現世レビュー「人間」

人間――★★★★☆ (ver.2010年代)

 さすがに地球上では最高の知性をもつというだけあり、わりと楽しかったです。他のレビューには「人生はクソ」「誕生でハズレを引き、苦しんで終わるだけだった」というのもありましたが、そこそこな"あたり"を私は引けたので楽しかったです。もともと地球の生物への転生はそういうガチャ要素が強いので、そこで低レビューをつけるのもなあと思います。
 ただ、ガチャ要素を除いても★5にしなかった理由がいくつかあります。大きく分け、ハードウェア面(人間の体)とソフトウェア面(人間社会システムや思考面)で指摘しておきます。
 まず、ハードウェア面ですが、ここ最近でプレイ環境がずいぶん変わってきたのにハード面でアップデートが全然追いついていないようです。
 まず今思いついたものとしては、カンピロバクター耐性がずいぶん前のアップデートで消えてしまったことがあります。そのくせ生肉が美味しいのはどうかと思います。他にも尿酸・血糖が上昇しがちなことは特に寿命が伸びた現在において好ましくありません。
 逆に消してほしいものとして親知らずと足の小指があります。少なくとも先進国で親知らずは結構後から除去されていますし。
 あと、人間は未だに二足歩行に対応しきれていないみたいですね。腰痛がその証拠です。
 他にも、寿命の伸びにハードウェアが対応しきれていない部分があります。というか、「老衰は仕様」というのは運営の怠慢では?と思ってしまうぐらい老衰はこのゲームの楽しさを下げています。最初は楽しいのに後から飽きるのはこのためでしょうかね。アップデートを望みます。
 
 そしてソフトウェア面でも寿命に対応しきれていないように思います。寿命が伸びた結果、このゲームにおいて最大級の楽しみをもつ「恋愛→生殖」ができる期間が人生の1/4しかありません。先進国を誕生地として引いた場合、80年のうち10年目~30年目ぐらい。生殖だけならもう少し後でも理論上可能なようですが、バグも多くなると聞きますし、基本的にその年齢では恋愛そのものの難易度がきわめて高くなるので現実的じゃなかったように思います。さらに私が引いた日本国においては16歳~21歳というわずか6年でほぼ決まってしまいます。ここで勝っておかないと、よほどのことがないと残りの人生が退屈な消化試合(言葉のあやですが)になりがちなので、ここは早急にアップデートしてほしいです。
 あと恋愛の難易度が理不尽に高くなることがある理由は、性別が2種類しかないことにあると思います。いっそ思い切って20種類ぐらいにしたら難易度が低くなるのではないかなあ、と空想したりします。ただ3人寄れば派閥ができる現在の人間ソフトウェアでは、性別を20種類にしても難易度や理不尽な同調圧力・差別状況はあまり変わらないのかもしれませんが。

 とまあ、さまざまな面で欠点を見出してはきましたが、基本的には楽しい人生でした。とくに読書が無限の楽しみを与えてくれるのが良かったと思います。総合的に考えて★4つです。

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