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来店動機を創り出す! 日販の集客施策「書店祭」「バズコレ」の事例と取り組みのポイント

出版業界全体の状況が厳しい中、特に来店客数の低下は大きな課題となっている。日販では集客施策として「書店祭」や「バズコレ」を企画・ご提案しているが、今回は、両施策に積極的にお取り組みいただいている成文堂南浦和店の松井絵里子氏、ブックスキヨスクの宮﨑穂氏に、日販の企画担当者とともに、展開のポイントや店頭での様子をお話しいただいた。

出席者:成文堂南浦和店 店長代理  松井絵里子氏
    ブックスキヨスク 営業部課長 兼 総務部課長 宮﨑 穂氏
    日販 マーケティング推進部 企画課 係長 川口ルナ
    日販 マーケティング推進部 企画課 片山淳子
    日販 マーケティング推進部 企画課 窪薗希美

積極的な告知で認知と応募を拡大

――本日は成文堂様、ブックスキヨスク様にもご展開をいただいている集客施策「書店祭」「バズコレ」についてお話を伺います。まずは「書店祭」について前回の総括を中心に、日販よりご説明します。

窪薗 前回の「書店祭」は、昨年の9月16日から全国の917店舗にご参加いただき、「サスティナブルな未来を考えよう!買って寄付する書店キャンペーン」を開催いたしました。開催期間中の9月25日は国連で持続可能な開発目標「SDGs」が採択された日であり、社会的な課題解決への注目度が高まっている時期での展開でした。世の中の動きとしても、昨今は寄付やボランティアなどに関心を持つ人が増えています。そういった中で、SDGsをテーマとすることで書店様店頭からの啓発につなげ、売上アップにも貢献していきたいという思いから実施したキャンペーンとなります。

①計1717名の方に図書カードネットギフトが当たるプレゼントキャンペーンとともに、関連企画として②女性実用誌4誌の特集企画「持続可能なごはんづくり」フェア、③SDGs関連のおすすめブックフェア、④ONE ECO PROJECTの「本袋」と弊社PB商品「Old Resta」のトートバッグ展開、⑤絵本ナビ様のご協力による「エコ育絵本特集」と、5つの企画をご用意しました。

開催直前の約40日間の売上前年比をトレンドとして、期間中の実施店の売上前年比を算出した結果、未実施店と比較して+2.3ポイントもトレンドを押し上げたことがわかりました。過去5年間で実施した書店祭の中では2番目に高い実績となり、客数、客単価についてもアップしています。

プレゼントキャンペーンの応募については、LINEでお買い上げのレシートの写真を送信していただく形とし、期間中には、キャンペーン事務局のLINEアカウントの「友だち」が約10万人となりました。

――これまでよりメッセージ性の強いキャンペーンであり、テーマにもある「寄付する」もポイントでした。

窪薗 応募の際には、お客様にSDGsで掲げられている17の目標のうちもっとも関心のあるテーマをお選びいただき、応募1口につき1円を関連団体に寄付しました。お一人で複数回ご参加いただく方も多く、「社会に貢献したい」「機会があれば参加したい」という方への新たなタッチポイントになったのではないかと考えています。

――ブックスキヨスクさんの店舗では、かなり多くのLINE応募があったと伺っています。

宮﨑 当社の店舗はすべて駅の近くや駅ナカという立地なので、比較的、来店客数は多いです。なおかつレジではおそらくほぼ100%に近い形でお客様にキャンペーンの内容と応募方法について、簡単ではありますがお声がけしています。キャンペーンポスターなど告知物の掲示も各店で徹底しましたので、そういったことが応募につながったのではないでしょうか。

