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障害者の方々が日々の生活をしやすくなる為に社会はどのような取り組みが出来るのか。

そもそも障害者の方々はどのくらい日本にいるのか

数年前の内閣府の調査を見てみると
身体障害者(身体障害者手帳所持者) 436万人
知的障害者(療育手帳所持者) 108万2千人
精神障害者(医療機関を利用した精神疾患のある患者数 精神障害者手帳を保持しているとは限らない) 419万3千人

およそ1000万人、人口12人に1人。想像していた以上に多いと感じた。
個人的には身体障害者の人数が思ったより多いと感じたのは、自分が高齢者の身体障害者の数を想定していなかったからであった。脳梗塞、脳出血などで後遺症が残ったりすると、身体障害者手帳が取得できる。
障害者手帳を取得する事で、公的な障害福祉サービスが受けられたり、障害者雇用の枠で就職出来たり、所得税などの控除、JR・バスなどの割引等多岐に渡るみたいだ。

さて、これらの障害者の方々が日々生活をしやくするなるために社会が行える事の一つとして「合理的配慮」という言葉がある事を知った。これは「社会的障壁をなくす事は、皆が幸せに繋がる」で話した、「社会的障壁」を軽減するための取り組みだ。

合理的配慮とは

合理的配慮とは障害者権利条約において定義されている概念である。
少し長くなるが書いてみる。
「障害者が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使する事を確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失くした又は過度の負担を課さないものをいう」と定義されている。

身体障害者への合理的配慮の例としては、人権及び基本的自由の享有の為に段差にスロープを設置する(肢体不自由)、資料を拡大文字や点字によって作成したり読み上げて伝える(視覚障害)継続的な通院や服薬が必要な時には休暇や休憩などについて配慮する(内部障害)などがあり、配慮する側が過度な負担にならない程度で行えるものという事になるのだろう。

合理的配慮の運用上の留意点

合理的配慮の基本的な考え方(内閣府)において、「障害者差別解消法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うにあたり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮を行うことを求めている」としている。
続いて「合理的配慮は障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応なされるものである。さらに、合理的配慮の内容は技術の発展、社会情勢の変化等に応じて変わりえるものであるとしている」。つまり合理的配慮とは障害の種類や程度による決まった配慮の型や前例に基づく判断によって決定・提供するものではなく、場面や状況、障害の状態、事業者の実態に応じ、建設的対話による相互理解のもとに柔軟に決定されるものである。

法律を読むのは個人的に内容が難しく骨が折れる(汗)

合理的配慮はとても大事な事であると思う。しかし上記の事柄を考えると、障害者が合理的配慮を必要としている意思の表明や障害者と配慮を提供する双方の納得のいく形で現状をよりよくしていく為の建設的対話をしていく必要がある。
その為には、障害者側が自分の障害を理解して相手に分かるような説明をする必要がある。意思表明をして相手に負担を与えてしまうのではないかなどの不安があり、適切に権利が行使できない可能性もあるだろう。配慮を提供する側もどこまで、配慮をして、社会的障壁を失くせばよいかなどを考えなければならない。

合理的配慮というのは簡単だが、いざ実行しようとすると何をどのように進めていけば良いか、当事者たちは頭を悩ませる気がする。
これらを行うためには、障害についての理解と事業者の事務・事業の目的・内容・機能の両面について知識と経験を有する専門家によるコーディネートが必要になる。
これらを実現するための職業として合理的配慮アドバイザーという専門家が存在するらしい。
2021年5月時点の障害者差別解消法では、合理的配慮は、国や自治体などは法的義務、民間企業・事業者は努力義務とされている。しかし、通常国会において改正障害者差別解消法が成立し、民間企業者の合理的配慮提供が法的義務化され、公布から3年以内に施行されるらしい。
因みに、法律では障害者手帳の有無や週所定就業時間などの限定はしていないらしく、長期にわたり就業生活に制限や就業生活が著しく困難な人であれば、合理的配慮の対象者になるとのこと。

感想

合理的配慮の意義を今回学んだが、1つ感じた事があり、合理的配慮は障害者の方だけではなく、合理的配慮を提供する側にも必要なのではないかと感じた。
やはり、合理的配慮を提供する側にも様々な難しさがあり、その難しいというハードルを下げるためにも、障害者への知識の普及や理解、どのような事が配慮に当たるのかを啓発していき、国・自治体・障害当事者からの、情報的・人的・経済的サポートの配慮が必要になるのではないと想像している。

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