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【絵本レビュー】バナナ+ワニでは何もならないと知っていたのに...『バナナじけん』

大量のバナナを運ぶ車。その車が道に落としたバナナを拾ったサル。もちろんむしゃむしゃ食べますよね?そのサルが捨てたバナナの皮が落ちている道に、ウサギが走ってきたら、起きることも予想できますよね?

そして潰れたバナナの皮が落ちているところに、ワニがノシノシやってきたら何が起きるでしょう??

何も起きません。

予想通りでもあり、裏切りでもあるこの一文。『バナナじけん』のこの一文にやられてしまいました。

好きなキャラクターは、もちろん青いウサギです。斬新なカラーリングと共に、脚長モデル体型のビジュアル。登場シーンは無表情で、全速力。高畠さんの作品の多くはシュールな仕上がりになっていますが、その最高峰ともいえる憎めないキャラクターのウサギです。

独特な言い回しが病みつきになり、はっきりとした色合いでの着色が心地よい。

長女が3歳のときに出会った絵本です。空飛ぶ図書館でおすすめのポップが貼ってあるところを、霊長類好きの娘が選びました。あの猿の表紙も秀逸です。全てのおサル好きを引き寄せます。

借りて読んでみると、ゲラゲラ笑う娘。猿がバナナを投げるフォームで大爆笑。青いウサギがどったんばったんするところなんて、何度読んでも笑います。

何度か読んで気付いたのですが、この猿、黒いバッグを持っています。パンとか入れるとおしゃれに見えるかごバッグ。この猿はどこに行くの?街に買い物ですか?その疑問にいっさい答えることなく、バナナをむしゃむしゃ食べて歩きます。

そもそも、そんなにバナナを大量に落としちゃだめだろうって話なんですが、あの車はどこに行く予定だったのでしょう。バナナを市場に売りに行くのでしょうか。そのバナナの中身は猿のお腹のなかに入ってしまいますが、皮はワニのおかげで再び車に積まれることになります。そして腹いっぱいの猿と、傷だらけのウサギと、へとへとになったワニをのせ、街に向かって行く車。一体何しに街にいくのでしょう。一度は愕然としていた運転手も、どうやら最後には何かに手を降っています。最後まで、本当に心地の良い「どういうことー?」というツッコミ展開が続きました。

何度も読むともちろん飽きがきますが、数カ月後にもういちどブームがやってきます。また大爆笑。年に3回は起こるバナナじけん、大変おすすめです。


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