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脱炭素政策先進地・鳥取市を取材(りょうたろうがゆく)

 今年の夏も猛暑が続く。地球温暖化は年々深刻化し、国、地方を挙げてのカーボンニュートラルの取り組みが重要になっている。江東区でも取り組みを進めているが、先進的な事例を学ぶため脱炭素先行地域にも選ばれている鳥取市を訪れた。
 鳥取市は人口約18万人で江東区の半分以下だが、面積は18倍と広大な土地を持つ。有名な砂丘には毎年多くの観光客が訪れる。
 鳥取市は国の脱炭素社会実現の声明に合わせ、22年に「2050年ゼロカーボンシティ宣言」を表明。官民連携の取り組みが評価され、同年には内閣府の「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」に認定された。
 鳥取市では脱炭素先行地域として2地区を選定。1地区は、郊外のニュータウンで、もう1地区は都市部から離れた過疎地区。それぞれの地域に合わせた政策を行っている。
 まちができてから時間が経ち高齢化などが課題となったニュータウンでは、既存の建物を対象に太陽光発電設備の無償導入や戸建て住宅の断熱化に補助金を出すほか、電気自動車(EV)の促進政策を図り、家庭部門の省エネを進める。過疎化が進む地域ではデマンドコミュニティバスの導入や小水力発電事業を進めるなどし、公共交通の省エネだけでなく電力確保にも力を入れるなど工夫を行っている。
 こうした政策は、市だけでなく、地元電力会社や金融機関、大学と連携している。この4社が得意分野を受け持つことでいい形で事業が回っていると感じた。今後、結果を分析した上で「他の地域でも横展開したい」(鳥取市の担当者)という。鳥取市だけでなく、日本全体で共有できる可能性も秘めているという。
 江東区は人口増加がこれからも続く見込みで、30年の46%削減、50年のカーボンニュートラルを達成するのは容易ではない。先進事例を今から学び迅速に動いていかなければならないと改めて実感した。

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