「鉄壁のホールド」を如何につくるか
ケンさんのブログから私がよく噛み砕いて、難しい表現を易しく解説してみます。故金沢正太さんにも私がダンスを習いたての頃お世話になりました。しかしあの方独特の表現とダンスの表現がよく分からないのでした。今では「開く」=オープン、閉じる=クローズの意味が最近になって分かって来ました。でもこれをopenとかclosedの意味と理解したならもっと早い時期に分かったのではないかと思います。
結論から言いますと、「鉄壁のホールド」などないんです。「青い鳥」を求めたチルチル・ミチル、生命の泉を求めて探し回ったポンセ・デ・レオン、マルコが母を訪ねて三千里とか、私もあると思って「鉄壁のホールド」を探していたのです。私よりももっと前に社交ダンスを始めた方は、これが「鉄壁のホールド」だと勘違いして踊っているのかも知れません。
鉄壁にしたらまず第一に踊れません。この一番重要なところで社交ダンスは躓いてしまっているのではないかと思います。教える方もハウツーの上手なホールドを説明するのは非常に難しいと思いますが、また、同じように習う方でもこれで良いのかと自分のホールドに自信が持てません。そしてこれで大丈夫などと思っていると、男性の場合、右アームが下がってしまっていると指摘されること、しばしばです。
ホールドは形を変えないで固めて踊っているのではなく、常にショルダーは変化しているのです。肩の重さはペットボトル2本分の重さらしいです(1L・ボトル)ので、これで1曲は踊れないのです。
筋肉は同じ形状で長く続けることは出来ません。常に緊張弛緩を繰り返すことで筋肉は効果的な使用ができるようになっています。酸素と共に栄養も筋肉に送り続ける必要があるのです。
ホールドを保ち続けるのはボディ・スイングです。ケンさんは何回も肩甲骨を使いなさいと社交ダンサーに言っていますが、一昨日もパーティに行って来ましたが殆どの人が使っていません。競技選手風の若者が使っていただけです。お爺さん・お婆さんは、習い始めから「ホールドは固めなきゃいけない」と教わって来たので改善しようとしません。信じ切っています。
ここから引用します。
「ショルダーの重さはあばら骨を通して脊髄の中心に向かい、ボディ全体の力で支えます。この際首や肩には持ち上げるための緊張は全くありません。
そしてホールドを上げる最大の力はボディ・スイングを通して得られた力が、肩甲骨を通して、腕の重さを上方に持ち上げます。
この際、スイングする方向の方にショルダーが引き上がり、その運動に対し、反射的に、下肢の筋肉が重心を持ち上げたり前後に移動させたりして運動表現を繋いで行きます」。
また、ボディのローテーションによって得られた回転運動が、左右のショルダーをナチュラルとリバースのフィガーを的確に生み出していきます。つまり、ショルダーの美しい形状は、男女が同調してボディを使い、上体に力を伝えることで1曲を通して、落ちたり崩れたりすることなく維持できるのです」。
いつか紹介したルカ・バリッキのレッスン動画に「ボリュームが欲しいですか」という表現がありましたが、あのように肩甲骨が上がるのです。左方向に回転する・方向に動く場合は、その前に左肩(左アームから肩にかけて)が上がり、反対に右肩(右アームから肩にかけて)が下がる。こういう立体的な動きが運動としていつも行われている。これはダンスだけに限っての問題ではありません。野球のバッティングやテニスのストローク、ゴルフのスイングなどでも同じなのです。ダンサーはもっと上体を使うことを考えるべきと思います。
以上です。