ブックスタジオ大阪店様での書店祭実施のようす。紅白の「書店祭」の掲示で、店外のお客様にもイベント感が伝わりやすい

――成文堂さんでは、どのように告知を実施されましたか。

松井 当店は駅前にありながら住宅街にも近いという立地で、昼間は高齢の方が多く来店されます。ビジネスパーソンや学生さんはLINEを使っての応募に抵抗がないと思うのですが、高齢者の方はご案内しても「LINEはやっていないから」とおっしゃる方もいらっしゃいます。その場合は、ご自宅でご家族の目に留まって応募につながればいいなと、まずはノベルティのしおりをお渡しするようにしました。

今までは、レジでチラシをお渡しすることが多かったと思うのですが、しおりは書店ならではの特典として、お客様に受け取ってもらいやすい印象がありました。

前回の書店祭では、テーマに合わせ環境に配慮した素材・バナナペーパーを使用した「しおり」を配布

宮﨑 当店でもお年寄りの方からはお問い合わせが多かったのですが、聞いた話によると、翌日くらいに「孫にLINEを入れてもらった」と店に来てくださった方もいらしたようです。成文堂さんと同じくしおりや、自社で簡単な形にアレンジしたチラシをお渡しし、一通りご説明して、その後はご家族の方にフォローしていただくケースもありました。

ブックスキヨスク(本社:兵庫県尼崎市)営業部/総務部 課長 宮﨑 穂氏
頭施策や販促活動全般に携わるほか、商品施策では出版社との窓口も担当

川口 書店祭は、プレゼントキャンペーンをはじめ、日頃お店をご利用いただいているお客様へ還元したいという思いを込めた企画でもあります。一昨年からLINE応募に切り替えるにあたり、事務局でも高齢のお客様が参加できなくなってしまうことは避けたいと考えていましたので、ご家庭内でのコミュニケーションにつながる一面もあるとお聞きして安心しています。引き続き、店頭でもフォローいただければ幸いです。

松井 LINEについては事務局の公式アカウントに登録している当店のスタッフが、次の書店祭のお知らせが届くので便利と話していました。

成文堂南浦和店(埼玉県さいたま市)  店長代理 松井絵里子氏
店長とともに店舗を統括し、主にコミックと文庫以外のジャンルを担当。販促施策においてはオペレーションの確定・徹底など施策の実施を主導

窪薗 企業アカウントは、もう使わないと思うとこまめにブロックしてしまう人も多いようですが、弊社のアカウントについてはつながったままにしていただいている方が多いようです。開催期間中は、スタートのお知らせや「あと〇日で終了します」というリマインドなど、事務局から都度メッセージをお送りしています。お客様にも「キャンペーンの連絡が来るので便利です」とお伝えいただけると非常にありがたいです。

「パンどろぼう」で小さいうちから本好きに

――「書店祭」実施にあたって、メリット、またはデメリットと感じていらっしゃる点があればお聞かせください。

宮﨑 どの書店もそうだと思うのですが、この15年ほどは、普通に店舗を営業しているだけでは毎年5%ずつ売上が落ちていくような状況にあります。こういった企画は、我々としては参加しない理由はないと考えています。
自社で同規模のことができるかというとやはり難しいですし、ご提案いただく企画はその大小にかかわらず、できる限り取り組んでいきたいというのが社としての考えです。

松井 弊社もほぼ同意見です。小さい店舗で企画を立てようとすると大掛かりなことはできないので、こうした機会に参加できるのは本当にありがたいです。

デメリットをあえて挙げるとすると、レジでのオペレーションがどうしても発生しますので、スタッフが覚えなくてはいけないことや手間が増えるのと、お客様の時間を多少なりともとってしまうということはあります。しかしメリットを考えると、その点は致し方ないかなと感じています。

窪薗 次の書店祭は、2月15日から3月26日まで、「パンどろぼうと書店祭 感謝の1万人当選キャンペーン」として開催いたします。企画としては3つあります。

まず、①前回に続いての図書カードネットギフトのプレゼントですが、当選金額に差はあるものの、当選者数を計1万人と大幅にアップ。②「パンどろぼう」シリーズの対象書籍のご購入で、本キャンペーン限定のお面セットをプレゼント。③このお面を使ってパンどろぼうになりきった写真をSNSに投稿していただくとパンどろぼうグッズが当たる、「なりきり『パンどろぼう』キャンペーン」の実施です。以上3つの企画で、前回に比べるとお客様への還元を増やし、人気コンテンツの特典やグッズが当たる、より楽しみながらご参加いただける内容としています。

