見出し画像

小1の時小1から学んだ話

小1の時の忘れられない思い出がある。

水泳の授業から戻ったら教室で男子が私のパンツをかぶってふざけていたこととか(当時の小学校は水泳の授業の前に男女一緒に教室で着替えて着替えを教室に置いていたんだけど今もそうなのだろうか。)、休憩時間しかトイレに行っちゃいけないと思ってお漏らししてしまったとか、そういう嫌な思い出もあるけど、今回ここに書き留めたいのは小1なりに学びがあったという思い出だ。

子どもの頃、文章を書くことがなぜか少しだけ得意で、小学校1年生の時に「せんせいあのね」の作文("せんせいあのね"を冒頭に置いて、先生に話かけるように書いたもの)が学年で優良な作品として選ばれたことがあった。

作文の内容はこうだった。

ある日、母親が珍しく風邪をひいて寝込み、育児に全く参加していなかった父親と、小1、幼稚園年長、2歳の子ども3人で密に過ごした1日を書いたもので、ベランダに干してあった洗濯物を一緒に取り込んだこと(実際は間違えて乾いた洗濯物をもう一度洗濯機に入れて水浸しにして母を泣かせた)、夜ご飯にドライブスルーでケンタッキーフライドチキンを買ってもらい、特典の音が鳴るベルを2つ貰ったこと(まだ持っている)、その帰りに本屋さんでシールを買ってもらったこと、色々買ってもらってなんだか申し訳ないからお父さんにお金をあげたいと思ったことなど、noteで書いている日記と変わらない、あったことと思ったことを時系列に並べたものだった。

「今度お父さんにお金をあげるよ」で私の作文は終わっているのだけど、普段から私たち子どもの衣食住のためお金を惜しまず使ってくれていることを当時はこれっぽっちも意識しておらず、この日、いろいろ買ってもらったのを目の当たりにして初めて意識したんじゃないだろうか。こんなに使って大丈夫なのかな? お金なくならないかな?と、自分で言うのもなんだが長女ゆえの気遣いが入った一文だ。

優良だから賞状をもらったとか、やたら褒められたとか、そんなのはなかったのだけど、学校で配られる何かしらの冊子には掲載された。多分1年生から6年生の作文が載っていたのだろう。ここで同じ学年の優秀作品が私の他にもう1人いることを知った。名前はやしろくん。どの科目も成績優秀で、ガキ大将の前でピエロを演じるようなお調子者でもあった。そんなやしろくんの作文を読んで、私はとてつもない衝撃を受けたのだ。

やしろくんの作文の内容は、週末に持ち帰った上履きを、お風呂場の床で洗ったというもの。上履きを水に浸して石鹸をこすりつけ、ブクブク泡立ったらタワシのようなものでゴシゴシと洗う描写、そして洗っている時のやしろくんの気持ちが書かれていて、小1の私でも、やしろくんの一生懸命洗っている姿が浮かんでくるくらい、それはそれは素晴らしい表現力だったのだ。内容は上履きのみ。上履きだけで私の1日を書いた作文とほぼ同じ文量だ。こういう内容で書く文章もあるのだと驚いた記憶がある。

そもそも自分で毎週上履きを洗っていることにも驚いた。私は上履きを洗ってもらっているどころか、なんなら靴下から服まで母親に着せてもらっていたので、自立した同学年に対して後ろめたい気持ちにもなった。

30年以上経った今も時系列で物事を淡々と書くのが得意のままで、ひとつの物、事柄について延々と文章を書くということに憧れを抱いているのは上履きの作文を読んでからずっとだ。いまだにその手の文章を書くのが得意ではない。

ちなみにやしろくん、冒頭に書いたパンツを頭にかぶっていた男子でもあるんだけど、どんな大人になったんだろうな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?