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先週のグウェント - 2020年11月9日

この記事はグウェントの最新の話題をちょっとだけ遅れてまとめる記事です。公式フォーラムや Reddit からの情報が中心となります。

先週の1枚:魔術師アルズール

後ろ姿しか明かされていなかったため、意見がわれてた事前予想ですが、魔術師アルズールが第3回目のジャーニーの主人公になりました。様々な魔法を開発し、師匠のコシモとともにウィッチャーを作り出した人物とされています。公式サイトの画像に背景として描かれている森は「マリボーの森」であることがジャーニーストーリーのタイトルから窺えます。

【マリボーの森 - Maribor Forest】
Witcher シリーズにおいては霊薬で登場する「マリボーの森」。元々はブロキオンのドリアードが編み出した霊薬レシピを、この森に住むドイルドが入手し、仲間たちに伝えて世界に広まったことからこの名がついたという。マリボーとはテメリア南東部にあるテメリア第2の都市とその周辺地域を指す。マリボーの街はアルズールが「複十字」によって創り出した巨大ムカデの怪物ヴィーによって半壊された過去を持つ。この怪物ヴィーは街を破壊した後、さらに南のリバーデルの森林地帯に逃げ込んだとされている。
参考:https://witcher.fandom.com/wiki/Maribor_Forest_(potion)

グウェントにおいては《アルズールの雷撃》《アルズールの複十字》において、その名を刻んでおり、口がよく回った(詠唱が得意だった)ことや自ら創り出した怪物ヴィーに殺されたことがフレーバーテキストで語られています。

ダウンロード (2)

ダウンロード

ドラフト(圧縮)モードのアーリーアクセス開始

ドラフトモードではなくて圧縮モードだろ」というのが始まって1週間たった今のグウェント民の総意かと思います。Redditでも下記のような、スーパー圧縮プレイが多数投稿されていました。

汚いなさすがノヴィグラドきたない

現状は、パッケージの提示条件にバグがあるようで、シンジケートのリーダーアビリティでないのでシンジケート関連のパッケージが提示されたり、大量のブロンズ圧縮カードを含んだデッキが作れてしまっています。

そして現在はテスト中ということで、ドラフトのし直しも無限に行えるため、とんでもないデッキが簡単に作れてしまう状況です。「奪われし玉座」のように面白いプレイができますが、バランス面ではまったく参考になりません。早めにあるべき姿でテストしたいものです。

Spyro他、「The State Of Competitive Gwent」

Team Leviathan Gaming の Spyro が Demarcation、Pajabol、Gravesh といういずれも12月の World Master に出場するトッププレイヤーを招いて、競技シーンについての座談会を行っていました。司会の Spyro とともに現状のグウェントの問題点を語っています。下記に要旨を記載します。

■ マリガンとデッキ構築について、4コストカードの mulligan fodder 問題がある。

mulligan fodder とは
直訳すると「マリガンの餌」。手札に来たら問答無用でマリガンするカードのことをいう。デッキシナジーと関係なく単に数合わせのために仕方なく入っている4コストカードのことを指す。《約条》はシナジー無関係に6点が出せるのでこの役割を担うことが多い。

Demarcation:ホームカミング前は基本的にはデッキ内の全てのカードをドローできた。現在は試合展開に違いが生まれている。マリガン1回の価値が大きい。この一年で4コストカードは1~2点の強化を受けたが、高コストカードはそれ以上のものが出てきた。この差はどんどん大きくなっている。手札運の問題は数百試合おこなうプロラダーではよくても、大会では大きな結果の違いを生んでしまう。

Pajabol:《ケルトゥリス》は第1Rが重要なデッキで、守護者やシリも必要。高コストカードに依存している。この前のOpen大会は手札運が重要であることを示したといえる。不利なマッチアップでも、相手の手札が悪くて勝てたという印象があった。

■ 残響カードについてはどうか。

Gravesh:残響カードは Demarcation が語っていたように最上級カードだ。とくにスケリッジの《血のワシ》と北方諸国の《強襲上陸》はゲーム内の最強カードだと思う。《強襲上陸》の問題点は、第1Rと第2Rで使えた場合、構築コスト13に対して簡単に20点以上の効果を発揮することになる。もしこれがホームカミング直後にあったら、すべてのカードの存在を霞ませるほどだ。このカードが第3Rにしか引けなかった場合、効果が半分になってしまうのも問題だ。