特に、「なりきりキャンペーン」はSNSを活用した企画となっていますので、普段書店を利用していないお客様にも、「こんなキャンペーンなら参加してみたい。書店に行ってみよう」と店舗に足を運んでいただくきっかけになればと考えています。

日販 マーケティング推進部 企画課 窪薗希美
昨年まで3年間は幕張 蔦屋書店にて勤務。2022年より書店祭の企画を担当

――このキャンペーンの概要について、お聞きになられていかがでしたか。

宮﨑 先ほどお話しした通り、弊社は駅ナカの店舗がメインになりますので、お子様連れのお客様のご来店はさほど多くありません。最初は客層的に難しいかもしれないと思ったのですが、お子さんがいらっしゃるビジネスパーソンの方も多いでしょうから、プレゼントといった訴求の仕方ができるのではないかと考えています。人気キャラクターということもあって、関連の雑貨やグッズと絡めての展開も検討中です。

ブックスタジオエキマルシェ新大阪店様では、2匹のパンどろぼうがお出迎え。
プレゼントの応募用QRコードもわかりやすく掲示されている 

松井 当店ではずっと平台に置いている人気シリーズですので、企画のご案内を見たときに、すぐに足りない商品の追加をお願いしたぐらいです。当店は、親子連れだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒にいらっしゃるお子さんも多く、小さいうちから本を好きになってほしいという思いがあります。

書店祭はこれまで大人向けの企画が多かったですが、今回は、ぜひご家族で楽しんでいただけたらいいなと思っています。

日頃から「パンどろぼう」を平台で展開中の成文堂南浦和店様では、子どもの目線にあわせて拡材を設置し、親子連れへの訴求を行なっている

――ブックスキヨスクさんでは、書店祭にあわせて独自の企画も実施されるそうですね。

宮﨑 日販さんを通して、淡路島観光協会さんと何かコラボできないかというお話があり、「淡路島びらき」にあわせた観光PRの一環として、ブックスタジオ大阪店でイベント開催に向けた準備を進めています。

お買い上げのレシートをお持ちの方にサイコロを振っていただき、出た目の数だけ新タマネギをプレゼントする企画です(サイコロの目は1・2・3のみ。限定1000個で実施)。3月24日(金)の午後に開催予定ですが、お客様に喜んでいただける企画になればと、いま詳細を考えています。

Twitterでも同時開催のキャンペーンをあわせて告知

川口 10年前、発足当初の書店祭では、軸となるキャンペーンを弊社でご用意し、週末などお客様が多く集まるタイミングにあわせて、お店独自のイベントを開催していただきたいとご提案していました。ブックスキヨスクさんのような、お客様をお店に呼び込む独自の企画をあわせて実施していただけるとうれしいですね。

日販 マーケティング推進部 企画課 係長 川口ルナ
新入社員として書店祭の所管部門である営業推進課に配属される。仕入部門を経て、現在集客施策全般、おもに書店祭を担当する


書店を利用していない人を店舗に呼び込む

――日販が定期的にご提案している集客施策としては、もう一つ、「バズコレ」があります。こちらは現状あまり書店を利用されていない方にもお店に足を運んでほしいというコンセプトで実施している企画です。

片山 昨年末には、バズコレ第3弾としてバンダイナムコエンターテインメントさんが提供されているアプリゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ(以下、シャニマス)」というコンテンツと、弊社オリジナルのコミックアワード「全国書店員が選んだおすすめ少女コミック2022」のコラボという形で実施いたしました。シャニマスに登場する少女漫画好きのキャラクター2人を公式アンバサダーとして起用し、ランクインした漫画を紹介する形式です。昨年11月24日にランキングを発表して、翌日の11月25日から1か月間展開していただいたフェアとなります。

