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認知症の人に関わるとき、気をつけていること

今日は、認知症の人に関わるとときに気をつけていること書いていきます

痛みをさける

人は動物ですので、生きたいと感じる事は普通です。大昔は食べられる人間もいれば、食べ物がなくて餓死する人もいましたが、最近は動物に食べられる人も減りましたし、餓死する人も減ったと思います。

でも、食べられたり、食べられなかったりした時期というのがあり、身体は覚えています。では、どうやって危機から回避し、生き残るのか。

それには、昔から人間の身体に存在している「痛み」を感じる力で、危険を回避する行動をとっています。

痛みを感じる力は、認知症になってもしっかりと残っています。

そして、この痛みを感じることで、拒否が起きたり、防衛本能で暴力がでたり、暴言がでたりするケースもあるので、少し準備をしてもらうだけで、BPSDが和らいだり、無くなったりすることがあります。

身体的痛み

身体的痛みは、体から直接受ける痛みです。介護でいうと、介助中に身体を持ち上げるために、

「ぎゅ」と持ってしまったり、案内するのに「引っ張ったり」という場面です。

介助だからしかたないと思うかもしれませんが、本人にとって、「痛み」は「痛み」です。防衛して、拒否したり、「離して」というのは当然。

持ち方をかえてみましょう。上から掴むのではなくて、下から支える。

手のひらと指の腹で引っ張るのではなくて、手の甲から身体を少し押して、体が傾いたら手の平でささえましょう。

これをするだけで、相手への力の伝わり具合が変わって、痛みを減らせて、「痛いじゃない」「何するの」が、圧倒的に減ります。

心の痛み

心の痛みってありますよね。一人ぼっちだったら寂しかったり、仲間外れになったら辛かったり・・

この心の「痛み」も、体と同じ痛みの回路をつかっているそうです。

だとすると、施設に入所された場合、不安で仕方がないのは容易に想像できますよね。だって、記憶障害で「どうしてここにいるのか説明がつかない。」「いつになったら家に戻れるのか、わからない。」のですから、その不安は計り知れないと思います。

当然、このような痛みを感じたら、痛みを回避するために「家族に会うために家に帰ろう。」「ここがどこか確認して安心しよう。」と行動に起こすことは当然のことと言えます。ですが、聴いたことも忘れてしまうので、繰り返してしまうことになります。だって、不安が取り除けなくて、痛みがつづいているんですもの。

記憶の作られ方

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この行動が、「帰宅願望」「何も同じ事を聞く」というBPSDとなり、ぞんざいに扱われたりすると、怒れてきて強い口調や言葉、行動で伝えてしまうことになってしまいます。これが、「暴言」「暴力」と表現されるBPSDです。

 でも、「痛みの回避」「自分自身の事を守るために行っている必死の行動」と捉えると、私は「理にかなった事をされている普通の行動だなあ。」と感じています。

接し方

では、どうするか?

ひとりぼっちの時間を少なく

極力、ひとりの時間を減らすように心がけています。当然、1人の時間が好きだったり、いきなりこられると身構える性格の人については、接する量を加減します。でも、基本は「あなたに興味があるから、お話させて。」というスタンスは変わりません。特に利用当初は、手厚く、職員全員で言葉かけをしたほうがいいと思います。

わけがわからない時間を短く

記憶障害といっても、発症時期、種類、年齢によって、「記憶の保持期間」「記憶保持しやすい言葉や行動」は違います。なので、相手がどのくらい、記憶が保てて、保てないのか、何が分かりやすくて、分かりにくいのか調べます。

それから丁度、忘れるタイミングで「記憶を補う言葉」を伝えたり、活動の言葉をかけます。そうすることで、わけのわからない時間が短くなって、不安と感じる時間を極力減らす努力をします。

ご本人で感情のコントロールが出来ない時は、適量の薬は必要

接し方、伝え方、記憶を補う事をがんばっても、前頭葉が弱っていると、感じたことや思った事をそのまま口にだしてしまったり、行動に移してしまったりされるときも、しばしば・・

薬が多すぎると「過沈静」といって、ほんとうに動かなくなられるので、適量を飲んでもらって、薬で自制のきく状態で、周囲の環境も整えていくというのが大事です。

ちなみに、在宅で「寝ないんです」と家族から相談をうけた医師が、眠る薬を処方されているのをよくみます。効いていればいいのですが、依然として眠らない場合は、不安薬や精神薬を適量飲ませてもらって、その薬の副作用で眠たくなるほうが良い場合があります。一度、お医者さんと相談してください。

まとめ

認知症の方の行動には理由があります。でも、それが上手く表現できないだけなので、分かりやすく環境を整えることが大切です。

薬も必要です。歳を重ねると、認知症と診断されていなくても、血管が老朽化し、結果、栄養が届かないと、細胞は死に、認知症と同様の症状が現れます。認知症の薬は理解力を戻すくすりですが、それは細胞あってのこと。すでに細胞が少ない脳の場合は、物事を落ち着いて、心広くみれるように調整する薬を飲んでもらわないと、環境だけで乗り越えることは困難です。

薬 と 本人の周囲の環境を整えることが大切です。


いろいろ、ゆったりと書いてきまーす。