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ぼくの好きな先生。

『ぼくの好きな先生』という歌がある。RCサクセションの曲だ。唄っているのは、いまは亡き忌野清志郎。

たばこを吸いながら
劣等生のぼくに
すてきな話をしてくれた
ちっとも先生らしくない

ぼくの好きな先生
ぼくの好きなおじさん

その「ぼくの好きな先生」というフレーズがふっと出てきたのは、この奥津典子先生のインスタライブ を観ていた時だ。(期間限定公開だったので、もう観ることはできない。)

奥津先生は、料理の先生だ。もともと奥さんが好きで、彼女の勧めで僕も動画を観たり本を読んだりするようになった。

物腰は柔らかいのに、物言いはきっぱりしていて清々しく、そして当たり前だけど、食や料理のことにものすごく詳しい。「食べること」は「生きること」という精神に殉じている感じすらする。だから、本でもDVDでもなにに触れていても「いい空気だなあ」と感じる。

インスタライブ でもそうだった。特に胸に残っていたのは、ひとりひとりの生徒さんのコメントに返事をしている場面だ。

これを食べるといい。これがいいかもしれない。ひとりひとりの質問に丁寧に答えていく中で、「それはなんとも言えない」と口をつぐんでしまう質問が二つか三つあった。いまのコロナ禍で、あまりにも大変な状況から発せられた質問だったからだ。

その沈黙を共にしていると、なんだか涙がでた。なにが伝わってきたのかわからない。でも、こんなふうに接してくれる先生っていいなと思った。

どうしょうもない。なんともしようがない。
そういう時に答えを教えてくれる先生もありがたいけれど、一番欲しいのはいっしょにいてくれて「つらいね」と言ってくれる先生ではなかろうか。

力になりたい、けれど、なにもできない、というあのなんとも言えない表情と沈黙の中で、きっとなにが大事なことは伝わったはずだと僕は思った。それはオンラインでもオフラインでも関係ない。とても大事なことはそんな条件を飛び越えて伝わっていくはずだから。

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