企画の告知についてはTwitterをメインに行ったのですが、そのツイートが表示された数(インプレッション)が期間中、350万に達しました。ユーザー数でいうと、おそらく50万人くらいに情報をお届けできたのではないかと考えています。その中で、ノベルティとして配布したポストカードの集計結果から予測するに、4.6万人ぐらいのお客様を全国の書店様に送客できたのではないかと総括しています。アンケートでも、参加されたお客様のほとんどが普段書店を利用しないと回答されており、今回の企画をきっかけに足を運んでいただくことができたという結果となりました。バズコレの「普段、書店に足を運んでいないお客様を呼び込む」という目標に関しては、概ね達成できたのではないかと考えています。

日販 マーケティング推進部企画課 片山淳子
営業部門を経て、企画課にて店頭フェアを企画・立案。バズコレのほか、日販オリジナル企画「いくつのえほん」などを担当

――成文堂南浦和店さんでは、かなり積極的にお取り組みいただいたと伺っています。

松井 バズコレに関しては、私やスタッフにとって半分趣味のような状態になっています(笑)。

当店ではバズコレの初回からすべてに参加していまして、第1弾の「アイドルマスター SideM(以下、SideM)」がもともと私の好きな作品でした。第2弾「Tokyo 7th シスターズ(以下、ナナシス)」はタイトルは知っているけれど……という状態。第3弾のシャニマスはSideMと同じシリーズ作品ではありますが、スタッフにファンはいるけれど、私自身はあまり詳しくありません。

と、スタッフそれぞれ好きなコンテンツは違いますが、絵が描けるスタッフがいますので、どの企画に関してもオリジナルのPOPを作って展開しています。お祭り感覚で私たちも楽しみながら参加させていただいていますし、普段は当店に来店されていない方が、店頭でご自分の好きなものを見つけて喜んでくださったらうれしいよねという気持ちで実施しています。

店頭の看板で、フェアの概要を手書きで案内。絵が得意なスタッフによるオリジナルPOPでファンにも喜ばれる売場を展開

宮﨑 弊社でも、松井さんがおっしゃったようにその作品を好きなスタッフがいる店舗は力を入れて展開していましたが、詳しいスタッフのいない店舗と熱量に差が出てしまったのが反省点としてあります。そういった店舗は店長も私と一緒でちんぷんかんぷんな状態で、「なんかようわからんけど、カードがどんどん減っていくぞ」という感じで(笑)。

やはり特定のコンテンツを扱う場合は、知識のあるスタッフがいるお店のほうが強いのかなと思いました。

片山 もちろん、それぞれのコンテンツについて詳しい方ばかりではないと思いますので、弊社からもコンテンツに関する補足情報や、押さえていただきたいポイントについてマニュアル化し、できる限りお伝えするように工夫してまいります。

松井 「絶対あのスタッフさん、作品のことはよく知らないだろうけれど、少しでも作品をわかろうとしてくれている、ファンに寄り添ってくれているよ」という話題はSNSでもよく見かけます。

作品について詳しくなくても、理解しようとして、がんばって接客してくれたという姿は、ファン目線からすると好感度が高いポイントかもしれません。

片山 ファンの方がSNSに投稿したいからポスターの写真を撮っていいかとスタッフさんに尋ねたら、明らかにコンテンツのことは詳しくなさそうなのに、「この子、〇〇県の出身なんですってね」と、スタッフさんに話しかけてもらえたというツイートがありました。

書店様からも、「ノベルティのしおりの柄でお客様が一喜一憂している姿は書店ではなかなか見られない光景ですし、そこからコミュニケーションが生まれる経験が初めてできて楽しかったです」というお声をいただきました。少しでもコンテンツに興味を持って店頭でお客様とコミュニケーションを取っていただけると、新しい出会いにつながるのではないでしょうか。

