見出し画像

日販の取り組み(書店様のマージン改善/業界三者の収益拡大/オリジナル商材のご提供)

本稿では、日販が書店様の利益改善、収益拡大に向けて取り組んでいる施策についてご紹介します。

【1】書店様のさらなる収益改善に向けた取り組み

(日販 仕入流通本部 流通改革推進部 パートナーズ推進課 課長 山田 岳)

・無駄な返品を減らし、書店様のマージンを改善する新たな契約を導入

PARTNERS契約は、文字通り出版社様・書店様とパートナーシップの精神に基づいて、無駄な返品を減らし、関連コストを削減する取り組みです。これによって生まれたプロフィットを再配分することで、書店様のマージンを改善するのが狙いとなります。

2009年から日販と書店様で返品率を約束する契約をスタートしました。以来、High-Profit企画・PPI(Partner Publishers Incentive)という、出版社様と書店様で合意した目標を目指していく取り組みや、各100点を超える雑誌・書籍の時限再販企画グループ会社のMPDとTSUTAYA様で展開する雑誌買切と、新たな施策を導入してまいりました。

書籍の返品率は40%から34%まで改善し、ここから生まれたインセンティブは、書店様の経営に一定の貢献ができたものと考えます。

・さらなる低返品率・高粗利を目指して

過去のヒット作の中から、もう一度売り伸ばしが期待できる銘柄を多面陳列で売っていく「ReB∞T」の取り組みを、2019年から本格化しました。15%以上の高料率のインセンティブが付く企画となっており、2020年11月時点で、延べ150タイトルまで拡大しています。取り組みの前後で、約3倍も売上を伸ばした銘柄もあり、書店様のマージン改善に貢献しています。

★タイトルの一例

同じく2019年から、グループ書店で返品を最小化する、買切に近い新たな書籍のビジネススキームのトライアルをスタートしました。ポプラ社様・グループ書店と返品率10%以内で30%の粗利を実現するトライアルを実施した結果、対象となる児童書ジャンルで、返品率を約6ポイント改善し、マージン率も5ポイント以上改善しました(表1)。2020年は、11月時点で出版社を9社まで拡大し、グループ書店で取り組んでいます。返品率の大幅改善に向けての課題を解決しながら、取り組みを拡大していく方針です。

★1返品率推移(日販通信)


【2】マーケット需要に基づいた仕入施策で、業界三者の収益を拡大

(日販 仕入流通本部 仕入部 仕入総合推進課 課長 森元新之介)

日販では、マーケット需要に基づいた仕入を実現することで、業界三者の収益拡大に取り組んでいます。業界全体のロスを最小化させて、そこから生み出されるプロフィットを分け合うという方針です。この方針を新刊において実現するためのメニューが、アドバンスMD近刊予約です。

・アドバンスMDと近刊予約で、売上の底上げを

アドバンスMDは、2013年から稼働している書店様の新刊の申し込みを確約するサービスです。日販から仕入の提案数を提示し、それに対して書店様が「多い」「少ない」「要らない」といった意思を反映させることができます。

意思のある仕入をしていただくことで、きちんと販売され、実施した銘柄については実施していない店舗と比べて、売上率で4.1ポイントの差がついています。

近刊予約は、2017年から稼働している、発売前銘柄に対するお客様の予約を確約するサービスです。現在、書籍・コミック・ムックを対象としていますが、全新刊の約8割が予約可能です。2020年は社会現象となった「鬼滅の刃」関連商品について、アドバンスMD・近刊予約にて、合計で370万冊もの受注をいただきました。

・マーケット需要を集約し、刊行・販売計画への連携目指す

2020年3月よりJPROの書誌情報データベースを「見える化」し、書店様の販売現場にお届けするポータルサイト「Books PRO」がオープンしています。出版社様・取次はこの書誌情報を充実させることにより、書店様が発売前の販売計画を立案できる環境を整備してまいります。販売計画に基づいてアドバンスMD・近刊予約でお申し込みいただいた受注情報を出版社様にフィードバックすることで、マーケットの需要をダイレクトに刊行計画へ連携させていくことを目指しています。


【3】ニーズを先取りしたオリジナル商材で利益改善に寄与

(日販 商品開発部 PB開発課 課長 吉澤将仁)

日販では、これまで書店様の利益改善に寄与するべく、文具・雑貨を中心としたオリジナル商材をご提供してまいりました。2020年は既存のオリジナルブランドの認知向上とアイテム開発、店頭展開に尽力し、お客様に選ばれるようなブランドにするべく努めてまいりました。

・2020年7月のレジ袋有料化を機に大ヒット!オリジナル布製エコバッグ「#文学の雑貨」

#文学の雑貨

プラスチック製レジ袋に代わるオリジナル布製エコバッグの開発、販売を開始しました。書店様ごとのオリジナルデザインを採用した法人限定版と、『赤毛のアン』や『ウォールデン 森の生活などの名作をモチーフにしたオリジナル版は、2020年11月末時点で110法人様に導入いただき、累計出荷数は40万枚を超える大ヒットとなりました。2021年は新たなデザインに加え、新商品となるブックカバーの発売も予定しております。

・ありそうでなかった男性向け雑貨ブランド「Greeful」

画像4

2017年のブランド設立以降、全5色・バイカラーの高級感のあるデザインでデスク周りに馴染むステーショナリー雑貨を中心に展開をしております。フェイクレザーながら本格的な質感でいずれの商品も本体2,000円以下という手に取りやすい価格でのご提供を実現しております。2021年はさらなるラインアップの拡大を計画しております。

・“レトロ文具を日常に”文具女子博プロデュース「OldResta」

画像5

20社超のメーカー様にご協賛いただき、トートバッグを中心としたシリーズは累計売上枚数10万枚を超えました。ブランドの新シリーズとなる、「Leather&Canvas」は、生地に100%コットン、持ち手にリアルレザーを使用し、高級感のあるトートバッグとして、2021年初旬から全6SKUより発売いたします。

・“#はじめての万年筆”「Fonte」

画像6

インクが鮮やかに見えるスケルトンボディと、インクに合わせてキャップをカスタマイズできる新仕様の万年筆「Fonte」は、シリーズ累計売上本数15万本を突破いたしました。

なめらかな書き心地に加え、コンバーター付きで850円という低価格は万年筆初心者の方でも手に取りやすく“#はじめての万年筆”としてお客様に選ばれるブランド戦略を行ってまいります。

2020年11月からは、各ブランドでSNSアカウントも開設し、ブランドの認知向上や情報発信に、より一層努めてまいります。

書店様におかれましては、日販オリジナルブランドにご注目、ご展開をよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?