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観光業界が忘れていること⑩ ~まとめ~

個人旅行時代に移動を楽にする方法が必要


個人旅行が主流となる現代において、移動をラクにする方法は非常に重要です。シリーズを通して、申し上げてきたように、移動がラクになれば、旅行者誘致の確率が高まります。

まず、旅行者は事前にリサーチを徹底し、アプリやオンラインプラットフォームを活用して情報を収集することが求められます。具体的には、公共交通の時刻表、ルート、料金に関する情報を事前に把握することが有効です。しかし、この作業が案外大変です。実際、旅工房の「旅行計画」に関する意識調査によると日本人の70.5%が「旅行計画は手間がかかる・難しい」と回答しています。

また、特に外国人旅行者の場合、多言語で提供される情報や案内を活用することが重要です。地方部への旅行では、レンタカーの利用を検討するか、地元のツアーやタクシーサービスを利用することも一つの方法です。これらのアプローチによって、個人旅行者はよりスムーズで快適な移動体験を得ることができます。ただし、受け入れ側としては日本語の壁が外国人旅行者にとってとても高いということを理解することが必要です。

旅行業登録会社による旅行情報提供が必要

個人旅行者へのサポートを強化するためには、旅行業登録会社による旅行情報の提供が不可欠です。これらの会社は、正確かつ最新の旅行情報を提供する責任があり、旅行者が安心して旅行計画を立てることができるようサポートする必要があります。具体的には、多言語での情報提供、地域ごとの旅行ガイドの提供、オンラインでの問い合わせ対応などが挙げられます。

また、旅行業者は地元の交通機関や観光施設と連携し、旅行者に対して包括的な情報を提供することも重要です。このような取り組みによって、旅行者は必要な情報を簡単に入手でき、計画や予約がしやすくなります。旅行会社による情報提供とサポートは、旅行者に安全で快適な旅行体験を提供し、観光業界の信頼性と満足度を高める重要な役割を果たします。

しかし、旅行会社による旅行情報の提供は個人旅行者にあまり知られていません。また、旅行会社も積極的に売り出していません。旅行情報の提供は手間がかかる割には薄利なサービスであるためです。こうしたことから、「国内旅行中の情報入手先」は1位:Webサイト、2位:ガイドブック、3位:ホテルフロント、4位:観光案内所、5位:SNSなどとなっており、旅行者会社は情報入手先にあがりません(出所:JTB(『「国内旅行の情報収集」に関するアンケート調査』2018年)。

このように、個人旅行時代となり、旅行者が困っているのに、旅行会社や観光業界の対応ができていないことが多いと思います。団体旅行時代から思考停止になっている人々も未だ多いと考えられます。飽くなき旅行者の利便性向上の追求が旅行業界に求められています。

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