意外と重要な9都議補選・蓮舫が当選すると困る公明党

注目度のわりにあまり重要ではない都知事選と比べると、あまり注目されていないが、都知事選と同時に9つの都議会議員選挙の補欠選挙は重要度が高い。といっても、任期は来年夏の都議選までの1年で、都政に影響が出るわけではない。
以下の記事を読むとリアルな各党の事情が見えてくる。
 
自民党、都議補選で逆風の影響探る…立憲民主党・共産党は衆院選での協力意識し「すみ分け」
6/29(土) 5:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/5292a6adc76c77d7c4d779969972161bda183596
 
 
要約すると、
・自民党は8選挙区に候補を立てて半分の4つ勝てればいい(前職5議席から減っても勝ち)。
・公明党は去年自民党都連ともめたことと、民ファーストに配慮して自民党を推薦しない。
・立憲は3議席、共産党とすみ分けて7選挙区に候補を立てる。
・小池は都民ファーストの候補を応援しない。
といった内容だ。
 
都知事選でもそうだが、東京の立憲と共産はかなり親密な関係を気づいているようだ。今回の改選は自民5、都民ファースト3,無所属1なので、1議席でも取れば立憲・共産は議席増になる。来年リセットされるとはいえ、自民も都民ファーストも前回より勢いが落ちており、うまく両党の票が乗れば取れる可能性はある。3~4程度取れれば都知事選で蓮舫が負けても立憲・共産側もそれなりに健闘したといえるだろう。
最近の都内選挙では自民と都民ファーストの接近が見られたが、今回は小池が都民ファーストの候補を応援しないことで水面下で協力している可能性もある。小池百合子が学歴問題で突っ込まれるのが嫌だったから街頭を避けているのも原因だと思う。
このあたりの微妙な小味の選挙のほうが各政党のパワーバランスが見やすい(まあアリたちがどの巣穴に住んでるかくらいの些細な問題ではあるのだが)。
その小池百合子の応援に公明党がいるらしい。

前回、都知事選挙の勝敗は国政に影響しないと言ったが、一つだけ例外がある。公明党だ。
公明党は伝統的に都議会を大切にしており、都議会では常に与党になるように立ち振る舞ってきた。今回補選に候補者を立てていないがこれは公明党が都知事選をとても重視していることを意味している。
実際、蓮舫が当選すると公明党は困った事態に陥る。
もし蓮舫が勝つとする。蓮舫は立憲民主党を離党したとはいえ、立憲民主党の人間だ。
公明党は与党を常に都議会与党でありたいと考える。
これまで都議会は、小池の都民ファースト、自民、公明が与党だった。前回の都議選で都民ファーストと自民党は激しい第1党争いを繰り広げ、公明党はどちらを支持するかでキャスティングボートを握っていた。自民と都民ファーストが一定の議席を有するいまの都議会は公明党にとって理想的と言える。
だが、蓮舫が勝つと来年の都議選で都民ファーストは崩壊する崩壊する(大本尊が消えたら当然)。代わりに立憲民主党が伸びることは間違いない。つまり、都議会議員選挙でも自民VS立憲の構図に変化する。
国政では公明党は自民党寄りだ。だが、都議会でも与党でいなければならない公明党はいわばまた裂き状態、国政では自民、都議会では立憲というわけのわからない状態になる。そんな状態で、来年夏の参議院、都議会(同時)選挙を迎えればどうなるか。都議選では立憲に配慮し、国政では自民と組む。
そんな器用なことできるわけがない。支持者だって混乱する。
というわけで、蓮舫が当選して一番困るのは公明党なのだ。だから必死に応援する。
一見すると今回の選挙は小池VS蓮舫、あるいは自民VS立憲にみえるが、本当に対立しているのは公明党と共産党だ。
共産党が勝てば立憲民主党との協力に踏み込みやすくなり、補選の協力関係をより深くして、都議選にも前向きになる。
蓮舫が勝つと、公明党は次の選挙、あるいは選挙後に自民につくか立憲につくかの選択を迫られることになる。あるいはどちらにもつかず、連立解消して比例票のみに切り替えて選挙区ごとに候補を応援する選択肢もある。
自民と組む場合は現状維持だが、自民党総裁選で支持率が回復しなければ公明党が自民を見捨てる選択肢はある。比例だけの場合はキャスティングボートを握ることで、自民、立憲からなんらかの譲歩を引き出す方式になるかもしれない。
その結果、蓮舫が当選したあとに立憲と公明が手を結ぶ可能性はなくはない。そうなると玉突き的に自民が維新や国民民主と組む形で次の衆議院選挙を迎える可能性がある。現在の国政の勢力図が大きく変わる。
立憲には公明党嫌いもいるだろうが、反共の連合との相性を考えると(泉代表のままなら)、共産から公明に乗り換える選択肢もなくはない。公明なら国民民主も立憲と距離を詰めるかもしれない。
本気で立憲が政権を取るつもりなら、公明、共産、連合三者による支援体制を作り、立憲、国民、公明の三党連立政権を樹立し、共産党に閣外協力してもらう形が現実的だ。
公明党が自民支持をやめてその票が立憲に流れる、さらに日本共産党が候補をおろしてくれるのであれば(共産が自民応援することはありえない)立憲+公明で衆議院の過半数を握ることは現実的に可能だ。そうなれば一転して、共産と少し距離をおいた非自民非共産の連立政権(細川政権の2番煎じ)ができる。
そこまで露骨にはやらないだろうが、閣外協力という形で共産党と距離を置くことで連合を納得させることもできる。ただ、泉代表にそんな難しい綱渡りの政権運営をする能力があるとはとても思えないけれど(枝野はもっと無理で、野田も無理)。
このように都知事選で蓮舫が勝ち、さらに自民党総裁選でも支持率が上がらず立憲に政権交代の目があるとみれば公明党は選択を迫られることになり、その選択次第で政局が動く可能性はある。
現状維持を望む公明党がほかの誰よりも小池勝利を願っている。
もし蓮舫が当選した場合、その後の公明党の動向は注目だ。無論、小池が勝てば次の衆議院選挙までは自公連立を前提に話が進む。

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