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災害と旅行者の不安

昨日の北陸地方を中心とする大地震で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

元旦当日の大地震ということは帰省客や旅行者にも被災された方が多いと思います。新幹線に閉じ込められた方も多くいたとの報道もありました。

土地勘がある帰省客はまだしも、土地勘がない旅行者は右往左往されているのではないでしょうか。特に、地震の経験がなく日本語を理解できない外国人旅行者の心細さは大変なものだと思います。

私も2011年の英国出張中にアイスランドの火山が噴火し、飛行機が飛ばなかったため、日本に1週間程度帰れなかったことがありました。その際に、日本語で情報収集できなかったことで、どれほど困ったことか。その当時はまだスマートフォンの本格普及前で、また、機械翻訳の精度も低かった時代でした。

言うまでもなく、日本は自然災害が多い国です。自然災害時の外国人旅行者に対するケアは観光大国を目指すなら必須でしょう。やはり、通常時から役所や学校などの避難所や公共交通機関などに外国語表示が必要などではないでしょうか。

ちなみに、観光庁の『令和元年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果』では、旅行中に困ったことの1位は「ゴミ箱の少なさ」、2位は「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」、3位は「公共交通の利用」、4位は「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」でした。2-4位は外国語表示を増やすことで利便性向上は可能な分野だと思います。

観光庁『令和元年度「訪日外国人旅行者の受入環境整備に 関するアンケート」調査結果』

昨年、私はある地方の大都市の観光協会の方から翻訳費用が高くて、外国語表示が難しいと聞きました。どうして翻訳費用が高いのですかと私が聞いたら、人間が訳しているから、とのことでした。どういうわけか完璧な外国語表示のために人間の翻訳しかその地方自治体が認めないようです。しかも、フリーランスなどに依頼する相場の2-3倍の価格を支払っているようでした。

公式文書や契約書のような完璧な外国語翻訳が必要な場合とは違いそこまで高額の翻訳費用を支払う必要があるのかはなはだ疑問です。地名など確実な翻訳が必要なものはあります。しかし、精度が9割程度の機械翻訳で外国語表示をもっと多くした方が外国人旅行者は通常時も自然災害時も安心するのではないでしょうか。

日本全体でDXなどデジタル分野の開発などに多額の補助金などをつけて進めようとしています。しかし、既存の機械翻訳などで格安にできることは数多くあります。日本の観光業に対して、技術力や開発力の遅れではなくその活用の仕方の遅れに不安を感じます。今回の災害を機に、今年こそ、機械翻訳で安く外国語表示を進めるべきではないでしょうか。

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