進藤の先輩である古川を起用したものの伸び悩んでおり、両者とも持ち前の打撃も苦しく、シーズン途中に郡司も中日からトレードで獲得したものの、二塁送球のポップタイムが2秒台と苦しい数字となっており、次世代の生え抜き正捕手候補として進藤に白羽の矢が立った格好。

今年のドラフトにおいて、大学生・社会人で唯一指名された捕手となっとり、オンリーワンの存在である。
近年大学生捕手がNPBにおいて苦しんでおり、指名は早くて3位指名となっている中での2位指名となったが、個人的には2位は適正順位だと思っている。2位だと高い気はするが、結果として即戦力の捕手をドラフトにおいてどうしても欲しかったら進藤しかいないという状況であった以上、2位で行くしか無かったと思われるので、納得している。

文字数の関係で今回はここまで、3位指名以降は次回改めて紹介とさせて頂きます。