バズコレはSNSの活用がカギ

片山 書店様にぜひお願いしたいこととしては、SNSの活用があります。バズコレで取り上げているようなコンテンツのファンの情報収集ツールは、TwitterをはじめとするSNSがメインです。コンテンツの名前はもちろん、我々が企画用にハッシュタグを作成している場合はそのハッシュタグで検索すると、企画に対するファンの反応を見ることができます。

ファンの方がどういった部分に反応しているのか、どのキャラクターが人気があるのかといったことも生の声から見えてくるかと思いますので、そういったファンの言葉もお店から発信していただく際のヒントになるのではないでしょうか。

――成文堂さんではどのようにSNSを運用されているのですか。

松井 普段は私と文庫担当、コミック担当がその日に入荷した商品やフェア、特典のお知らせを各自発信しています。キャンぺーンに関しては、私が開始前と開始日、期間の中頃と最終日前日、最終日を目安に「キャンペーンをやっていますので、ぜひお店に来てください」といった内容で、文言や写真を変えながら発信しています。

片山 成文堂南浦和店さんのTwitterの使い方、発信の仕方は本当にお上手だなと思います。SideMとのコラボの時も、応援店としてすごく力のこもった店頭展開をしていただいて、それがTwitterでファンの方にも拡散されて、「このお店の展開を見に行きたい」「埼玉に行く時に寄ってみようかな」というつぶやきが見られました。コラボしたキャラクターの誕生日にツイートをするなどコラボで獲得したフォロワーに対しての発信も続けられていて、このお店にこのコンテンツのことを知ってくれている人がいるんだということが伝わります。お店のファンづくりにもつながっているところが素晴らしいですね。

松井 当店のTwitterのフォロワーや、反応してくださる方は、必ずしも当店のご来店者様ではないんです。それはバズコレ以前からの特徴で、入荷の発信をすると作者さんや出版社さんが反応してくださって、それをまたファンの方が見てくださる。書籍などはどうしても店舗によって入荷のタイミングにずれがあると思うのですが、「そろそろ店頭に届き始めているぞ」という動きを当店のツイートを見て知る方もいらっしゃるみたいです。

もちろんフェアや特典配布など、当店のご来店者向けの情報も多いのですが、そうやって情報を集めている方の目によく留まっていたので、自店のお客様だけを意識してツイートはしていません。誰かが見てくれたらいいかなというくらいのスタンスです。

オペレーションは基本形を店舗で共有、独自の仕組みで波及効果も

――先ほど松井さんからオペレーションについてのお話もありましたが、店内ではどのように徹底されていますか。

松井 バズコレに限らず書店祭もそうですが、当店では連絡ノートを作っていて、キャンペーンや特典の扱いなど担当が逐一記載しておいて、わからなくなったら見返せるようにレジに置いています。

オペレーションについても基本形をそこに書いておくので、わからなくなったらそのノートを見れば確認できます。落とし物やお問い合わせなど、共有すべき事項はすべてそのノートに書いてありますので、業務の開始時や何かあった時にはまずそのノートを見ることが習慣付いていますね。

――ブックスキヨスクさんではいかがですか?

宮﨑 当社の店舗は駅ナカにあることもあって、お客様にお声がけすることにスタッフもあまり抵抗がありません。そういった中でも、昨年店舗が独自でやってくれた取り組みがあります。ほんらぶアプリの登録キャンペーンを実施したときに、店舗内で獲得者数を競争しようということで、スタッフの名前を一覧表にしておいて、登録画面を見せてもらったらシールを貼っていくという試みをしました。期間中に誰が一番お声がけをしてお客様を多く獲得できたのかが一目でわかりますし、実際にほかの店舗に比べて獲得者数が多かったです。

その店舗はオペレーション面でも短時間のアルバイトスタッフにいたるまで徹底できており、スタッフみんなを巻き込んで取り組める仕組みがあると、ほかのことにもつながるのかなと実感しました。