■ ブロンズカードとゴールドカードの差が広がっている。

Gravesh:その中でも問題なのは、最上級と呼べるカードが限られていることだ。脚本、残響、いくつかの進化型カードが該当する。本当に強いカードと、それなりのカードがあるという状態だ。ニルフガードについていえば本当に強いカードが少ない。

■ ホームカミング前はブロンズカードがデッキの中核だったが、ホームカミング後はゴールドカードに中核が移った。

Pajabol:
確かに多くのデッキは壊れカードに依存している。その中でもいくつかのデッキはブロンズカードを上手く使っている。例えば亡霊兵デッキがそうだ。ブロンズカードでとんでもない点数がでる。とはいえ、結局のところエンジンユニットを《強襲上陸》や《アダリア女王》で引っ張り出して守っている状態だ。

■ 一方で、ベータ時代はゲームプレイがいつも一緒で勝てないマッチアップがあるという批判もあった。

Demarcation:
その状況は余り変わっていないと思う。ここ最近についていえば、マップアップ自体が極端な結果につながっているとは思わないが、例えば「炎誓いスワーム」や「鉄壁ケルトゥリス」のように相手に対策がなければほとんどすべてのデッキを倒してしまうものがある。この前の大会のラインナップでもその傾向があった。マッチアップの問題を手札運による不安定さで面白くしようというのはよいやり方だとは思わない。結局の所、対策をしやすくするか、アーキタイプが性能を発揮したときの強さを抑えるしかないように思う。

■ 《スヴァルブロドの司祭》のような絶対ほしいシナジーの強いブロンズカードを自分(Spyro)は好んでいるが、どう思うか。

Demarcation:その前にマッチアップの極端さについて、補足したい。思い浮かんだのが数パッチ前に流行った《老いた熊》デッキだ。

《老いた熊》デッキとは
実際に《老いた熊》を使ったデッキではなく、少し前に流行ったニルフガードデッキのこと。どのアーキタイプでも《ダミエン・デ・ラ・トゥール》と《ステファン・スケルン》が入っていた時代があった。これらのカードは機能しなかったら《老いた熊》と同じという意味で、《老いた熊》と呼ばれていた。

Demarcation:このカードの問題は、機能したか対策されたかで試合が決まってしまうほどの大きな差が生まれてしまうことだ。最近の《シリ:ダッシュ》がそうだが、手札差が得られるカードを《ダミエン》や《ステファン》のように列限定していないのは問題である。対策できなければ負けてしまう。

■ 一方で、Slamaさんが、バランスを取ろうとするとすべてがダメージとブーストになってしまうとコメントしている。とはいえ、たしかにこうした面白い効果のカードは対策がないときの圧迫感がある。

Gravesh:ゲームに面白い効果のカードが必要という点には同意する。それが脚本や残響、進化型カードになっている。一方で、そのために競技シーンに負担を強いている部分もある。《ケルトゥリス》デッキは良い例だろう。18枚のゴミカードと4枚のキーカードで出来ていいて、キーカードに対策がなかったら、試合終了だ。守護者もそうだ。コストよりも低い戦力値だが、相手に特定の対策を要求する。対策がなければそれで壊れカードを通せてしまう。《ケルトゥリス》は昔からあったカードだが、他のカードと組み合わせて問題になってしまった。その点で、マッチアップが極端になってしまっている。Open大会で何人かがこのデッキを持ち込んだのは偶然ではない。

■ 他のカードゲームにも同じような問題はあるのか。

Gravesh:他のカードゲームにも新カードのインフレや新規導入されたメカニズムが問題になるという似たような現象はある。違いがあるとすれば、勝敗がそれだけで決まらないということだろう。他のカードゲームの多くはデッキサイズが大きいために、特定カードの影響は小さくなる。またグウェントのように1ターンに1枚しかプレイできないわけでもない。ざっくりいえばマナ・コスト制でバランスが取れている。グウェントの場合は特定カードを対策しないといけない。できなければ負けてしまう。

■ では、グウェントの対策が必要な特定のカード問題をどうしたらよいと考えるか。

Demarcation:自分はプレイヤーなので建設的な意見を考えているわけでないし、開発者はカジュアルプレイヤーのことも考えないといけない。ただ、一つ言えることとして、最近のパッチで起こった《仮面舞踏会》の14コストから15コストへの弱体化は、間違った方向性だと思う。14コストでも大きすぎるのに、それ以上にしてしまうと、一番最初に議論した mulligan fodder 問題が発生する。今後、16コストや17コストのカードが作られるのかはわからないが。

■ 確かに、特定カードの構築コストを上げたとしても、プレイヤーは他のカードのコストを削ってでもそのカードを使い続けるだろう。結果的にデッキがどんどん極端になっていく。

