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【翻訳】Slavic Saturday:バーバ・ヤーガ

この記事は「グウェントで学ぶスラヴ文化」をテーマに2021年10月6日に Notion 上で公開されたものの移転記事です。原則として当時のまま転載していますが、ほとんどの画像は転載していません

著者:DrDenuz 翻訳:nippongwent
この記事は「Team Bandit Gang」の記事「Slavic Saturday: Baba Yaga (EP7)」の日本語訳です。元記事のURLは既にリンク切れとなっています。
URL:https://teambanditgang.com/slavic-saturday-baba-yaga-ep7/

導入

昔のスラヴ人たちにとって、森とその中にある沼はどこにでもあるものでした。農場や村の周り、山でさえ、森に囲まれていました。それらの森には精霊が棲んでいました。
スラヴの神話の中で最もよく知られた怪異がバーバ・ヤーガです。髪の長い醜い老婆で、箒やすり鉢に乗って空を飛んでおり、その姿を想像するのは難しくありません。
この妖婆は森の中で、鶏の足の上に乗っかっている小屋に住んでいます。この小屋は、人間の骨や頭蓋骨で作られた柵で四方を囲まれています。

語源

「バーバ・ヤーガ」という名前は、スラヴのあらゆる国で様々な形で登場します。
名前の最初の部分である「Baba」は、ほとんどの場合、喃語(訳注参照)です。ロシア語で祖母を意味する「Babushka」はこの言葉に由来しています。スロヴァキアの東部では、自分の祖母を呼ぶときに「Baba」という言葉が使われています。また、セルビア・クロアチア語やブルガリア語でも「Baba」は同じ意味で使われています。
後半の「Yaga」も様々なスラヴ圏で見られる言葉です。セルビア・クロアチア語で「jeza」は恐怖や震えを意味します。スロヴァキアでは「jeza」は怒りです。ポーランド語では「jędza」は魔女や悪女、激怒を意味します。その他にも言語によって様々な変化形が見られます。

訳注:喃語というのは赤子が発する意味のない音の繰り返しを指します。世界中で親を指す言葉が「ママ」「パパ」などとなっているのは、赤子の発声しやすい音がそれだったからと考えられています。(参考:読売新聞

行動

様々な伝承からみるに、この妖婆を好ましい存在とも好ましくない存在とも断定することはできません。
第一に、バーバ・ヤーガは人食いの気があり、強い魔法の能力を持っていて、病気を広めたり、雷を発生させたりします。いくつかの文化では、バーバ・ヤーガを死そのものとして描いています。人食いの対象は主に若い男性や子供で、バーバ・ヤーガは彼らを騙して家の中に入れ、大きな炉の中で焼きます。
一方で、多くの物語では、バーバ・ヤーガは物語の主人公たちが目標を達成するのを助けます。助け方は様々です。主人公がバーバ・ヤーガの家に行くと、彼女は彼に暖かい蒸気の出る風呂や美味しい食事を提供し、彼が必要とする休息を取らせ、貴重な助言や贈り物をします。例えば、空飛ぶ絨毯やセブンリーグブーツを与えます。

訳注:「セブンリーグブーツ」(Seven-league Boots)とは、ひとまたぎで7リーグ(21マイル=30km超)を移動できる魔法の靴です。アーサー王伝説にも登場するアイテムで、ヨーロッパの様々な伝承に登場します。(参考:Wikipedia英語版

バーバ・ヤーガの民間説話

ある朝、ナターシャという少女が森の中を歩いていました。彼女はバーバ・ヤーガの奇妙な家を見つけ、ドアをノックして道を尋ねようと思いました。しかし、中に入ると、ドアがバタンと閉まり、バーバ・ヤーガに閉じ込められてしまいました!
バーバ・ヤーガはナターシャに、一生そこにいて家の掃除や雑用をしなければならないと言いました。バーバ・ヤーガはナターシャに、もし怠けたり、時間内に仕事を終わらせなかったりしたら、夕食にして食べてしまうぞと言いました。ナターシャは怖くなりましたが、バーバ・ヤーガが寝るとすぐに逃げ出そうと計画を立てました。
まず、彼女はバーバ・ヤーガの腹ぺこの犬に骨を与えました。喜んでムシャムシャと食べ始めた犬は、小屋からこっそり出ていこうとする彼女を気にせず、吠えもしませんでした。
彼女がドアを閉めたとき、大きな音がしました。それはバーバ・ヤーガの家の玄関の下に住んでいる痩せた猫の鳴き声でした。ナターシャはポケットの中を探ってみると、朝食で食べたチーズが残っていました。彼女はそのチーズを猫に差し出すと、猫は喜んで受け取りました。猫はチーズを食べるのに夢中で、ナターシャの足首をひっかくことも、バーバ・ヤーガに向かって鳴くことも忘れてしまったのです。
もう少しで逃げられる!あとはバーバ・ヤーガの庭の門をくぐり、森に逃げ込むだけでした。バーバ・ヤーガに門を開ける音を聞かれてしまうと思ったナターシャは、バーバ・ヤーガの家の塀の中を探し回り、古い油の缶を見つけました。ナターシャがその油を門の蝶番にかけると、門は静かに開きました。ナターシャは全力で門をくぐり、森を抜けました。
ナターシャは賢くて優しかったので、魔女から逃れて無事に家にたどり着くことができました。

訳注:ロシア民話「Бабе Яге」を再構築したものと思われます。この民話は妻を亡くした父と、主人公である娘ナターシャの話です。父は再婚するわけですが、継母がナターシャをいじめ、ナターシャを森のバーバ・ヤーガの元に行かせたというのものです。英語での話がこちらで確認できます。ナターシャが「優しかった」とは何を指しているのかも確認できます。

結語

これは「Slavic Saturday」の7番目の記事です。ファンのみなさん、このほかにも多くの生き物たちについて語る予定です。これまでの記事はこちらで読めます。来週の土曜日に皆さんにお会いできることを楽しみにしています。
DrDenuz は Bandit Gang のゲストライターです。 彼についての情報はこちら:TwitterTwitchYouTube

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※「日本グウェン党」の記事は「CDPRファンコンテンツガイドライン」に従って作成された非公式のファン作品であり、CD PROJEKT REDによって承認されたものではありません

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