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メメント・モリ

30歳くらいのときに西洋絵画の解説本を読んでいたら「死を思え」というのが西洋絵画のテーマに頻繁に用いられていることが分かった。いわゆる「メメント・モリ」というやつだ。ぼくの好きなブリューゲルも、メメント・モリでよく絵を描いている。

西洋絵画でメメント・モリが流行したのはペスト——黒死病の流行が原因らしい。ペストはもともと西洋人が要塞都市で暮らしていて、そこで糞尿まみれだったことから深刻化し、約1/3が死ぬほどの惨禍になった。我々はコロナであれほどの大騒ぎしたのだから、ペストはどれだけすごかったのだろうと思う。

ドラクエに出てくるみたいな要塞都市が、昔のヨーロッパにはたくさんあった。町は城壁で囲まれていて、侵略者や害獣などから守られている。そこから出ることは、死の危険性が非常に高かった。リアル『進撃の巨人』である。しかし中にいても黒死病の恐怖が迫ってくるとしたら、それはもう「死を思う」しかなくなるだろう。

なんでこんな話をしているかというと、癌について考えたからだ。ここからは、癌についての私見を述べたい。

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