見出し画像

タレントを嗅いだことは、あったか……

  臭気判定士は、基本的にイヤなニオイを嗅ぐ方が多いのですよ。何しろ『ニオイ公害をどうやったら正しく評価できるのかね?』ってところから始まって、結局『ニオイ成分の○○が○ppmで~す』と化学的な測定をやってもあまり有効じゃない現場が多かったのです。

 何でそうなるのかと言えば。「アンモニア・硫化水素」あたりが誰でも知っている悪臭物質だと思いますけど、悪臭防止法じゃ基本的に22種類のニオイ成分物質を測ることになっています。ニオイを出している場所によっては、測定の種類を増やしたり減らしたりします。測定の費用ってのは高いですから。

 でもそうするとね。測定メニューから外れちゃったニオイ物質が結構臭かったりして、出てきた測定結果じゃ法律上クリアなのにその排気はもの凄く臭かったりって困ったことが起こる。

 それじゃもう、成分は良いからどれだけ臭いか人間の鼻で測ろうと言うことで採用したのが『官能試験法』

 はいそこ、変な期待しない。『官能』ってのは人間の諸感覚のことです。ニオイ測るのにエロいことしても意味はない。

 苦情になっているニオイ空気を現場から採ってきて、実験室で薄めて嗅いでみる。臭気判定士の仕事は基本これだけ。これが何で国家資格になるのかと言えば、『苦情を言っているのも人間、試験で嗅ぐのも人間。そんでもって人間の感覚ってのは非常ぉ~にいい加減』だからです。

 どれくらいいい加減なのかと言えば、極端な例で『色つきガスと無職のガス、同じニオイなのに素人はほぼ全員色つきが臭いと感じちゃう』ってあたり。これが臭気判定士だと、そーっと嗅いで、もう一度嗅いで、考えてもう一度嗅いで「同じじゃない?」と判断する。それくらい臭気判定士には観察力と判断力が求められる。

 あ。言っておくけど『絶対音感』みたいに、『絶対嗅覚』ってのはありませんから。これも後で話題に出ます。

 今回のタイトルに使った写真、12月に放送された『さし旅』だけど。私は「ニオイ撃退マニア」ってことで呼ばれました。さし子は嗅いでない、残念ながら。一度AKBのメンバー嗅ぎ比べって企画が出たけど、ボツったみたい。

 で、何でにおい嗅ぎ国家資格者が大掃除のネタに出没するかと言えば。これがニオイに関する唯一の公的資格者だからです。ほかにはアロマコーディネーターやソムリエや茶ムリエなどが「におい」に関係する資格ですけど、こと悪い専ニオイ専門なのは臭気判定士だけ。そんなものだからTV雑誌に良く登場します。私。

 そう言えばAKBメンバーもさし子も嗅ぎそこなったけど、タレントは一人だけ嗅いだな。松本人志だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?