◆リプレイ◆#1

ニンジャスレイヤーに全員殺されるTRPG、サンシタGOのリプレイです


#プロローグ

平安時代の日本をカラテによって支配した半神的存在、それがニンジャだ。彼らはキンカク・テンプルでハラキリ儀式を行い、歴史から姿を消した。しかし、電子の海が世界を覆い尽くし、サイバネ技術が普遍化した今、ニンジャソウルは解き放たれ、ネオサイタマの闇に跳梁跋扈していた。

俺は知ってるんだ。詳しいんだ。見えるか?見えるだろう!?闇を見ろ!ニンジャだ!ニンジャが見えるだろう!?そうだ……!

重金属酸性雨で灰色のメガロシティがしとどに濡れる。人々はサイバースペースに逃避する。どこかでサラリマンがカロウシする。政府すらもメガコーポが背後から操作する。カチグミたちがトクリを傾け合う。何もない?いつも通りか?目を開け。ここはネオサイタマだ。闇の中に、ニンジャがいる。

『リピート・ライク・ア・フルード』

#1

薄汚いバーで音楽がかかっていた。ネオサイタマの迷宮めいた雑居ビル群の中の一画、カタギではない男たちがたむろしていた。手にはコロナ・ビール。けだるいが剣呑な、裏社会に独特のアトモスフィアがあった。バーテン以外の従業員は、みな同じ顔だった。Y-12型、最新のクローンヤクザだ。

突然にして、ドアが開いた。大きな音がした。ブツリと音楽が止まる。みな扉に目を向けた。予期せざる客のエントリー。しかし、皆すぐに興味を無くした。なんの脅威にもならない、ただの小汚い男だったからだ。男は憔悴した様子だった。ふらつきながら、カウンターまで歩いた。

「ビール。コロナ・ビールだ」男は注文した。バーテンがぶっきらぼうにビールを寄越す。男はグイグイと飲んだ。砂漠帰りのように。「美味いな、ここのビールは!」「そうかい、だが瓶詰めだぜ」バーテンがそっけなく応える。「いや、変わるね。さっきまで、別のバーにいたんだ。そこのはひどかった」

男は続けた。「瓶詰めのビールだって?ファック!ションベンみたいな味しかしねえ!いや、この店のことじゃないぜ。別の店だ。まったくスカムな店だった。客もひどいゴロツキばかりで……。いや、この店のことじゃないぜ。まったくココは最高だよ。皆上品で…ガイオンだってこんな場所滅多にないさ」

「ビールだってちゃんとビールの味がしてウマイ。最高だろ?いや、皮肉を言ってるんじゃないんだ。真心をこめて言ってるんだぜ?いや、ポイントはそこじゃない。もっと大事なことがあるんだ。ニンジャだよ!ニンジャが、出たんだ!」「坊や、クスリなら向かいだぜ?」別の客が茶々を入れた。

『HAHAHAHA!!!!』

店内の男たちが一同に笑った。だが、男は構わず続ける。「そいつは突然入ってきた。顔を覆うガスマスクみたいなものつけてさ、ジュー・ウェアみたいのを着て…フリークアウトした狂人だと誰もが思った。俺は笑いをこらえてた。でも、ソイツはまっすぐにカウンターに座って、注文したんだ」

「それで言ったんだよ、奴は…、何か特別な注文みたいだった。なんて言ったかな…、ブチヤ、ブチヨ…」男の言葉を聞いて、突然、他の客達は緊張した面持ちに変わった。バーテンすらも顔つきが違う。穏やかではない状況だった。しかし、男は話を続ける。「そうだ、確か、ブチヨだった!」

「ブチヨ、確かにアイツはそう言った」他の客が話しの続きを促した。「それで?」「バーテンは、冗談めかして肩をすくめてみせたんだ。そしたら、ソイツはバーテンの胸ぐらを掴みだしやがったのさ!」店の奥、ジュー・ウェアを着た男が吸っていた煙草をもみ消す。「それからは、あっという間だった」

「バーにいる客全員が、ソイツに銃を向けた。でも、ソイツの方が早かった。構えた奴らの喉に、スリケンが刺さっていた。わけが分からなかった。いったい、いつ投げたっていうんだ?あのスリケンは?とにかく、ひどい光景だった。あたり一帯は血の海さ。それを、命からがら逃げてきたってワケ」

男はコロナ・ビールを飲み干し、言った。「いいか、ニンジャだ。気をつけろよ!」トークンをテーブルに叩きつけ、男は店から出ようとした。「待ちな」バーテンが引き止めた。「まだ、話は聞き足りてねえぜ」クローンヤクザが男を押さえつける。「俺は客だぞ!金は払っただろ!ヤメロー!」

「ヤメロー!ヤメロー!」雑居ビルに悲鳴が虚しくこだました。

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ニンジャ学会ついほう者

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