片山 オペレーションについては、いま皆様にさまざまなご意見をいただきながら改善を重ねています。お客様にノベルティをお渡しすることが企画の肝になっているため、どうしてもレジオペレーションが発生してしまいます。弊社としましても、スタッフの方がノベルティの種類や配布方法が一目でわかるようなマニュアルをご用意するなど、随時改善してまいります。「こういうツールがあればスタッフの方がわかりやすい」といったアイデアがあれば、ぜひ事務局までお寄せください。

――成文堂さんではみなさんそれぞれお好きな作品がおありになるとのことですが、バズコレで取り上げてほしいコンテンツはありますか。

松井 実は、第1弾の後にヒアリングに来ていただき、その時にお伝えした作品が第5弾になると聞いて、スタッフ一同喜んでいます。

――すでにコラボが決定しているのですね。では今後実施予定の第4弾、第5弾についてご紹介をお願いします。

片山 第4弾は、2月24日から開始となる、HIPHOPメディアミックスプロジェクト「Paradox Live」とのコラボ企画となります。

ラッパーたちがチームを組んで、音楽バトルを繰り広げるストーリーで、登場するキャラクターたちの魅力はもちろんのこと、エイベックスさんが手がけるプロジェクトなので、音楽のクオリティーがとにかく高いと人気を博しているコンテンツです。

所定の画面を提示したお客様の書籍購入1冊につき、オリジナルメッセージカードを1枚ランダム配布します。ノベルティはチームごとの名刺サイズのカードとなっており、表面にはキャラクターのビジュアルが、裏面には今回のコラボ企画でしか見られない、各チーム代表の限定オリジナルコメントが入ります。

「Paradox Live」とのコラボでは、所定画面の掲示でノベルティをプレゼント。事前告知のツイートは、2月15日時点で35万を超えるインプレッションを獲得

窪薗 今回に関しては、このコメントがファンの方に刺さる目玉かなと思っておりますので、Twitterでの発信や弊社WEBサイト「ほんのひきだし」の記事を活用して、たくさんのお客様に届くよう、公式アカウントにも協力をご相談しているところです。

片山 「Paradox Live」は2023年中にアニメ化とアプリゲーム化が予定されていますが、現状はキャラクターの情報があまり出ていないため、限定コメントに価値を感じてノベルティが欲しいと思ってくださる方が多いのではないかと考えています。

また、ノベルティを入手した方がSNSで投稿をすると、さらにプレゼントが当たるキャンペーンなど、より多くのファンの方に参加してもらえる企画を検討中です。

そして3月10日からは、松井さんにもご提案いただいた第5弾を実施します。
DMM GAMESさんからリリースされている「文豪とアルケミスト」という配信ゲームとのコラボとなります。タイトルにもある通り、登場するキャラクターは芥川龍之介や太宰治をはじめとする実在する文豪をモデルとしており、もちろん〝イケメン〟の描き下ろしです。

すでに全国の文学館や文豪ゆかりの地と積極的にコラボを行っており、書店様とも親和性が高いコンテンツです。本の中の世界を破壊する侵蝕者に対処すべく、文学の持つ力を知る文豪たちが転生され、文学書を守るべく戦――という世界観を持つコンテンツのため、特典はストーリーにあわせ、本を守るためのブックカバーをご用意する予定でいます。

さらに、全国から文豪ゆかりの地を選定して、その文豪のポスターを店頭に掲示いただくような企画も立案していますので、成文堂さん、ブックスキヨスクさんにもぜひご参加いただきたいです。

宮﨑 企画には基本的に参加というスタンスは持ちつつ、実は詳しくないコンテンツだとなかなか参加しにくいなという気持ちもあったのですが、今日のお話を聞いて、取り組み方を変えていけるかなと感じています。いい機会をいただきまして、ありがとうございました。

川口 書店祭、バズコレとも今後も話題となるような企画を立案してまいります。引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。

(2023年2月2日 オンラインにて実施)

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