バンザイありよ_

もろ手を挙げては。

幼稚園か小学校の、だいぶ小さかった頃に、わきの下をくすぐって、ふざけあったことがある。

だれかが腕を挙げたスキをついて、こちょこちょっとやる。
あれは本当にくすぐったくて、身をよじって逃げまわったものだ。

ひょんなことから、そのことを思い出した。

僕が手がけている「あなたのうた」の第一期が満席になったのだ。

昨日、曲をお渡しした土屋友理さんがフェイスブックで紹介してくれて、今朝起きたら「お申し込みがありました」と通知が二件も入っていて、びっくりした。夢かと思った。だれかが間違って二回入力したのかと思ったけれど、本当に二件だった。

満席だ、と思ったとたん、落ち着かなくなった。
ソワソワ、ソワソワ、ソワソワ。あれもしなくちゃ、これもしなくちゃ、と次々に「タスク」が思いついて、頭がぱんぱんになる。

もうちょっと喜べばいいのに「うれしい」よりも「やらなきゃ」がいっぱい出てきた。「うまくいった」ことに対する僕の反応は、快感よりも焦りや怖さに近かった。

これまた、びっくりだ。
人は失敗よりも成功をおそれると聞いたことがあったけれど、こういうことか、と思った。慣れない幸福よりも、なじんだ不幸、というわけか。

それはあの「バンザイするとくすぐられる」感覚に似ていた。
もろ手を挙げては、脇があまくなる。
スキをつかれて、くすぐられてしまう。

思いっきりよろこんでしまったら、なにかいやなことが起こるのではないか。僕に起きたのは、そんな反応だった。

思えばずっと、うまくいっていないことを「なんとかする」ために動いてきた。穴を見つけて埋める。そして次の穴を見つける。だから、うまくいって穴が埋まってしまうと、どうしたらいいか分からなくなるのかもしれない。

いまこうして書きながら、あれは軽いパニックといってもいいのかもしれない、と思っている。「うれしい」という気持ちは、いまも点滅している感じで触れにくい。

そんなわけで、縮み続けてきた大腰筋をストレッチするような気持ちで、お祝いに広島焼を食べることにしたら、他のお客さんから急に話しかけられてドギマギすることになった。

でも、ちょっとうれしかった。
そして、ようやく満席になったことも喜べる感じがしてきた。

そんなわけで「あなたのうた」第1期は満席となり、次は第2期の募集になりますが、ゴールデンウィーク中は増枠してお申し込みを受け付けています。よかったら、どうぞ :-)

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