小沢一郎が野田佳彦を支持する表の理由と裏の狙い

立憲民主党代表選挙で小沢一郎が野田佳彦の支持を表明した。これはとても大事なニュースだ。茶番の自民党総裁選の出馬会見よりもはるかに重要だ。
なぜなら、立憲民主党代表戦を裏で動かしている長老は小沢一郎だからだ。
自民党には麻生、菅、岸田、茂木など多くのキングメーカーを気取る長老たちが在籍している。総裁選決選投票の勝者は最終的に長老たちによって選ばれるだろう。その権力闘争が政治玄人を自称するベテラン政治記者界隈を楽しませており、マスコミもそうした解説を垂れ流している。
自民党総裁選と比べると同時期に実施される立憲民主党代表選挙。こちらは玄人にとっても素人にとっても面白みがない選挙だ。その原因は、立憲民主党代表選挙を動かす長老が小沢一郎一人しかいないからだ。
そもそも枝野も野田も立憲民主党の主要人物はみな小沢の弟子みたいなものである。
ただし、師匠の小沢一郎が人として問題のある人物だったので、反発が強く、離反する人が後を絶たなかっただけだ。野田佳彦もその一人だった。
ではなぜ小沢一郎が枝野でも、他の候補でもなく野田佳彦を推したのか。
表の理由は維新との連携だ。
野田佳彦は松下政経塾の卒業生で、維新には松下政経塾の卒業生がそれなりの数いる。松下政経塾つながりで野田と維新は思想的に違う部分もありつつ協力することができる立場にある。
つまり、小沢としては立憲民主党が維新と組み(少なくとも選挙区調整をして)、国民民主ともうまくやる。立憲、維新、国民民主の連合を作り、可能であれば日本共産党の候補を降ろさせて野党候補を一本化しようというのが表向きの狙いだ。
裏の理由は日本共産党切りだ。
枝野と野田の最大の違い。それは日本共産党との関係だ。
小沢が野田を選んだということは、共産党を切り捨てると決断したことを意味している。枝野は選挙区の事情で日本共産党に候補を降ろしてもらい支援を望んでいるため完全に切り捨てられない。
だが、毎朝駅前に立って街頭演説しているのがうりの野田佳彦は選挙にめっぽう強く、共産党票を必要としていない。わかりやすくいうと、共産党と組んでも組まなくても戦えるということだ。
小沢は2015年9月の安保法制に反対するデモの直後、日本共産党と接近し、協力関係を築いた。2016年夏の参議院選挙以降、小沢は日本共産党寄りだったと言える。
では、なぜ小沢は日本共産党切りを決定したのか。最大の理由は今年2024年1月の日本共産党党大会だ。
志位和夫委員長が辞めて議長にスライドし、代わりに田村智子が委員長に就任したあの党大会。
小さすぎる出来事でみな忘れているか、そもそも知らないかもしれないがこの党大会ではもっと重要なことが決まっていた。それこそが不破前議長(96歳)が共産党の幹部委員会を引退した件だ。
年齢的に見て不破前議長の引退は当然だが、問題は小沢と日本共産党をつないでいたパイプがいったい誰だったのかだ。
実は小沢が日本共産党と組んでいたのは不破前議長との関係からだ。
不破前議長は日本共産党の文字通りの長老であり、長老の小沢とは思想的に違っても立場としては同じだ。日本共産党と小沢の関係は不破前議長によってつくられてきた。
だが、その不破前議長が今年1月に完全に引退を決めたことで、小沢には日本共産党と組む意味がなくなった。
そこで、日本共産党に依存している枝野ではなく野田を推すこと決めた。もう日本共産党とつるむ意味はない。維新も出てきた。
小沢が小選挙区比例代表制を導入した真の狙いは、保守二大政党制を作ることだった。その意味でリベラルな枝野は不適格。
野田ならば、維新、国民民主など保守系ともうまくやっていけるだろう。そういう信頼感がある。だから小沢は野田を選んだ。
以上がわたしの考えだが、みなさんはどう思うだろうか?
 
次回は小沢が野田を推すことで何が起こるかについて考えてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?