小枝散りゆく、つゆ知らず。
既視感。
昔、私はこの近くに住んでいたことがあった気がする。なんとなく河の感じや道に見覚えがある。朧げなのは10年も前の記憶だからで、小学校に上がる前だった。まだ母と暮らしていたときだ。
この街は交通量の多い、広い大通りよりも幅の広い運河が流れている。旧来船と呼ばれている船の形とはだいぶ違う小さいビル群のような船が河を流れ荷物を運んでいる、四角い箱。昔ここには河を越えるようにモノレールと呼ばれる電車が走っていた。今はその背の高いレールだけが錆びれたまま、残っている。背の高