高校野球 2016夏季山梨県大会観戦レポ その1 2回戦 日本航空 対 山梨

日本航空 7-0 山梨(7回コールド)
日本航空はAシード。山梨はここ2年勝ち星に恵まれていないノーシード、弱小といっていい学校。
7回まで持ちこたえただけでも健闘、と言えるくらいの前評判の差ではあるが、それ以上に山梨高校の健闘が光る試合だった。

到着は3回表。
この時点でスコアは0-0
その時点で少し驚いた。
日本航空と山梨の実績を比べれば、2回終了で2点か3点くらい入っていて、5回コールドペースかな、と思い込んでいたのである。
結局、ぼくが着いた後に、山梨高校・佐藤投手が打ち込まれ、7回コールドになったが……

2年間、6季勝ち星のない高校とは思えないくらい、しっかりと戦っていた。
しっかり守るし、その中心となったセンターでキャプテンの長田くんなど、身のこなしも高校野球の外野手としては上等なものだった。

確かに、決定的なシーンとなったランニングホームランは、長田くんの後逸だった。
しかし……

0-3で迎えた6回、1アウトからセンターへの大飛球をもぎ取って、勝利への執念を見せた長田くん。
この勢いで守りきりたい、その次の打球、レフトへ。
一度前に出たぶんの遅れで、間一髪、頭の上を越され、長打とされてしまう。

2アウト2塁。
もう1点もやれない。

そんな場面でキャプテンの前に飛ぶ打球。

当然、前に落ちれば2塁ランナーが生還してしまう。

そんな場面で彼は飛んだ。

勝負の責任をすべて自分で背負い込んだ。

紙一重届かなかったが、そのジャンプを、

「外野守備の乱れもあって……」

などという通り一遍の語り口調で終わりにしてしまって良いものではない。

あれは、彼の一世一代の……

高校3年間、いや、野球を続けてきた、おそらく10年にも及ぶ彼の人生のすべてを賭けた一世一代のジャンプだったのだ。

ぼくは、あのランニングホームランになってしまった、センター長田くんの果敢なダイビングこそ、この試合で一番賞賛されるべきプレイだったと思いたい。


あ、航空の片岡投手は春からしっかり成長してました。