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マスクの神

ワンオペお風呂の日、私はスキンケアにシートマスクを使うことが多い。

最近年齢肌を気にするようになったので、できれば化粧水から丁寧にスキンケアをしたいのだが、1歳児と4歳児を抱えたワンオペお風呂は試合そのもの。

優雅に自分のスキンケアに割く時間など微塵もないのだ。

というわけで、フェイスマスクを貼りながら息子たちの身の回りのお世話は、時短と肌の乾燥対策にもなる。

だが、4歳の長男が湯船でひとり遊びに没頭してしまいなかなか上がらない時がある。
先に上がった次男と私も全て完了しているのに、上がってくる気配がない。

我が家は1階に風呂場があり、2階にリビングがある。4歳で溺れるリスクは少ないだろうし、湯船も一番浅くしている。

それでも、風呂場を1人にさせるのは心配なので置いていくわけにもいかない。

かといって、脱衣所でずっと待っていたら次男の身体が冷えてしまう。

そんなとき、私は禁じ手のマスクの神を召喚する。

長男が風呂で遊んでいるところに、マスクをつけた私が浴室のドアを開けてヌッと覗く。

「ママはマスクの神と契約しました。」

「マスクの神がママのお肌に潤いを与える代わりに、今から5分以内に長男くんが上がってパジャマまで着ないとマスクが離れなくなり、ママの顔はずっとこのままになってしまいます。」

5分というのは、マスクをつけている目安時間から。

「ママがマスクと一体化しないために、長男くん手伝って!」

そう言うと、笑いながら半分冗談だろうといった様子でいつもの5倍速で動いてくれるのだ。

私が、「ンあ・・・マ、マスクが・・くっつく・・・!」

といった大根芝居を見せると、
「あー!だめぇーー!!」と半分笑い半分本気の表情でさらにスピードアップをする。

この「マスクの神との契約」劇場はこれまで3回ほど公演してきた。

そしてつい先日も、先にお風呂に入れてリビングで不機嫌マックス状態の次男を待たせているので、マスクの神を召喚した。

いつもは長男がお風呂から上がる時点でつけているのだが、今回は私も先に次男と風呂を済ませたので、最初からシートマスクをつけて長男の頭と身体を洗っていた。

すると、長男はいつもより私がシートマスクを装着する時間が長いことを懸念し、初っ端から心配と焦りの表情を見せていた。

風呂から上がって「ママ、マスクくっついてない?」と聞いてきたので、「そろそろヤバイかも」とちょけてみると、「うわーん!いやだよぉー!!」と本気で泣いてしまった。

あかん、やり過ぎた。

「大丈夫!マスクの神はちゃんと急いでいる子にいじわるなんかしないから大丈夫だよ!」
「マスクの神は、ダラダラなんにもしていない子だけに天罰を与えるから!長男くんはちゃんとテキパキしてくれてるからね!大丈夫!」

急遽新ルールを設けてなんとか長男を落ち着かせた。

普段鬼を使わず怖がらせることはしない派。
だから「マスクの悪魔」じゃなくて「神」にしたのだが、今回の長男を見て反省。

いつも楽しそうに、ゲーム感覚で時間内に着替えてくれてたのに甘んじてたけど、本当は怖かったんだなと。

もう、この手は使わないでおこう。

あと1枚残ってるけど。

そんな反省文でした。

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