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なぜお金持ちはプライベートジェットに乗るのか?

プライベートジェットの売上げが伸びているという。ぼくの知り合いでも、プライベートジェットを使うという人がちらほら出てきている。昔は、プライベートジェットというのは政府の要人か大富豪くらいしか縁のないものと思っていたが、それが段々と一般(といっても大金持ちだが)にも普及してきているのだ。

そうなった背景には、技術の進歩や社会環境の変化もあるだろう。特に、格差社会になってお金持ちが増えたということが大きい。ただ、それにしたってプライベートジェットはけっして安くない買い物だ。一生ファーストクラスに乗り続けたって、プライベートジェットほどのお金を必要としない。

しかしお金持ちは、それこそお金を度外視してプライベートジェットに乗りたがる。彼らは、一度でもプライベートジェットに乗ると、自分もほしくてたまらなくなるという。そうして結局買ってしまう。それほど魅力が大きいのだ。

なぜ彼らはプレイベートジェットを買うのか? 一般に、お金持ちは普通の人よりも経済感覚がすぐれているといわれる。お金持ちにも金遣いの荒い人はいるがそういう人はむしろまれで、彼らはたいていすぐれたビジネスマンであり、お金を使うときと使わないときのメリハリが利いている。使うときは思い切って使うが、使わないときは異常なくらいにケチだ。「金持ちがケチ」ということの実例には枚挙にいとまがないだろう。

ところが、そういうケチな金持ちこそ、大枚をはたいてプライベートジェットを買うのである。なぜなら、彼らはそこに「お金を払うだけの価値」があると見ているからだ。そこはケチるところではないと判断しているのである。

では、お金持ちはなぜケチるべきではないと判断するのか?

普通に考えると、答えは「時間の無駄を省けるから」ということになる。「時間が何よりも貴重だ」ということは、今さら言うまでもない。特にお金持ちの時間は、一般のそれとは違って大きな富を生み出す原資にもなる。だから、お金持ちは時間の無駄を省くためにプライベートジェットを購入するというと、多くの人には納得感があるだろう。

しかしながら、実は普通の飛行機に乗っても、奪われる時間にはそれほどの差はない。まず、そもそも「飛行時間」が一緒である。例えば東京からニューヨークへの飛行は12時間くらいを必要とするが、これはプライベートジェットも変わりがない。いきなり半分になったりしない。

では、搭乗手続きが違うのか? 確かに、プライベートジェットの方が登場手続きは楽だし、自分の都合に合わせてフライト時間を決められる。しかしながら、普通の飛行機でも、1日に何本も飛んでいるからそれに合わせなければならないケースは少ないし、搭乗手続きにかかる時間も、今は航空会社の努力でかなり短くなっている。特にファーストクラスともなれば、ほとんどプライベートジェットと変わらないくらい、登場には手間がかからなくなった。

だから、実は「時間の無駄を省く」というのは、プライベートジェットを買うことの本質的な理由ではないのである。では、お金持ちがプライベートジェットを買うことの本質的な理由とは何か?

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