Gravesh:「盾の壁」のナーフでまさにそれが起こった。合計3コストのナーフだったが、中コストのカードが低コストに代えられ《王子ヴィラクサス》は使われ続けた。結局やることは変わっていないし Tier1 デッキのままだ。構築コストでの弱体化は運任せになってしまう。自分も Demarcation のようにプレイヤーにすぎないから、問題点はわかるが解決策となると別の問題だ。ただ言えることとして、強いカードはあってもいい。《ファリバー》がその例だ。問題は守護者や《シリ:ダッシュ》、脚本のようなものの存在だ。脚本のやりたいことはわかるし、存在し続けると思うが、そのうち17コストなどになっていくのはどうかと。

■ 一方で、カジュアルプレイヤーにとっては面白い効果のカードは必要だし、競技シーンの正しさと面白さ、一言ででいえばゲーム全体のバランスというのは難しい。

Pajabol:カジュアルプレイヤーの話でいうと、Reddit や Discord などでは《仮面舞踏会》はもう嫌だというような意見もあり、面白さを求めることで自分たちで自分たちの首を絞めしているという面もある。カジュアルプレイヤーだってこの状況には飽き飽きしている。

カジュアルプレイヤーが面白いカード効果を求めているかというと、その前提は半分正しく半分間違っているのではないかと思います。面白さというのはゲーム全体の調和が生み出すものであり、ある特定のカードの効果がトンデモナイから面白いわけではないからです。

カジュアルプレイヤーは面白い効果よりも、そのカードが持つ「物語」に合った「らしさのある効果」を望んでいるはずです。脚本や進化型カードは、そうした「物語」部分に着目したものですが、バランスを欠いているという点で修正は必要でしょう。

悪い面ばかりに目が行ってしまいますが、上手くいった例も見てみましょう。ドワーフ軍団の一列並びの継戦戦術が挙げられます。

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継戦ドワーフ
ベータ時代にスピード弱体化を招いた継戦アーキタイプ。ホームカミング後のグウェントで部分的に残ったものの、一旦、ゲーム内からほぼすべての継戦が削除され、ドワーフの特徴として再導入された。ドワーフが継戦しつつ一列に並び、4コストの《マハカムの守衛》で追い打ちをかける戦い方は、バランスを崩さずにドワーフらしい力強さを表現したものになっている。

最後のほうがカジュアルプレイヤー批判のように聞こえてしまう議論になってしまったのは残念ですが、プロプレイヤーもそうでない人も、特定カードが必須になっていたり、対策がないと試合終了みたいな場面は「面白くない」という点では一致していることはわかると思います。

小ネタ集:「封印許さんぞ!」など

封印許さんぞ!

《ヴライエフ》の効果として書かれているで若干混乱してしまいますが、あくまで両隣のユニットの配備アビリティを起動するという効果です。

なんで封鎖なんだよ!!!

導入当初から不満があがっていますが、オーストリアのプロプレイヤー Shaggy もブチギレ。グウェントあるあるシリーズ:よいデッキが出来たと思って意気揚々とトレーニングモードにいくと「封鎖」に当たる。

グウェントを見習え!

グウェントのユーザーライセンス規約やGOGのプライバシーポリシーは要約版と正式版が両方書かれており、要約版を読めば内容がわかるようになっています。規約は、本来はちゃんと読んだ上で同意するものですが、現実問題としてほとんどの人は読んでいません。まず、難しすぎて読めません。ちなみに、2019年の研究によれば「米国の主要ウェブサービス500のうち498サービスの利用規約は学術論文なみに難しかった」そうです。

おわりに

もう一ヶ月のしないうちに新拡張が来る予定ですが、12月の新シーズンから新しいアカウントを始めて、初心者のプレイ環境をレポートしたいと思います。

2019年は5月に同じことを行いました。そのときの条件は「5ドルのスターターパックと奪われし玉座のみを購入」というものでした。そのときは1ヶ月で勝率7割でランク4まで行ったはずです。ちなみに同じような時期に mya-mon さんは焦土入り亡霊兵デッキで合計100試合程度(勝率9割)でゼロからプロランクに行っています。化け物かっ!

今回の条件は「5ドルのスターターパックと10ドルのジャーニープレミアムコースのみを購入」にする予定です。特定の格安デッキを使えば勝てるということは、おそらく証明済みかと思いますので、「始めたての人もジャーニー課金しても大丈夫か?クエストはこなせるか?」あたりを体感したいと思います。

それじゃ、今週もグウェントでもやらない?

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